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他店様にて新車購入から約2年!サビだらけの現代版ツーリング車をフル・オーバーホールしてみた◎2024年02月19日更新

広島県広島市にある『動く自転車屋』『自転車の便利屋』サイクルサービストグトのnoteをご覧いただきありがとうございます。

快適長持ち系自転車安全整備士のノーリー(店長)です。


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■今回の患『車』

★ブランド★
【RITEWAY】(ライトウェイ)

★車種★
SONOMA ADVENTURE(ソノマ・アドベンチャー)

★年式★
2022年頃

実は私もかつては愛車として運用していたものと同じ車種です。
最大7個のボトルケージが取り付け可能ということで、ダボ穴(アイレットとも言う)が非常に多く、拡張性が高い仕様となっています。
まずはお預かり時点での写真をいくつか掲載しましょう。

使用環境や保管環境等、自転車にとっては過酷な環境で使われていたのでしょう。
いつものオーバーホール作業より少しハードルが高そうですが、ユーザーさんとの対話を重ね、作業方針が決まりました。

■作業の様子

写真メインで作業の様子をご紹介していきます。

◆分解・チェック工程

アウターケーブルやそこから露出している部分では各ワイヤー類が劣化していないように見えましたが、開けてみるとこのように錆びていました。

BBはカートリッジタイプで、回転そのものは良好なままでした。
錆びや汚れを落とせれば問題無いように見受けられます。

BBシェル内部は汚れ(カス)が溜まっていて、サビも発生していました。

フロントフォークのコラム部分のサビもなかなかです。

ヘッドベアリングは無事でしょうか?

クランクセット(チェーンリング含む)は再利用できそうならそうしたいものです。

本洗浄の前に下洗いです。

車体車体側も下洗いであり、本洗浄は後回しです。

組み付けの問題なのか、納車後の環境なのか、一概には言えませんが、とにかくシートポストは抜けない状態でした。
完全に固着しています。

当店の設備ではどうしようもありませんでした。
ユーザーさんとの話し合いで、今回はシートポストの固着問題については深追いしないことになりました。

フロントフォークのコラム部分は塗装されていません。
入荷した状態からただ組むだけだとこのように錆びやすくなります。
どんなに対策しても錆びるときは錆びるため、事前の対策は無意味だという人もいますが、決してそんなことはありません。

ヘッドカップも入念な洗浄が必要そうですね。

ヘッドパーツを外し、分解してみました。

ひとまず分解・チェック工程は完了です。

◆下処理工程

良い状態の車体に仕上げるためには下処理が欠かせません。
かなりの手間と労力を費やすことになりますが、こういう下処理をやっている車体とやっていない車体とでは大きな差が生じます。

リアディレイラーハンガーの雌ネジ精度上げに始まり…

キャリア用ダボも

ボトルケージ用ダボも

フロントラック用ダボも、とにかく工具が届く箇所は全て再タップがけをしています。

BBシェルもしっかりとネジの精度上げをしています。

これで後々のBB脱着も楽にできそうです。
ちなみに今回は使うBBやフレーム素材の特性を考慮して、BBシェルのフェイシングはしておりません。

下処理が済んだら本洗いです。

フロントフォークも同様です。

溝に詰まった小石等は丁寧に取り除きます。

普段からもやっておくと良い作業のひとつです。
これをやるだけでもパンクのリスクをかなり減らせます。

フォークの形状が幸いし、クラウンは無事に外せました。

コラム全体を磨いていきます。

磨き続けて数十分後、ようやく納得いく仕上がりになりました。

ヘッドチューブやステム等で隠れる部分ですが、当店ではこういう部分も手抜きをしません。

フレームをしっかり洗浄したので、ガラス系コーティングを施工します。

今は【WAKO'S】(ワコーズ)のバリアスコートを使っていますが、近々別のガラス系コーティングに切り替える予定です。

フレームもフォークもピッカピカになりました。

◆組み直し工程

各パーツをさらに分解して組み直します。

まずはステムから。
ご覧のようにサビや汚れが蓄積しています。

新品に交換したわけではありません。
それでも当店の手にかかればこの通り!

