とある基礎系心理学者

大学教員。専門は基礎系心理学・認知脳科学。社会にゆるーく研究の知見を紹介することを目指…

とある基礎系心理学者

大学教員。専門は基礎系心理学・認知脳科学。社会にゆるーく研究の知見を紹介することを目指しています。 記事の見出し(#N-X)について、Nは通し番でXは内容:今のところDが大学関係、Eが英語、Kが課金あり、Pがプログラミング関係、Sが科学的知見紹介。

最近の記事

#28-D 底辺大学の教員 その2

私自身も底辺大学の教員なのですが、その1 でも書いたように、総じて質が低い。まともだと思ってた人もそうでもなかったことが判明し、四面楚歌とも言えるような状態。人としては別に普通なんですが、言葉を選ばずにいうと 「あたまがわるい」 本当にそう思います。メールも要領を得ず、こちらの質問への回答はない。例として最近のメールを公開します。

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    • #27-D 奨学金は「借金である」と明言している借金である。

      このYahoo! 記事をみて、ちょっと違和感を感じました。記事内容はざっくり、奨学金は借金で、返済が厳しい元学生にも容赦なく負担になる。これはどうにかすべきではないか。という内容でした。 この記事の主役的な人(団体)のサイトです、ここには 「親の所得や家庭環境によって18歳の時点で数百万円の借金を背負わなければならず、その後何十年間も、奨学金の返済に人生を縛られる。 そんな理不尽な奨学金制度を変えるために、私たちはプロジェクトを結成しました。」 とあります。 ものすご

      • #26-S ぼんやりの心理的メカニズム

        久々の更新…。怠惰爆発ですね。忙しいとはいいたくない。。 さて、気を取り直して。#23にて「ぼんやり」について紹介しました。 この研究をきっかけに、「ぼんやり」、正確には「マインドワンダリング(以下MW)」という現象が認知科学領域で注目され始めました。 今日は、その心理的メカニズムについての仮説を紹介します。要は、「なぜぼんやりとするのか」という話です。もちろん科学的に検証されたもの。気になりませんか?? それでは、ご紹介します! と、その前に重要になるのは実行機能

        • #25-S 一世代で財を築く人の性格とは

          紹介論文:Leckelt, M., König, J., Richter, D. et al. The personality traits of self-made and inherited millionaires. Humanit Soc Sci Commun 9, 94 (2022). https://doi.org/10.1057/s41599-022-01099-3 一般的には「性格」と言われる個人の特性を、心理学ではパーソナリティとかいいます。この論文はタイ

        #28-D 底辺大学の教員 その2

          #24-S アンケート調査は疑ってかかれ

          疑って「かかれ」っていうのは、自分が調査側の人間だったらという意味です。 アンケートっていうと嫌う研究者もいますが、正しくは質問紙調査ですね。いわゆるアンケート。笑 あなたは〇〇ですか、とか、普段〇〇をする頻度はどのくらいですか、みたいな質問に 「ほとんどない あまりない よくある つねにある」みたいな選択肢から一つ選んで丸をつけていく、みたいなアレです。 学部生のころに、初めて先輩の質問紙調査に参加して、こんなので何がわかるんだろ?と思ってました。統計を学んだ今ではそ

          #24-S アンケート調査は疑ってかかれ

          #23-S ヒトはぼんやりする、そしてぼんやりは不幸せにつながる

          紹介論文 Killingsworth, M. A., & Gilbert, D. T. (2010). A wandering mind is an unhappy mind. Science (New York, N.Y.), 330(6006), 932. 私の研究テーマのひとつは、マインドワンダリングという心理現象です。以下MWとします。MWは「ぼんやり」のことです。読書中に他のことをぼんやりと考えてしまう、他人と話をしているときにぼんやりと他のことを考えてしまって、

          #23-S ヒトはぼんやりする、そしてぼんやりは不幸せにつながる

          #22-S 不安なときは危険を感じやすい

          Robinson, O.J., Charney, D.R., Overstreet, C., Vytal, K., & Grillon, C. (2012). The adaptive threat bias in anxiety: Amygdala–dorsomedial prefrontal cortex coupling and aversive amplification. NeuroImage, 60, 523-529. 不安には適応的な意味、すなわち生きていく上

          #22-S 不安なときは危険を感じやすい

          #21-S コロナになったら脳が縮む!

          驚き&こわすぎます! コロナになったら脳が萎縮するという報告がありました。最高峰の科学誌Natureでの報告です。 萎縮していた箇所はorbitofrontal cortex and parahippocampal gyrus、つまり記憶に関連する領域です。物忘れとか、認知症に直結するような場所です。こういう変化まであるとなると、ワクチンは打っといた方がいいかも、と思えますね。。。 自分自身が納得のいく、万全な対策を心がけましょう!!

