採用のボトルネックを考える
採用に悩みを抱えている経営者の方、多いのではないでしょうか。
「自社が求める人材像にマッチした人の応募がない」
「求めている職種は不人気職種で、そもそも求職者が少ない」
「即戦力が欲しいけれど、自社にマッチした人材はそもそも少ない」
経営者のこのような声を聞くことがよくあります。
採用の難易度が上がっている昨今、採用について考える上で大切なことは何か。今回はこれについて考えてみたいと思います。
採用のボトルネックを考える
あなたの会社は、お金をかければ優秀な人を採用できますか?
また、優秀な人を採用した場合、活躍させることができますか?
この質問の答えが「YES」の場合、採用にかける「お金」がボトルネックになります。
しかし、もし、この質問の答えが「No」の場合、
「いくらお金をかけても、うちの会社には優秀な人はこない」
「優秀な人が採用できても、うちでは活躍できない」
このような答えになるとすれば、採用のボトルネックは「お金」ではないことになります。
このような企業の場合、会社の規模、会社のブランド力がボトルネックなのでしょうか。
会社の規模や会社のブランド力は、一朝一夕に変えることができないものです。
では、何から手を付ければいいのでしょうか?
そもそも組織って何?分業のメリットは?
組織の特徴は「分業」と「調整」です。
詳しくは、下記リンク先を参照にして頂ければ幸いです。
「分業」によるメリットはなんでしょうか。
「分業」のメリットの1つに「経済的スタッフィング」があります。
社長一人で仕事をやっている個人事業主の形態から、人を採用して、組織を作っていく際、社長と同じ能力と経験を持つ人を新たに採用することは困難でしょうし、そのような高い能力や経験を持つ人材の賃金は高くつきます。
そこで、社長の業務の中から、社長でなくとも出来る仕事を切り出して、そこまで能力が高くなくとも、経験が乏しくても出来る仕事を切り分けて、新たに雇用した人に分業し、社長は特定業務に注力することで、組織として生産性を上げることをやっていく。
そうすると、組織全体の人件費を2倍にせずとも、組織全体の生産量が2倍以上になる可能性が生まれます。
このように、業務の難易度の差を踏まえた分業体制を構築することで、全体の人件費を抑えながら、生産量を増やすことができる効果を「経済的スタッフィング」と呼びます。
また、業務の難易度の差を踏まえた分業体制を構築した上で、業務難易度が低い仕事を担うスタッフを新たに採用することの方が、業務難易度が高い仕事を担うスタッフを採用するよりも採用難易度が下がり、採用活動を行う際の母集団が形成しやすくなります。
再度、採用のボトルネックを考える
このようなケースの場合、「優秀な人」を採用しようとすることにそもそも無理があります。
そのため、組織全体の業務の流れ、業務の内容を棚卸し、業務の難易度を考慮した上で、既存の従業員に対する仕事の割り振りを見直し、難易度の低い仕事を新人に割り当てられるよう社長も含めた社内スタッフの役割を再度見直すことが求められます。
しかし、ボトルネックとなっているのは、組織における役割、分業の在り方だけではありません。
本来ボトルネックになっているのは、組織の役割、分業の在り方を変更するに足る、組織規模、将来に向けた組織の成長が描けていないことにあります。
採用と分業と組織成長
難易度の低い仕事をこなす人材を採用することは、難易度の高い仕事をこなす人材を採用するよりも、採用のハードルは低くなります。
では、なぜ採用のハードルを下げるために分業体制が組めないのか。
それは、難易度の低い仕事が1人の人に任せるだけの分量がない、もしくは将来にわたって確保できる見込みがない、からです。
難易度の低い仕事であれば外注に出せばいい、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、難易度の低い仕事を内製化し、その仕事を担当しているスタッフに経験を積ませ、教育することで、徐々に難易度の高い仕事もできるようになっていくことが組織の成長に繋がりますので、難易度の低い仕事の外注化は、組織の成長を鑑みると、一概に正解とは言えません。
採用のハードルが高いのは、組織における分業体制に問題がある可能性があり、分業体制に問題があるのは、組織の規模及び今後の成長可能性に課題がある。
すなわち、採用の本質的なボトルネックは、企業の成長の見通しにあることになります。
少子高齢化が進み、労働人口が減少する中、採用のハードルは年々上昇していきます。
この環境は、変えることが出来ません。
では何を変えることができるのか。
それは、採用のハードルを下げるための分業体制を構築することを実現するに足る、組織成長の実現可能性です。
企業が抱える採用のボトルネックとは
人を採用するためには、採用するための母集団形成が必要です。
母集団形成のためには、採用のハードルが下げることが求められます。
採用のハードルを下げるためには、業務難易度を踏まえた分業体制の構築、
そして、分業した業務を一人の従業員に割り当てられるだけの仕事量が必要となり、
そのためには、業務量の将来にわたる確保が条件となります。
国内において、50名以上の従業員がいる企業数は、全体の5%に満たない数です。
少人数で運営している会社のベテラン社員が定年退職する際、新たな採用で同等の能力を持つ即戦力の社員を採用しようとすることは、かなりハードルが高いことでしょう。
そうなると能力が不十分な社員を雇わざるを得ない。もしくは、職務にマッチする社員が雇えず、会社は衰退していく。
これを回避するためには、
事業成長からくる組織成長を前提に
→成長を踏まえた分業体制の構築
→業務難易度を下げた社員の求人をかけることで母集団形成
→低い業務難易度にマッチした人材を雇用
→人材を育成し、更なる事業成長からの組織成長
上記サイクルを経営者が描いていくことが必要であり、このサイクルを描けないことが、企業の大半を占める小規模・中堅・中小企業者における採用のボトルネックになっているのではないでしょうか。
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