フレームの各ダボに付いていたボルト類もサビがヒドい状態でした。

それもこのようにサビを落とし、さらにヅケにすることでサビ防止効果まで狙います。

キックスタンド、特にボルトがひどく錆びています。

ネジ山のチェックでは問題ありませんでした。

サビ落とし&洗浄でここまでキレイになりました。

シートポストは固着によって抜けませんでしたが、せめてヤグラは分解洗浄していきます。

アルミは茶色に錆びたりはしませんが、『白サビ』は発生します。

サビを落として洗浄したら、こんなにキレイになりました。

ヤグラのボルトには今後のことを考慮してグリスを使っています。

さらに固着防止のためのグリスも該当箇所には使います。

サドルレールにもうっすらとグリスを塗り、固着をできるだけ防ぎます。

ヘッドパーツも新品のようにキレイになりました。

ダストシールは寿命が来ていましたが、ユーザーさんとの話し合いの結果、今回は交換を見送ることになりました。

フレームの使わないダボ(雌ネジ)にグリスで油膜を張ることでサビを防ぐようにしています。

ダボ穴が多い車種なので手間もかかりますが、こういう時にやっておくことでユーザーさんにとってはメリットだらけです。

フロントフォークにも抜かりはありません。

ヘッドチューブも含め、フレームの各パイプ内にオイルを注入し、前後左右にグルングルン回します。
パイプ内部全体に油膜を張り、見えない部分のサビも防ぐためです。
効果は何ヶ月続くか不明ですが、何もしないよりは間違い無く効果があります。

ヘッドカップ圧入作業です。
実は海水にも耐えられる特殊なグリスを使っています。

ピッカピカに磨き上げたコラムにサビ防止目的のグリスを塗ります。

フォーククラウンをセットして…

圧入完了です。

余分なグリスは除去します。

ヘッドベアリングもせっかくサビを除去してキレイになったので、タップリとグリスを与えます。

そう簡単には錆びさせません。

ヘッドカップ内側には【SHIMANO】(シマノ)のプレミアムグリス(以下、『プレグリ』)を使っています。

これだけグリスを詰め込んでおけばしばらく安泰でしょう。

リムフラップの状態も少し気になります。

リムテープではなくリムフラップなのに、テープ跡がこんなに残っていました。
雑な仕事をせざるを得ない状況だったのかもしれません。

せっかく当店に預けて下さったので、ここもキレイにしておきました。

片方はリムテープを貼ってありました。
気になるところがあったので、この後で一旦剥がしてみます。

リムフラップの下処理完了です。
エッジを無くしてやりました。

リムベッドを注意深く観察してみると、製造段階で生じていたバリが見えました。
これを機に可能な限り取り除いてみます。

片方のリムだけでこんなにバリが取れました。
大きさの確認をしやすくするため、バルブキャップを置いてみましたが、大きさも量もありますね。

リムテープが貼られていた方には、念のためビニールテープを貼ってからリムテープを重ねています。
こうすることで耐久性が上がるからです。

リムフラップを装着していた方にもビニールテープを貼ってからリムフラップを装着し直しました。

ここからはハブのオーバーホールです。
まずはリアから。

グリスはほとんど残っていない状態でした。

そして汚れが溜まっています。

これらの玉を洗浄していきます。

ハブも洗浄が必要です。

フリーボディーも徹底的に洗浄しましょう。

↑洗浄後がこちらです。

フリーボディーも洗浄&グリスアップして組み直しています。

ハブシャフトや玉押しパーツ等も分解からの徹底洗浄をしています。

続いてフロントです。

リアと同様に汚れが溜まっています。

サビが来ていますね。

分解洗浄してみると、異物も確認できました。

プレグリをたっぷり注入してから玉を入れ、さらにプレグリで覆います。

ハブシャフトにはサビ防止のためにグリスを馴染ませています。
ここのグリスはプレグリではなく、また別のグリスです。

クイックリリースレバーが通る部分にはまた別のグリスを使っています。
自転車1台に対して4~5種類のグリスを使い分けて組むのが当店流です。

玉が当たる部分にはプレグリです。

これだけグリスを注入しておけばしばらく安泰ですね。

フリーボディーにグリスを塗布することには賛否両論ありますが、フリーボディーの材質次第だと考えます。
このフリーボディーにはうっすらとグリスを塗ることでサビを防ぎやすくなるため、グリスを塗布するのは有効です。
ただし過剰に塗ると砂等を吸着するため、適量が大切だということを忘れてはいけません。