          #21-S コロナになったら脳が縮む!

          #20-D 底辺大学の教員 その1

          新年度が始まりました。桜舞う季節、新生活の始まりにワクワクと胸をふくらませる人がちらほら出てくるこんな季節。我が底辺大学にも学生と教員が新しく仲間入りしました。 本日は、底辺大の教員の話。 私もその一員だということは重々承知。 こちらで書いたように、底辺大の教員の質はある程度低い。ここでいう質に人柄は含まない。いい人もいっぱいいる。でも、そういう話じゃない。アカデミックで生きていくには、研究と教育ができるかがもっとも重要だろう(政治とか大学運営はそもそも教員のやることか?

          #20-D 底辺大学の教員 その1

          #19-S 「数字を繰り返す」だけでわかること

          St Clair-Thompson HL, Allen RJ. Are forward and backward recall the same? A dual-task study of digit recall. Mem Cognit. 2013;41(4):519-532. doi:10.3758/s13421-012-0277-2 だいぶキャッチーなタイトルにしてしまいましたが、有名な神経心理学的課題の紹介。Digit span task (数唱課題)って課題があり

          #19-S 「数字を繰り返す」だけでわかること

          #18-S 人は「手抜き」が大好き

          三浦 麻子, 小林 哲郎, オンライン調査モニタのSatisficeに関する実験的研究, 社会心理学研究, 2015, 31 巻, 1 号, p. 1-12 心理学の調査的手法を用いる分野では「Satisfice」というものが問題になっています。 Satisficeとは、「努力の最小化傾向」のことを指します。ヒトは、何かの目標を達成するためにかける努力(労力)を最小化するという傾向があるのです。当たり前のようですが、これが心理学的調査研究を行う分野(多いのは社会心理分野)で

          #18-S 人は「手抜き」が大好き

          #17-S face-diet... 小顔ダイエット?

          Rhodes, G., Jeffery, L., Watson, T. L., Clifford, C. W., & Nakayama, K. (2003). Fitting the mind to the world: Face adaptation and attractiveness aftereffects. Psychological Science, 14(6), 558–566. 研究テーマの一つが顔認知、つまりヒトがヒトの顔を認識する能力についてなんですが、

          #17-S face-diet... 小顔ダイエット?

          #16-E 漫画対訳 One Piece-Chap.1

          愛すべき漫画「One Piece」にでてきた文で日英対訳チェック。英語のリハビリ用。英語中級者で暇な人、ぜひ読んでみて。 ▶俺の財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ…。探してみろ、この世のすべてをそこに置いてきた → My treasure? Why, It's right where I left it… It's yours if you can find it… But you'll have to search the whole world! 逆(翻訳):俺の宝?はっ、

          #16-E 漫画対訳 One Piece-Chap.1

          #15-E 「自然な」英語表現 Ver.∞

          研究やってると、どうしても英語は必須です。国際論文が主な業績だし、国際学会では英語できないと意味ないし。ビジネス・学術むけの英語に特化するって方法もあるかもしれんけど、まずは日常会話かなーってことで、日常会話レベルでの英語を学んでいます。 日常のフレーズを、ネイティブが使う表現に絞ってご紹介。 ・「赤ちゃんが生まれた」 ”baby was born” > "gave birth to a baby" > "deliver a baby" という表現の自然さの順番。deli

          #15-E 「自然な」英語表現 Ver.∞

          #14-S わかりやすく!信号検出理論

          認知心理学の領域でたまにでてくる信号検出理論。名前と同様、内容も結構難しい。ネットで調べても難しい説明がならぶ…。 自分が学部の頃困ったので、同じような初学者へ向けて、なるべくわかり易い解説をします!ちょっと長いけど、読めばきっと全体像はつかめるはず!一般的な大学の心理系学部生ならこのくらい分かってれば十分、というレベルでの解説です。 なんのための理論かこの理論は「ある特定の信号が含まれているか否かを判断するプロセスをモデル化したもの」であり、そこから正確さに関わる指標とバ

          #14-S わかりやすく!信号検出理論

          #13-S パーキー効果:イメージが「見え」をかえる

          C. Perky (1910) An experimental study of imagination. American Journal of Psychology, 21 pp. 422-452 パーキー効果とは知覚対象の特性に応じてイメージ活動が阻害されたり、逆にイメージ活動により特定の知覚活動が阻害されたりすることを指します。 Perky (1910) の実験では、実験参加者に対して何も写っていないスクリーンを呈示し、そのスクリーン上に葉っぱが写っているイメー

          #13-S パーキー効果:イメージが「見え」をかえる