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途上国でバスケって実はハードル高いんだなぁと思った話

この国で人気のスポーツはクリケットとサッカーだ。

バスケはその次くらいに来る。

少し昔話をしよう。

7年前、20歳そこそこだったぼくはフィリピンンのセブにいた。ちょうどロンドンオリンピックをやっていた時期だったと思う。

ストリートチルドレンを支援するNPOの活動でバスケのコートをよく会場にしていた。

その時ほんとかどうかは知らないけれど、フィリピンでコカ・コーラ(NBAだったかな…)が支援事業の一環としてバスケのコートを積極的に作っている、その結果バスケが人気になっていると聞いた。

ぼくは高校球児だったということもあって、20歳そこそこの頃はまだスポーツといえば野球で、とりあえず野球中心に考えるクセがあった。

だからその話を聞いたとき、たしかにコートさえ作ってくれればボールあれば楽しめるもんな、野球と違っていろんな道具は必要ないから普及もし易いのか。なるほど、それがNBAファンを増やすことになって放映権料やグッズ収入で儲かるというわけか、みたいなことを考えていた。

以来、途上国ってバスケ向いてるんだなぁと思っていたわけだ。

時間を現代に、そして毎週末ぼくも活動しているちびっ子バスケ教室の話をしよう。

活動自体は「バスケ隊員になりたい人生だった」に詳しく書いたけれど、バスケをプレーする機会を地方のちびっ子にも作ってあげて競技人口と選手層の底上げを図るものだ。

この国のすべての学校とまでは言わないけれど、半分くらいの学校にはバスケのコートがある。

それを利用して、ボールをこっちで用意してバスケ教室を順番に開いていっているわけだ。

でも実際のところ、コートはあってもリングがなかったり、リングはあってもバックボードがなかったりとバスケをする環境がなかなか整っていなかったりする。(バックボードがなくリングだけのものはネットボールという競技になるらしい)

この国のコートは、ぼくが知る限りすべて野外にある。バックボードがないのは、ホントのところは知らないけれど、多くはハリケーンで飛んでいったんじゃないかと思う。毎年それが続くので諦めて、ネットボールというバックボードなしのバスケっぽい競技が普及したんじゃないかと思う。全部想像の話だけれど。

今回のトップ画像はたしかアンダー22かそこらの試合の一幕だけれど、めちゃくちゃヘタクソ。なぜ素人のぼくが言いきれるかって、レイアップシュートが入らない。びっくりするくらい。たぶんレイアップシュートの練習そんなにやってないんだと思う。それは、みんなかっこいいダンクを決めたがるとかいう話ではなくてバックボードがきちんとついてるバスケのコートが少ないせいじゃないかと思わなくもない。

わからない。高い身長を活かしたプレースタイルだからレイアップシュートの価値は低いのかもしれないけれど。日本なら、ぼくの記憶では中学の体育の授業でまずシュートと言えばレイアップのイメージがあったから、バイアスはかかっているのかもしれないけど。

話が本質から逸れた。

要するに、実際にやるとなるときちんと最低限でもプレー環境を整えて維持するのは見た目よりも結構大変だということ。

そしてボールの問題もある。バスケの場合はおそらく他の球技よりもボールの空気の入り具合は大事。だってドリブルするにしてもバウンドさせないといけないから空気が常にパンパンであることが求められる。

これ結構ハードルが高い。だってそれはつまり、空気入れがないとダメなんだけれど、途上国の学校にそんなものないから。

空気入ってるボールじゃないとドリブル全然楽しくないから、空気が少しでも抜けてる≒バスケ楽しくないってつながりやすい気がする。

この「楽しくない」ってイケてるふうにプレーできてないってことだと思うんだけれど、空気入ってるボールならドリブルとかバウンドさせたときの跳ね返りの勢いがあってかっこいい。

それは、自分でプレーしたり、ちびっ子の様子を見ててなんとなく感じた。

これ例えば、サッカーならボールは極端な話、転がれば良いわけで多少空気が抜けていようが遊べるし、最悪紙丸めてテープで固めたものでも遊べる。実際そうやって遊んでるのを何回か見たことがある。

サッカーの場合は、ゴールもここからここまでっていう幅を決めればよいわけだから絶対ゴールネットが必要なんてこともなく、遊ぶ障壁が低い。平地とボールっぽいものがあれば良いだけだから。

そう考えるとサッカー強いなと思うし、昨今の急激な世界的なサッカーブームの理由もわかる。

昨今のサッカーブームってもちろんFIFAなんかの普及活動のたまものなんだろうけれど、たぶん、インターネット時代、メッシとクリロナっていう100年に1人級のスーパースターの登場、サッカーというスポーツの道具の少なさが上手く合わさった結果だとぼくは思っている。

昔から「アメリカではボールが大きくなるほど貧者のスポーツだ、道具にお金がかからないから」みたいなことを言われていて、ぼくもそれを真に受けてバスケは途上国向けスポーツの筆頭だ。ボールとコートがあればいいんだからって考えていたんだけれど、その前提となるボールとコートの維持も結構ハードル高いんだなぁと。(だいたいセメントで固めてあるんだけれど、フラットでないとか割れてるとか、天然芝グランドのサッカーと違ってバスケってそんなコンディションってまずないからなんの練習にもならないし)

やってみないとわからないことってやっぱり多いんだなぁと思ったし、サッカーってすごいなとほんとに感じた。

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