ホイールの振れが大きかったので修正しています。

もちろん、センタリングもです。

バルブとタイヤロゴの位置を意識して組み直しました。

タイヤサイドのヒゲがフレームに当たるとうっとうしいため、カットしていきます。

これも根気の要る作業ですが、ユーザーさんが少しでもより快適に乗れるようにしていきます。

シートピンやBB、クランクフィキシングボルトもけっこう錆びていました。

BBは汚れもすごい状態です。

できるだけサビを落として洗浄してみました。

BBはこうして磨き上げることで…

サビを落とせました。
見えない部分ですが、サビを落としてからグリスでサビ対策もしてあります。

現行のソノマアドベンチャーは改善されたようですが、当時のソノマアドベンチャーはセンタースタンドの取り付けがムリヤリでした。
少しずつベストな位置を探って取り付けていきます。

BBシェルもネジの精度が上がり、キレイになりました。
そして海水にも耐えられる特殊なグリスを使っています。

BB装着完了。

バーテープも製品によって、または前回作業者によってはこのように跡がこびりつくことが多々あります。
こういう跡を無視してそのまま作業するショップもあるそうですが、当店ではハンドルのクリーニングもセットです。

特に今回はオーバーホールなので、このこびりついた跡を無視するわけにもいきません。

少しずつ除去していきます。

ようやくキレイになりました。

STIレバーのクランプも錆びていました。
バーテープをこまめに替えないとこうなりやすいです。

オーバーホールでバラしたついでに磨いていきます。

腐食した痕跡は残りましたが、サビは落とせました。

レバーを戻し、ハンドルを組み付けます。

クランクセットも分解できるだけ分解して洗浄していきます。

磨けるだけ磨いてみました。

ブレーキも錆び具合が深刻です。

パッドを隔離してから徹底洗浄してみまた。

腐食の痕跡が残りましたが、それでもかなりキレイになりました。

ブレーキ本体を装着します。

ローターも徹底洗浄。

しっかりと洗浄できました。

ロックリングは外セレーションが付いていましたが、今後のことを考えて内セレーションへの変更となりました。

↑オススメ理由を動画で解説しています。

センターロックタイプのローターなので、バルブ位置とローターのロゴの位置をいい感じに合わせました。
制動力には関係ありませんが、できるだけ美しい仕上げのためです。

スプロケットは新品に交換となりました。

前後の車輪が仕上がったので組み付けていきます。

良くできたフロントバスケット(前カゴ)ですが、サビや汚れが目立ちます。

分解チェックして…

サビ落とし&下処理で再利用します。

滑り止め兼スペーサーとして廃チューブを有効活用しています。

廃チューブは自転車をカスタマイズする時に大活躍します。

洗浄も済んだので、フロントバスケットもいい感じになりました。
この時点ではまだ仮止めです。

各種インナーワイヤーにも長持ちのための下処理は欠かせません。
今回のユーザーさんは雨天でも使うとのことで、それに適した下処理をしています。

ワイヤーを繋ぎます。

リアディレイラーハンガーの芯出し作業です。

前後ともディレイラーが錆びたり汚れたりしています。

分解してみると様々な汚れやゴミが付着していました。

↑洗浄後です。

適切に組み付けていきます。

ケーブルルーティングを試行錯誤してみました。
リアラックの内側に通してみたり、外側に通してみたり…。

最終的には外側に通すことにしました。
チェーンも新品に交換となったので、チェーン長を決めていきます。

クランクセットやチェーンリングもかなりキレイになりました。

固着防止の下処理も抜かりありません。

今回はペダルも新品に交換となりました。車体全体のカラーバランスに合わせつつ、実用性の高いものを。
ということで、【SIXTH COMPONENTS】(シックスコンポーネンツ)のPD-01に決まりました。

