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秋学期の終わりとここまでのイギリス大学院留学の印象

気づいたら秋学期が終わっていた。正確にはまだタームペーパーといういわゆる論文を2つ書いて出さないといけないから終わっていないのだけど、授業は終わった。年が明けて1月20何日に春学期が始まるまで休暇ということになる。課題が重いので1か月まるまる休みというわけではないのだけど。

早い。春学期は1月下旬から4月中下旬までで、夏学期は修士論文を書くだけだから、もう3分の1。授業を受けるということでいうと、半分終わったことになる。

ようやくコースメイトの人となりがわかり始めたというのに。ぼくの勝手な印象でいうと、コースメイトには外交官や元KMPGやコンサルやシンクタンクやら、貧乏人の経済学のバナジースティグリッツと共同研究してましたとかキラキラした経歴の人ばかりなのだけど、9割は内向的なように思う。もちろんぼくも含めて。

ぼくのコースIDSのGlobalisation, Business and Development は今年20人ほどで、これは毎年この程度らしく最大でも30人を超えるようなことはないようだ。20人程度だからといって、常に20人でいっしょに授業を受けているわけでもないので、実はまったく喋ったことない、ほぼ話したことない人もまだいる。

で、授業の方はどうかというと、これは評価が難しい。だってぼくにとっては初めての大学院だし、留学だしで比較対象がないから。ただ、なんだかんだで自分がやりたかったこと、勉強したかったことはできているのかな、という印象ではある。

全体の流れとして、グローバリゼーションとかビジネスという側面から開発を学ぶカリキュラムではあると思う。

ただ、初めて開発学を学ぶ人が大半だからか、授業は「貿易と開発」「デジタルと開発」「農業と開発」みたいなテーマでその分野の概要と現在の課題みたいなのを1週間ごとにたたきこんでいく。それらの中から自分が興味あることをタームペーパーで深堀りしていく。その深堀りが専門性ということになるのかな、そういう意図があるカリキュラムなのかなと思ったりしている。

なので、ぼくは以前書いたような途上国とデジタル化みたいなテーマを少し深掘ってみたり、自分が弱いと自覚のある経済について学べているので、個別にみると「うーん」と思うこともないではないのだけど、全体としてみれば順調というか、予定通りというか、知りたかったことを知れているので成長している(?)、前に進んでいる感じはある。

これから開発を学ぼうと進学を志す後進の人たちにアドバイスを少し送るとすると、サセックス大学のIDS(Institute of Development Studies)の場合、総合コースのDevelopment studiesよりは、gender and development とか poverty and development とか絞った方がいいと思う。

理由は単純に学生の平均年齢。Development Studiesは若い人が多い印象がある。とりあえず、国際協力やりたい!みたいな人が多い印象。国際協力やりたいけど具体的に何するかはこれから!な人が、取り組む社会課題を探すコースなのかなという印象。もちろんそうじゃない人もいるし、そういう人は少なくはないけれど、それでもたぶん平均年齢って25歳くらいなんじゃないかと思う(偏見)。一方で、ぼくのいるコースとかなら平均年齢だとたぶんアラサー。ぼくの推定では28歳。中央値も29±1歳だと思う。もちろん大学を卒業してからストレートで来てる人もいるけど、それなりにいろんな経験を開発に限らず積んでから来てる人の方が多い。

そういう、特に自分が知らない経験をしている人(アフガニスタンからあの混乱の最中に出国してきた人やシリアでWEPで働いてた人、自分のNGO持っている人などなど)が、何の気なしに話す授業外での雑談が一番おもしろい。なんなら授業より勉強になる。(あと、もちろん年齢を気にする人はいないけれど、20歳そこそことアラサーという年齢差からくるノリの違い、話の合う合わないは現実としてある)

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話を戻すと、留学前はアカデミックと現場の距離は遠いなと感じると諸先輩方から聞きかじっていたのだけど、たしかに、そういう視点でみると、そうだなと思うけれど、正直、万能性を求めすぎでは?と思わなくもない。

まず、トップダウンかボトムアップの違い。
ぼくがやっていたような協力隊活動は典型的なボトムアップで草の根的活動。小さな成功事例を積み重ねて周りに波及させて大きなムーブメントにしよう、政策立案につなげようみたいなイメージ。それに対して大学院で学んでいるのは、トップダウン。どんな条件があれば世の中よくなるかな、環境が整うのかな、そのためにはどんな政策を立案、実行すればいいのかをいろんな事例を交えて考えている。

そして現場は基本的に個別事例を扱うのに対して、アカデミックはいくつかの個別事例から共通性を見出し、抽象化して理論化して他事例にも適用、応用できるようにする。

これらはあくまでぼくの雑多な理解だけれど、要するにアプローチというかむしろ役割が違うのだから両者に良い悪いも遠い近いもないのでは?

これがぼくの印象だけれど、こんな風に思ってしまうのはぼくが物わかりが良すぎるからだろうか。もっとお前ら頑張れと思った方がいいのだろうか。

あともうひとつ。学問は実務の10年先を行ってる、なんてことも聞いたことあるけれど「そうかぁ???」と思う。これはもちろん、どの分野のことをどれだけ経験したかとか、開発実務で誰に師事したか勉強したかとかで印象変わるのだろうけれど、まだこんなことやってんのかと思うこともチラホラあるし、新しい論文なりレポートがでれば現場の人も目を通すだろうから10年は盛り過ぎだろうと思う。それに、現場のことは現場の人が一番分かってるし、途上国のことはその途上国の人が一番わかってるはずなのに、たまに研究と称してやってきてはしばらく滞在してから豊かな国に戻って「発見」を発表する人たちの方が評価が高いのはなぜなんだろうなと思ったりしている。

留学前半の印象はこんな感じだろうか。愚痴が多いような気がしないでもないけれど、もともとぼくは毒性が強めではあるし、ポジティブに捉えると、これが大学院で学んだクリティカルシンキングであると言える(違う)。

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