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オーバーホールついでにピストバイクの合法的な運用をお手伝いします◎2024年03月25日更新

広島県広島市にある『動く自転車屋』『自転車の便利屋』サイクルサービストグトのnoteをご覧いただきありがとうございます。

恥ずかしながら20年くらい昔、スピード違反を繰り返して運転免許取り消し処分を受けたことがある快適長持ち系自転車安全整備士のノーリー(店長)です。
改めて取得してから、ゴールド免許を維持しています。
大きなキッカケがあれば人間は反省し、更正できるものなのかもしれません。


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■今回のご依頼

さて、今回のご依頼内容はピストバイクのリフレッシュ(オーバーホール)作業と、合法的に運用できるようにすることです。

※以下、お預かり時点での写真

★ブランド★
【LEADER BIKES】(リーダーバイクス)
★車種★
725TR
★年式★
不明

十数年前に知人から譲り受けてしばらく放置気味だったそうですが、生活環境の変化により出番がありそうなので、リフレッシュさせてから日常のアシとしても運用したいとのことです。

ヘッドはユルユルの状態でした。

ライトは故障していて、ベル(またはホーン等の警音器)がありません。

フロントはブレーキワイヤーも含めて残っていました。

サビや汚れによる動きの悪さは見受けられますが、なんとかブレーキが作動する状態。

ところがリアブレーキワイヤーは切れてしまったのか、レバーだけが残っていました。

と思ったら、ブレーキ本体も付いていませんでした。

ピストバイクではブレーキ本体を目立たせたくないというニーズもあります。
『ヒドゥン・ブレーキ』と呼ばれる、『ブレーキは装着しているけどパッと見ではどこについているかわからない状態』の装着方式もありますが、それでもありません。

グリップはベタ付くくらいに劣化していたので、ここでお別れです。

サドルは破れています。

雨の日に乗らないとのことなのでサドルの交換は保留することになりました。

フロントハブまわりはけっこう錆びていて、動きが硬かったです。

チェーンは錆びていますが、チェッカーで診たところ伸びてもいませんでした。

コグ(リアギア)はサビなのか汚れなのか、パッと見た感じでは不明です。

歯は特に大きく劣化しているわけでもない感じですね。

チェーンリング(フロントギア)もこの時点ではサビや汚れが蓄積している状態でした。

ペダルはひとまず大丈夫そうな感触でした。

フロントホイールまわりも、フォークまわりもキレイにします。

もちろん、リアホイールまわりも。

というか、全体的にできるだけキレイにしていきます。
すでに打ち合わせの段階でSステッカーは残すものと剥がすものの指定済みです。
その際に、ポジションの見直しや部品の選定等も済ませていました。
それでも、中を見てみないと再利用可能か否かは判断できない場合も多いです。
私としても再利用できる部品はできるだけそうしたいと思っています。

■オーバーホール作業開始ッ!

◆分解と大まかな下処理

祈りながらクランクを外してみました。

汚れは蓄積していましたが、キレイにできそうです。
回転の感触は良くない状態でしたが、これについては後ほど書きます。

フロントフォークは問題無いでしょう。

後々のカスタマイズも見据え、フレームの雌ネジ精度も上げておきました。

こういう下処理をキッチリやっておくことで後々の作業がやりやすくなります。

BBシェルの再タッピング作業です。

ネジの切り直しで、この作業をやっておくとBB交換がスムーズになります。

ついでにフェイシングもやっておきましょう。

BBシェルの精度がかなり上がりました。

無理な位置でクランプされていたからか、シートポスト固定用のネジ部分がダメージを負っていました。
ここはフレームと一体型なのでミスるわけにはいきません。
慎重にネジを切り直します。

シートチューブの面取り作業です。
これをキッチリやっておくことで、シートポストを傷付けにくくなります。

下処理が済んだら洗浄工程です。

フレームをしっかり乾燥させ、各パイプ内に注油して錆びにくくします。
アルミフレームなのでもともと錆びにくいのは事実ですが、アルミも全く錆びないわけではありません。

ネジの精度が上がったので、今後リアラック(リアキャリア)等を追加装着する際にも効果を発揮します。
リアラックを付けることは無いかもしれませんが、精度を上げることによるデメリットは特にありません。
塗膜が無い分、錆びやすくなるという意見もありますが、それはグリスで対処済みです。

これでシートポストを適切にクランプしやすくなるでしょう。

フロントフォークもかなりキレイになりました。

写真を撮り忘れましたが、車体全体の状態で『下洗い』はしてあります。

すでにまあまあキレイになっていますが…

ここでさらに徹底洗浄!

