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「一所懸命」問題


一所懸命の誤用の「一生懸命」が市民権を得てから、随分と経ちました。
ダメです、どうしても一生懸命には違和感があります。
大概の方の使い方、意味が違います。

「一生」懸命にやってどうするんじゃろ「一所」でしょ?どう考えても。
「受験に向けて一生懸命に努力します!」
「次の公演に向けて一生懸命がんばります!」
「親方の味を出せるまで一生懸命仕事します」
一生じゃないじゃん、一所でしょ。
ひとつのことを結果でるまで懸命に取り組むということですよね。
「領土を命がけで守る」って意味から来てるんだから上記のような例文は一所懸命を使うべきだと思うのです。
派生して「一生」のほうが命かけてる感じがするから、ということで市民権を得たのだと思うのですが
例えば「一生懸命に生きていきます」とか、そういうときだけ「一生」にすれば良いのにな、と思います。
それにしても、なんで誤用のほうが広がってしまったんでしょう?。

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でも、仕方ないのです。
広まってしまって、新聞もNHKはじめ放送業界も「一生懸命」を使ってますから。
最初は誤用でも市民権を得たらそうなります。
進化・成長するのが言葉です。

今では逆に「一所懸命」が誤用だと思われちゃってますからね、松岡修三さんが「一所懸命」を普通に使ってたら「独特のオリジリティある発想でおもしろいです、さすが松岡さん!」なんて書かれちゃったりして、正しいほうを使うのもちょっと躊躇しちゃいます。
あ、今はどっちも正しいんですけどね。

武田鉄也さんの金八先生なんか、はっきりと「いっしょ、けんめい!」って区切って、字を見なくても「一所」って言ってると分かるように発言してますね。
言葉を扱う職業の人や俳優さんなんかは、さすがに「いっしょう」って言ってる人は少なく感じます。

でも困ったことに、テレビのコメントとかで明らかに「一所懸命」って言ってるのに、テロップでは「一生懸命」ってなってるのは、どうかと思います。本人の意思と違いますからね。

我々が困るのは台本です。例えば幕末ものや戦国時代のセリフで「一生懸命」って書いてあったとします。
こちとら一言一句、句読点の位置まで変えずに演じたい性なのですが、幕末の新撰組の人とかが「いっしょうけんめい」って発音するのがどうしてもいやで、でもこれみよがしに「いっしょっ!」って言うのもなんか脚本家のバーカって言ってるみたいで申し訳ないので、なんとなくどっちとも取れる言い方をしちゃってます。
さすがにちゃんとした脚本家はそんなこと書かないのですが、小劇団の素人脚本家の人だとけっこう多いです。

文字では「一所懸命」一択でいかせていただいてます。
ま、そんなどうでも良い拘りです。

このシリーズ、次は「的を得る」問題です。
シリーズ化するのかよ。

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