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ディスクブレーキかリムブレーキか。結論を出すのは他人じゃない◎2024年08月26日更新

広島県広島市にある『動く自転車屋』『自転車の便利屋』サイクルサービストグトのnoteをご覧いただきありがとうございます。

先日、弟とチヌ(クロダイ)釣りに行って惨敗した快適長持ち系自転車安全整備士のノーリー(店長)です。
私のロッド(竿)が用途に不向きだったのが敗因だと言われ、ぐうの音も出ませんでした。
同じ場所、同じ仕掛けで釣果は0対4。
もともと持っていたロッドはメバル釣り等釣果も出ていましたが、チヌ釣りでは話になりませんでした。
ちゃんと用途に合ったロッドを調達したのでリベンジします。
用途に適した道具を使うというのは、自転車でなくても大切なことですね。


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■結論を出すのは他人じゃない

今回のテーマはロードバイクやクロスバイク等、スポーツバイク(スポーツサイクル)におけるブレーキ方式についてです。

これから自転車を買おうとしている人が
「リムブレーキとディスクブレーキならどっちがいいんですか?」
とだけ質問したとしましょう。

「ディスクブレーキはめんどくさいからリムブレーキがいいよ。」
「今からの時代はディスクブレーキ一択よ。」
「ディスクブレーキは買う時に値段が高いじゃん。」
「リムブレーキは維持費が高くつくよ。」

…等々。
いきつけのショップの店員さんや有名なインフルエンサーがいろいろな私見を述べています。
どれも間違いではないのかもしれません。
そして質問も漠然とし過ぎているので精度の回答ができないというのもあります。
しかし、重要なのは新しく自転車を買おうとしている本人の各条件に合うかどうかが最も重要です。

このコンテンツではディスクブレーキ採用車を選ぶべきか、リムブレーキ採用車を選ぶべきかの判断材料を提供していきます。

■リムブレーキとディスクブレーキの違いと種類

乗り手の各条件に合うかどうかが重要なのは何となくわかったとして、そもそもリムブレーキとディスクブレーキの違いについて知る必要があります。
また、それぞれに種類があって、当然ながらリムブレーキどうしでも違いがあるということを知っておかなければなりません。

以下、それぞれの特徴やメリット・デメリットをまとめてみました。

◆リムブレーキ

ホイールにブレーキシューを直接当てながら挟み込むことで制動力を得ます。
リムブレーキ採用車の販売価格は同等グレードのディスクブレーキより安いですが、ホイール(正確にはリム部分)も摩耗していくので維持費は高くなりがちです。
昔ながらの方式なので、普通の自転車店ならだいたいどこでも修理可能であること、補修部品が手に入りやすいこと、ユーザーさんご自身でもメンテナンスしやすいこと等がメリットとして挙げられます。

現代で流通しているリムブレーキはほぼ全て『機械式』(ワイヤーによってレバーと本体が繋がれている方式)です。

そんなリムブレーキには次のような種類があります。

↑今となっては採用車が減っている『カンチブレーキ』です。
昔のマウンテンバイク(MTB)やツーリング向け車体によく採用されていました。
左右のブレーキシュー(ゴム)どうしの隙間を広くしやすいので、太めのタイヤを使いやすくなります。
ただし、現代ではディスクブレーキの普及により、メリットが薄れつつあるのかもしれません。
そして突発的に補修部品を手に入れる場合、ちょっと苦労することが多くなりそうです。

↑ロードバイクやピストバイクで今でも広く採用されている『キャリパーブレーキ』です。
ユーザーさんご自身でもメンテナンスしやすいというメリットがあります。
ただし、ガッチリ止まるというよりは『スピードをコントロールする』というニュアンスが強いブレーキ方式です。
とは言え、メーカーやグレードによって効きの良し悪しに大きな差が出ます。
ちなみに多くのキャリパーブレーキはタイヤ幅28mmくらいまでしか対応できません。
写真のものはキャリパーブレーキでありながタイヤ幅32mmまで入ります。

↑クロスバイクや街乗り向けマウンテンバイク等で採用されることが多い『Vブレーキ』です。
ブレーキシュー(ブレーキのゴム)でリムを挟み込む力が強く、制動力に優れます。
このVブレーキもメーカーやグレードによって良し悪しが出やすいです。
完成車として売られているもので相場よりあまりにも安い車体には、どこのものかよくわからないもの(性能もイマイチなもの)が付いている場合がたくさんあります。

ちなみにリムブレーキにも『油圧式』のものも存在します↓

今となっては絶滅危惧種です。
優れたブレーキシステムですが、部品調達が困難なので維持管理の難易度は非常に高いです。

リムブレーキ全般に言えることですが、ブレーキシューはもちろん、ホイールのリム(『ブレーキエリア』)もすり減るため、ホイール代で高く付くことがあります。
使用頻度や走行距離(厳密にはブレーキシューが当たる時間とスピード)、日頃の掃除次第でも異なりますが、1年から1年半くらいでホイール交換が必要です。
リムだけを交換するという方法もありますが、リム(場合によりスポークとニップルも)の代金、工賃を合わせると1万5千円くらいのホイールごと交換する方が安上がりで早いと思います。

また、リムブレーキは晴れの日は十分な制動力を得られますが、雨の日は制動力が極端に落ちやすいので注意が必要です。

◆ディスクブレーキ

ホイールそのものではなく、ホイールに取り付けたローター(ディスク)をパッドで挟み込んで制動力を得ます。
メンテナンスが面倒に感じられがちですが、維持費は比較的安く済むというのが大きなメリットでしょう。
困りがちな点として、ブレーキ本体ごとに適合するパッドが異なること、車輪脱着の度に基本的にはブレーキ本体の位置調整も必要になるということが挙げられます。