汚れによって洗浄剤を使い分けていきます。

通常の洗車では落ちない汚れも、オーバーホールなら落とせる場合もあります。

クランクセットはこんな感じです。

下洗いはしていますが、それでもまだまだ汚れが残っています。

チェーンリングボルトがサビで固着していたので、とりあえずこのまま入念に洗浄していきます。

洗浄剤を使い分けで洗っていくと、汚れが落ちてきました。

コグも固着していてなかなか外せないので、これらのパーツは一旦、後回しです。

ネジの感触が気になったので、ステムの雌ネジも再タッピングしてみました。

各ボルトのサビも落とせました。

これならボルトもすんなり入ってくれるでしょう。

イジる機会が多い部分なので、ネジの精度は大切です。

ステムの洗浄も完了し、いい感じになりました。

次はシートポストです。

洗浄して少し磨いてみました。

長持ちするよう、各部に下処理をしています。

下洗い後のチェーンです。
これでもキレイになりつつありますが…

可能な限り汚れを徹底的に落としていきます。
サビやそれによる塗装の剥がれはどうしようもありませんが、素手で触っても手が汚れないくらいにはキレイになりました。

今回のコーティングは【WAKO'S】(ワコーズ)のバリアスコートです。
これで汚れが付きにくくもなります。

フレームとフォークにしっかりと施工しておきました。

◆ギア類の作業

浸透力の高いオイルを使い、ようやくチェーンリングを外すことができました。

まだまだ部分的に汚れが残っています。

コグも無事に外せました。
これで作業がどんどん進みます。

チェーンリングボルトのサビもここまで落とせました。

ヅケ(サビ防止目的の油に漬け込むこと)にして一旦放置。

チェーンリング(フロントギア)とコグ(リアギア)がここまでキレイになりました。

裏側も抜かり無しです。

ヅケが終わったチェーンリングナットですが、そこからさらに下処理をしています。

ペダルを受ける雌ネジも精度上げしておきました。

これでネジの通りが良くなるでしょう。

ペダルも消耗品であり、いつかは交換しなければなりません。
その時にできるだけ作業しやすいように、これを機にやっておきました。

右クランクとチェーンリングを組み直しました。
ロゴの位置には理由があります。

裏側もしっかりとキレイになっています。
こういう部分まできっちり洗浄できるのもオーバーホールのメリットです。

◆フレームへの組み付け

大きいボルトはシートクランプ用で、他はリアエンドパーツです。

これらの小さいボルトがナメられていなくて助かりました。

シートポストやサドルは仮止めです。
前後の車輪を組み付けるまでは一旦放置します。

ヘッドベアリングも劣化していました。

グリスは真っ黒になっています。

ヘッドパーツは普段の運用時にメンテナンスする機会があまり無いハズです。

トップキャップ用のボルトのサビは落とせるかどうか…。

ヘッドパーツ全て洗浄完了!

ヘッドベアリングには改めて新しいグリスを入れていきます。

使ったのは【SHIMANO】(シマノ)のプレミアムグリスです。

ヘッドカップを受けるヘッドチューブ内側には耐久性が高いグリスを使っています。

ヘッドカップ圧入完了!

フロントフォークも準備ができました。

ヘッドカップ内側(ベアリングが当たる面)にはまた別のグリスを使っています。
これはヘッドベアリングのサビ防止目的です。

トップキャップボルトのサビも落とすことができました。

◆ブレーキも解決

ブレーキセットは一式新しくすることになりました。
前後とも【DIA-COMPE】(ダイアコンペ)505Qですが、このフレームセットならではの問題点があったので、いろいろと工夫をしています。

まずはフロントブレーキ。
製品に付属している埋込ナット(『沈頭ナット』とも言う)の長さが足りませんでした。

付属品は12mmです。

そこで20mmの埋込ナットを採用しました。

そしてリアはフレームの設計上、埋込ナットが通りません。

しかもブレーキ本体を取り付けるブリッジ部分がシートステーより沈み込んでいるため、普通にリア用の本体を選んだらブレーキシューがシートステーに当たります。

そこで【DIA-COMPE】(ダイアコンペ)505Qの六角ナットタイプ、しかもフロント用を採用しました。
リア用とフロント用は本体取り付け部分の中央軸の長さが違うだけです。

