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はるかなる草原のモンゴル5 モンゴルで歌うカチューシャ

トンへルツアー(キャンプ村)オーナーの息子さんモギーさんは、オーストラリアに留学しておられた経験があり、英語を多少話されるので、英語でカタコト同士、なんとかコミュニケーションをとることができます。
でもお父さんのラドナさんはモンゴル語だけ。私たちはモンゴル語が話せません。いつもとても優しそうな笑顔をくださるので、もっとお話がしたい、と思っても、「サンヴェーノ(こんにちわ)」と挨拶すると、あとは互いに照れ臭そうに微笑むだけで、言葉が通じないもどかしさを、いつも感じていました。

植樹に行った帰り道、車のなかで、通訳さんが、「セレンゲ県は、ロシアに近く、昔からロシアとの人の往き来があって、ラドナーさんも若い頃、ロシアの学校で学んでおられたことがあるので、ロシア語はすこし話される」と聞いたので、
「日本でよく知られているロシアの歌があります。いまから歌うので、もし、ご存じなら一緒に歌ってください」と訳してもらって、

 ♪リンゴの花ほころび 川面にかすみたつ
 君なき里にも 春はしのび寄りぬ♪

と歌いました。
そうしたら、途中から鼻歌のようにフンフンフンと歌われて、
「ああー、カチューシャ!」
と言われたのです!
やっと、共通の言葉が、通じ合いました!
カチューシャという歌のタイトルはロシア版そのままなんですね!
…聞けば、カチューシャにはモンゴル語の歌詞もあって、モンゴルでも多くの人が知っている歌なのだそうです。
以前、カザフスタンの若者とも一緒にカチューシャを歌ったことがあります。
いったい、世界じゅうの、どのくらいの国と地域で、カチューシャは人びとに歌われているのでしょうか?

カチューシャは、ロシアではよくある女性の名前なんだそうです。戦争に出征したまま、帰らぬ恋人をふるさとで待ち続ける娘のつらい気持ちを歌った歌で、反戦歌として、世界に広まったのだと思います。

モンゴルと日本から、「ロシアは戦争をただちにやめてほしい、カチューシャの悲しみをこれ以上、未来まで続けないでほしい」、そんな願いが風に乗ってロシアまで届くとよいのですが…

それにしても、歌は、軽々と、国境を、言葉の壁を、政治の壁を、越えていくのですね!
なににもとらわれず、自由に、
草原を吹きわたる風のように!

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