↑ブレーキローター(ディスク)です。
このローターに油分が付いたままブレーキパッドを当てると、ブレーキパッドはご臨終となります。
取り扱いに神経を使うというのも少々難点かもしれません。
ただし、雨天時の制動力も落ちにくく、あらゆる天候で安定した制動力を得られます。
パッドとローターさえ交換すれば、ホイールは比較的長く使えるというのもメリットです。
リム(ブレーキエリア)がすり減らないので、高級ホイールを導入しても長持ちするのは嬉しいポイントではないでしょうか。

そんなディスクブレーキには『機械式』(メカニカルタイプ)、『油圧式』(ハイドローリックタイプ)、その両方の良いとこ取りをしたような『ハイブリッドタイプ』があります。
ディスクブレーキ採用車の場合、車輪の固定方式も注目すべき点です。
そして、ブレーキ本体の取り付け方式にも種類があります。
とりあえず動作に関する方式を3つご紹介しましょう。

↑機械式ディスクブレーキの例です。
ブレーキレバーからブレーキ本体までワイヤーで繋がっていて、ワイヤーの引き量でピストンを動かします。
シングルピストン、デュアルピストン等の細かい要素の違いもありますが、機械式のメンテナンス性は高いです。
しかし、メンテナンス頻度も高くなります。
ハンドル周りの仕様(ケーブル類フル内装タイプ等)によっては相性がイマイチな場合もありますが、ブレーキワイヤーは手に入りやすく、修理にかかる時間が短いのはメリットです。
同等グレードの車体販売価格でも、ブレーキが機械式なら油圧式のものより安く購入できます。

↑油圧式ディスクブレーキの例です。
ミネラルオイルを使うタイプか、DOTオイル(ドットオイル)を使うタイプかでも分かれます。
どちらのタイプのオイルを採用するかはブレーキメーカー次第です。
ミネラルオイル採用タイプ(シマノやカンパニョーロ等)は1年に1度を目安に、DOTオイル採用タイプ(スラム等)は乗っても乗らなくても半年に1度はブレーキオイルの交換が推奨されます。
なお、オイルの種類による互換性はありません。

油圧式ディスクブレーキはワイヤーの動きによる抵抗のようなものがほぼ無いので、ケーブル類フル内装タイプのコックピットシステム(ハンドル周り)と相性もいいです。
抵抗が少ない分、機械式より握力を使わずに済むので、握力が弱いユーザーさんにもメリットがあります。

↑ハイブリッドタイプディスクブレーキの例です。
レバーから本体まではワイヤーで繋がっていますが、本体部分(ピストン)が油圧式になっています。
機械式の整備性の高さと、油圧式の強い制動力を併せ持つシステムです。
コックピットシステム次第では機械式同様に相性が良くない場合もありますが、整備性の高さとブレーキの効き具合の良さを両立させた点は素晴らしいと思います。

■乗り手の各条件による選び方

ここまで読んでいただいて、何となくどちらが自分に合うのかがわかったという方もいれば、ますます迷ったという方もいるかもしれません。
リムブレーキもディスクブレーキもそれぞれに良さがあるので、乗り手の各条件ごとに考えてみましょう。
以下、リムブレーキを『RB』、ディスクブレーキを『DB』とします。

◆イニシャルコスト(初期費用)

RBの方が安く済みます。

◆ランニングコスト(運用維持管理費)

ブレーキ単体だけみればRBの方が安く済むと思われがちですが、ホイールも消耗することを考えるとDBの方が安上がりになりやすいかと思います。

◆住環境または使用環境が平坦メイン

どちらでもOKです。

◆住環境または使用環境に大きなアップダウンがある

大きなアップダウンがある地形で自転車を使うならDBの方がいいでしょう。

◆雨天時にも自転車を使う

雨でも関係無く通勤・通学等で自転車に乗る方はDBの方がメリットが多いです。

◆近所に愛車の面倒を見てくれるショップがあるかどうか

どちらにしてもプロによる定期的な(目安としては半年毎の)点検は必要です。
面倒を見てくれるショップが無いなら、乗り手の整備技術や知識にもよりますがRBの方がオススメと言えるかもしれません。

◆自転車をクルマに積んだり、輪行をしたりするかどうか

RBの方が楽でいいと思います。
DBでも輪行や車載は可能ですが、車輪を脱着する度にブレーキ本体の位置調整をしなければならない(場合が多い)というのはストレスになるかもしれません。

◆自走で自転車旅をする場合

どちらでも問題ありませんが、DBの方が安心感があります。

◆マウンテンバイクで山遊びをしたい場合

DBを強く推奨します。

◆サイクルロードレースに挑戦したい場合

どちらでも可能ですが、現代と今後の業界の動きを考えるとDBの方がメリットが多いでしょう。

■まとめ

私が自分の愛車として選ぶとしたら…
ブレーキエリアがすり減らない(つまり維持費を抑えられる)ので、基本的にはDBを選ぶことが多いです。
ただし、フォールディングバイク(折りたたみ自転車)のように輪行を前提とした車体なら積極的にRBを選びます。
ピストバイクだと基本的にはRBしか選択肢がありません。
結局、その自転車をどう使うかによってRBかDBか、DBなら機械式か油圧式かまで変わってくるという話です。
例えば自走で旅する前提の車体ならハイブリッドDBを選ぶでしょう。

RBかDBでどちらがオススメというのは、乗り手が自転車を
①どんな地形で
②どんな目的で
③どんな環境で
使うかによって変わります。

迷ったら当店のサービスをご利用下さい。
しっかりとヒアリングした上で、メリットが大きい方をご案内致します。

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