もちろん、そのまま組み付けようとしても無理なので、スペーサーとしてダルマワッシャーを使いました。

微調整もしやすいです。
厚みを上手く調整できるならダルマワッシャーではなく、普通のスペーサーでもいいかもしれません。
ホイールを装着してダルマワッシャーで適切にブレーキが作動することは確認済みなので、今回はこの方法で取り付けることにしました。

◆車輪の作業

錆びていますが、実はフロントのクイックリリースレバーは【SHIMANO】(シマノ)の最上位グレードであるDURA-ACE(デュラエース)。

ハブはゴリついていますが、この錆び具合なら納得です。
シールベアリングを採用していますが、さすがにメンテナンスフリーの期間は終わっているかもしれません。

シールを慎重に外してみると、グリスが切れていました。

リムから異音がしたので見てみると、部分的に製造段階で生じたバリが取れたようで、それが原因でした。

ついでに取り除ける範囲のバリは取り除いておきました。
これでしばらくはホイールも静かになるでしょう。

振れの調整をしようと思ったら、ニップルがほとんど全てダメになっていました。
ここまできたらスポークも全部抜いて、ホイールを組み直します。

ハブ単体。

リム単体。
汚れ落としに追い込みをかけます。

ハブパーツはサビを落とし、ハブと共にヅケにしました。

ハブベアリングを入念に洗浄したら、プレミアムグリスを惜しみなく注入しています。

シールを戻したら次の工程です。

アルミは錆びないと勘違いされることが多いですが、錆びます。
鉄より錆びにくいのは間違いありませんが、錆びないわけではありません。
茶色のサビではなく白色のサビが生じます。

サビをおとすことはできましたが、文字も無くなりました。
ここまで錆びていて、サビをできるだけ除去することを優先するとなると仕方がありません。
辛うじて【SUNTOUR】(サンツアー)は残せました。
せっかくのXC PROなので、せめてこのブログで写真を残しておきます。

スポークも可能な限り磨き上げました。

ハブシャフトが通る部分にはサビ防止のために別のグリスを入れています。

振れ取り作業です。

ひどく錆びていたハブパーツもこの通り。

リムフラップが劣化していたので、リムテープを下に貼って補強しています。

デュラエースのクイックリリースレバーもほとんどのサビを除去でき、

ここまでピカピカになりました。

リアホイールはバトンタイプなのでほとんどやることはありません。

タイヤロゴとバルブの位置を合わせ直し、

下処理をするくらいです。

コグの固着を防ぐため、専用のケミカル類を使っています。

生活環境が変わることで、愛車の使い方も変わるでしょう。
ピストバイクはコグやチェーンリングを替えることで自分の脚や使用環境に合うようにギアレシオ(ギア比)を変更することができます。
その交換作業がスムーズにできるようにしておくことは大切です。

車輪を装着し、いよいよ自転車らしくなってきました。

◆BB(ボトムブラケット)まわりの作業

BBはここまでキレイになりました。
しかし、できる限りまだまだ下処理を進めていきます。

シールを外すとグリスの劣化が見受けられます。
ハブ同様、ピストバイク(固定ギア)は常に回転する部分です。
劣化するのは当然だと言えます。

古いグリスを除去し、改めてプレミアムグリスを注入していきます。

注入というか詰め込んでいく作業です。
いずれにしてもグリスの劣化は防ぎきれませんが、これでしばらくグリス切れの心配は要りません。

BBシェルには水にめっぽう強いグリスを使っています。

BB装着完了です。

クランクとチェーンリングのロゴの位置関係の理由がこちら。
右クランクをシートチューブの延長線上に持って来たときにチェーンリングの『メッセンジャー』のロゴがいい感じに見えます。

クランクをチェーンステーの延長線上に持って来たら、クランクの『スギノ』のロゴがいい感じに見えるというわけです。
走行性能には関係が無く、愛車の写真をカッコ良く撮る時に役立つであろうと思っています。