ディレイラー調整も完了です。

ボトルケージも外して洗浄しました。

ネジ部分には注油をして組み付け直しています。

フロントバスケットを装着した状態でのベストなケーブル長を決めたら、バスケットを一旦外してバーテープ巻きの準備をしていきます。

今回のバーテープは【NOGUCHI】(ノグチ)のNBT-002を採用しました。

化粧テープ(フィニッシングテープ)にも剥がれにくくするための下処理をしています。

バーテープを巻き終えました。

ベルも洗浄&磨き作業をしていきます。

写真で見ると大きくは改善できませんでしたが、実際に見てみるとかなりマシになりました。

■『ひとまず』完成

通常のオーバーホールだけではなく、磨き作業が多かった今回の作業ですが、『ひとまず』完成しました。
というわけで各部を見ていきましょう。

コックピットまわりはこのようになっています。
ツーリング車でもあるので、フロントバスケットがあるのは便利ですよね。

とは言え、実は少し問題を抱えています。
前照灯を点けなければならない状況でバスケットに荷物が入っていると、荷物で光が遮られることです。
この問題については解決したので、後ほどご紹介します。

フォークも見違えるくらいキレイになりました。

フォークショルダーには以前のアウターケーブルの擦れ跡が残っていますが、今回は擦れないようなケーブルルーティングにしてあります。

↑ここのことです。

スタンドもかなりキレイになりました。

今回採用したペダルは【SIXTH COMPONENTS】(シックスコンポーネンツ)のPD-01です。
価格は¥2,750-(10%消費税込み)とお手頃ながら、耐久性や耐滑性、デザイン性や実用性等の要素をバランス良く持ち合わせています。
ボディ幅が広くないのでコーナリング時のロードクリアランスにも余裕があり、回転性能も決して悪くありません。
多くのユーザーさんにオススメしやすいペダルです。
※価格は2024年02月19日時点。

ブレーキ本体もキレイになりました。
後々アップグレードするかもしれません。

クイックリリースレバーの位置(向き)には注意が必要です。

リアディレイラーは新品のようになりました。

シートピン(クランプボルト)の剥がれたメッキはどうしようもないですが、サビは落とせました。

リアキャリアのステーはサビを落とした上でクリア塗装でガードしています。

キャリア(ラック)本体はサビを落として補修塗装をすることでヴィジュアル的には良くなりました。

【SCHWALBE】(シュワルベ)のMARATHON 365(マラソン365)は当店でも人気のあるオールシーズンタイヤです。
さすがに凍結路面ではどうしようもありませんが、軽く雪が積もる程度なら問題無く走行できます。

ブレーキローターのロゴの位置(向き)とバルブの位置をいい感じに合わせるのも当店なりのコダワリです。
せっかく仕上げるならできるだけ美しく、カッコ良く!

ここからさらに一手間加えていきます。

■『快適長持ち系自転車安全整備士』の本領発揮

すでに仕上がっていますが、まだ問題を抱えています。
前述のフロントバスケットとライトの話です。

改めて見てみましょう。
ハンドルバーにフロントライトのブラケットがあり、バスケットに荷物を入れると光が遮られ、『無灯火運転』扱いになります。

これは他のスポーツタイプ自転車(クロスバイク)等でも生じることです。
後付けのフロントバスケットだと、こういう問題はよく起こります。

こちらのフロントバスケットには気の利いた仕掛けがありました。

STIレバーなので変速操作に影響が無いように、ライトアダプターを加工して取り付けてみました。

断面による攻撃も防ぎます。

もともとはデュアルコントロールレバー向けではありませんでしたが、工夫次第で対応できます。

動画でもお話ししています。

ライトアダプターの取り付けにも特殊なワッシャーを使っているので、アダプターの向き(角度)をある程度好みに合わせることもできます。

合法的に自転車を運用するのはもちろん、快適性もできるだけ失わないようにするカスタマイズも当店へお任せ下さい。

★こちらも要チェック★

頂戴したサポート(投げ銭)は当店の設備拡充等に使わせていただきます。