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本も父親も嫌いになった、あの日。親の提案と強制は紙一重。

「今の苦しみはあなたのせいじゃない、あなたは悪くない」
そんな思いで過去と向きあうことを自分に許すことにしました。
親子関係に何か痛みや疑問を感じてきた人に伝えたい。
とーふです。

とーふは小さい頃とても本が好きでした。
自分の世界と活字の世界が交わって広がっていく瞬間は、きっと誰もが時間をわすれて楽しめる大切な時間ですよね。
とーふは、NHKしか見せてもらえない家だったので、なおさら。
外の世界の情報が限られていたので、本を読む時間は自分の想像力を膨らませる気持ちの良い時間でした。

でも、時代は昭和のコミック雑誌全盛期。当然ながら学校に行くと、みんな好きな漫画の話をしていました。
全然わからない。話が合わない。というより興味がある無い以前に、買ってもらったことがない漫画の話をされても、仲間に入れない。
もちろん本屋さんにいくと、親の目を盗んでこっそり漫画コーナーに行ったりしました。
みんなが話をしていた漫画を急いで探したり。でも、そんな一瞬で話を合わせられるわけもなく。。。当然仲間はずれになります。

ある日親にも事情を話をして、お願いだからコミックを買ってほしいと泣きながら願い出ましたが却下。理由は「目が悪くなる」「頭が悪くなる」「くだらない」。
以上。おしまい。。。

コミックをこっそり買うほどの度胸もなく(見つかったらどうせ捨てられるだろうと思ったし)、それほどお小遣いもなく、結局学校でコミックの話が出ても我慢して時間が過ぎるのを待つのみ。

テレビのアニメも同じでした。禁止理由も「目が悪くなる」「頭が悪くなる」。同じです。でも、これも学校での友達との会話に困る原因になりました。

とーふが納得いかなかったのは、なぜかその頃入退院を繰り返していた弟は、コミック雑誌もテレビのアニメも許されていた点。その対応差は延々と続きました。なんで弟は目が悪くなっていいの?頭が悪くなっていいの?と泣きながら聞いたものです。納得いく回答は親から返ってくることはありませんでした。

つらかったのは、弟が持っていた漫画もみせても触らせてももらえない。
弟がアニメをみていても私が同じ部屋に入ってくると、弟や母からパチっとテレビを消されたり、弟からもあっちへ行け、と言われるのです。そして、私が違う部屋で勉強をしていると、母と弟は楽しそうにそのアニメをみて笑っている音が聞こえてくる。。。
怒りと悲しさと孤独感で勉強なんてできるわけありません。
学校でも孤独。家でも孤独。

そして、、、、。

その後本屋さんから返ってきた父がとどめを刺しました。

「これ、読みなさい。とてもいい本だから。」
ミヒャエル・エンデのモモでした。

きっといい本なんでしょう。推薦図書でしたし、その後大学受験に至るまで、この本をモチーフにした試験問題が何度もでてきました。
ただ、私は、とにかくこの本を開くことさえできませんでした。
子どもでいる限り、自分の望むものは手に入らないし、想像力を強制されるような事態に陥る。理不尽な状況を受け入れないと、自由は来ない。
「っていうか、いつか本当に自由になれるんだろうか?」

と「モモ」を手に、絶望を感じました。

そして、本も父も嫌いになりました。

それほど序列が 本>漫画 なのかな?と疑問を持ちましたし、それ以上にだれも私の閉塞感や孤独感なんて気づいてくれないんだなと悲しかった。

家庭内でのルールが子ども毎に違うというのは、やはり健康的な判断じゃなかったと思います。
病気がちだった弟が漫画やテレビアニメがOKなのは、痛みや苦しみを紛らわすためにも必要なことだったと思います。

その一方で、そのきょうだい児には禁止する、その理由が「目が悪くなる」「頭が悪くなる」という納得いく回答でなかった場合、きょうだい児にはきつい状況で、孤独感や閉塞感を増してしまうことになります。親は、漫画やテレビアニメの時間に勉強時間がとられるのが嫌で「それだけあなたに期待していたのよ」と言いたいところでしょうが、、。

父も、お利口さんになってほしくて「モモ」を勧めたわけではなく、本当にいい本だから娘に読んでほしかったのかもしれません。

ただ、私はもう少し、ちゃんと私の心を覗いてほしかった。家の中で、父ぐらい自分の味方になってほしかった。欲しいのは、「親目線のご提案」じゃなかたのです。提案というよりも強制に感じてしまったのです。

ひとつ私は自分(リトルとーふ)を褒めたいのは、そこで「モモ」を読まなかったということ。自分の強烈な「こういう押しつけは本当にいやだ」という気持ちを尊重したこと。自分の尊厳を自分で守ったんですね。偉かったね。わたし。
親の気持ちを無視したことで、ちょっと罪悪感はあったけど、でももう日々の宿題やら習い事で手一杯な上に、強制図書なんて、、。

はい。しなくてよし!!

○○したほうがいいじゃない?
と、どんな優しいトーンで言ったとしても、親が子どもに言ってしまうと、それは強制と紙一重だということを覚えておいて欲しい。そして、そうやって提案(強制)された○○は、永遠にその子どもにとって嫌な気持ちと結びついてしまう可能性があることがあると覚悟して欲しいです。

親の世界よりも、子どもの世界の方がずっと複雑で、広いんです。
だから、そこに寄り添っていればきっと良い方向にいけますよ。大丈夫。
できるだけ禁止や強制はしない。
お子さんのことを信頼さえしていれば、長期的にきっと幸せな結果があります。それ以前に、まずはご自身を信頼してくださいね。

とーふも自分を信頼して、日々過ごしていこうと思います。
きっと大丈夫。いろんな傷も少しずつ癒えます。






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