◆ハンドルまわり~仕上げ

特殊なハンドルバーを採用しています。
ブレーキレバーは【DIA-COMPE】(ダイアコンペ)TECH99ゴールドフィンガーです。

レバーのマイクロアジャスターにも下処理をしています。

ブレーキ本体側のマイクロアジャスターも同様です。

アジャスター全体にグリスで油膜を貼ることでサビ防止効果も狙っています。

ブレーキインナーワイヤーも簡単には錆びさせません。

レバーのリーチアジャストはユーザーさんに合わせています。

インナーワイヤーの末端処理方法は当店独自技術の『MEF』です。
色を選べないのが難点ですが、皮膚にも衣類にも優しい仕上げとなっています。

フレームカラーである『シーフォームグリーン』は某社の『チェレステ』に近い色です。
ハンドルバーも特殊な形状であることから、【GIZA PRODUCTS】(ギザプロダクツ)のVLT-001というバーテープのチェレステカラーをお選びいただきました。
クッション性を高めるため、隠しテープを使っています。

フラットハンドルバーにもバーテープを使うという選択はアリです。
製品によっては通常のグリップより長持ちするし、バーテープがかなり余りす。
今巻いているものがボロボロになっても、あと2回分か3回分くらいは巻き直すことができるので非常に経済的です。

今回はチェーンの交換を見送ることになり、洗浄後はヅケにしてみました。
伸びこそ無かったですが、サビが進行していたのでこれで様子見です。

そのまま装着するだけだと余計な砂や埃などを吸着して悪化するので、一夜干ししてオイルを馴染ませてから余分なオイルを拭き取りました。

そう言えばここまでカラフルなチェーンは最近見かけませんね。
カラーチェーンは出回っていますが、単色ばかりです。

ペダルも下処理を済ませています。
装着して完成です。

■車体が完成ッ!

公園内だけでの仕様という限定的な用途から、日常のアシとしての用途まで広がります。

『ストリート・リーガル』ということで、725 TRを仕上げさせていただきました。
各部を見ていきましょう。

グリップではなくバーテープを採用しています。
車体色との相性がいいですね。

ブレーキレバーは小ぶりなものを採用し、扱いやすくするためにリーチアジャストもしてあります。

ブレーキアウターケーブルはホワイトです。

せっかく取り付けた保安部品に干渉しないルーティングで仕上げています。

右レバーがフロント、左レバーがリアのブレーキ設定です。

ブレーキまわりは完全に新しくなりました。

フロントは埋込ナットを交換して対応し、

リアはダルマワッシャーを活用して、キッチリ取り付けしています。

取り付け方法こそ違いますが、前後とも同じブレーキのシリーズで合わせて統一感を出しています。

【BIKE-GUY】のCOBリアライトがオシャレさをさらに引き上げます。

明るい所で撮影したので目立ちにくいですが、夜間の視認性が高いリアライトです。
しかもこちらの製品はハート型に光ります。

サドルはひとまずこのまま。

トップキャップとトップカバーのロゴの見え方にも妥協はありません。

また、愛車の撮影をする時にカッコ良く撮りやすくするため、クランクとチェーンリングの位置も意図的に決めました。

ピストバイク(固定ギア)だと撮影時の位置合わせにこだわる場合は少々面倒です。
こだわらないユーザーさんであれば無視してもいい話ですが、せっかくなら美しくカッコ良く写真を残しやすい方がいいかなと思います。

チェーンは錆びていましたが、ひとまず再利用です。

コグも再利用ですが、かなりキレイになりました。

あとは納車時に最終調整を行います。

■防犯登録も含めてピストバイクを合法的に楽しむ!

公園や競技場等、公道ではない場所は別ですが、日本の公道で乗る場合はルールに従わなければなりません。
車体の仕様(ブレーキ、ライト、ベル等)はもちろん、防犯登録等も含まれます。

当店は防犯登録に必要な書類取得代行も有料にて承っており、おかげさまで大好評です。
そして防犯登録シールは、こちらで勝手に貼ったりしません。
どうしても防犯登録のシールは目立たせたくないというニーズが多く、それに応えるようにした結果、登録時に当店スタッフ立ち会いのもと、その場でユーザーさんの手で貼っていたきます。
貼りたい場所をユーザーさんが選べるということです。

もちろん、どうしても自分の手で貼るのは失敗しそうで怖いという場合はお手伝いします。
その自転車が法的に自分の所有物になる大切な瞬間です。
当店はそういう部分も大切にしています。

オーバーホールや日々の点検・メンテナンス、合法的に運用できるようにする方法等、ぜひ当店にご依頼下さいませ。

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