![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65019259/rectangle_large_type_2_a0d886ca27cc58b27bb1ac371949a26b.jpeg?width=1200)
Photo by
aoyamayuki
天球の卒業式
筆で文字を記さなくなったから
誤りは 消しゴムで書き直せる
ひとつの空間に居なくても話せるから
コメントは 液晶のなかで消去できる
やり直しの効く生活に
慣れきった僕らは
やり直せない間違いに弱くなった
すれ違うあなたとの感情
置いてけぼりの淡い妄想
途切れてしまった僕らの創造は
地平を見下ろす天球に吸い込まれた
無数に浮かぶ小惑星の海で
定まらない座標軸ばかり求めている
うなだれたままじゃ変わらない
たとえ黒い雲に覆われても
僕らは
スピカを見つけられるかな
卒業しよう
湿りすぎた過去の詩を
このまま終わりたくないだろう
どれだけ時の番人が冷たく当たろうと
恥も 愛も 妬みも 怒りも
仰いだ星空に撃ち返せ
「あんなことしなければ」って
悔いるのはもうやめよう
無理する必要はないんだよ
夜に封切られた涙が
僕らを一人にしないから
卒業しよう
怒りに紅く染まった月を
未完成の道標が
空白だらけの天の川が
抽出された言葉たちが
僕らが棲む常夜の闇を埋めていく
人間の運命に俯いてしまう
僕らでも
人間の可能性に帰依する
僕らなら
もう一度 仲間と
星空を歩けるよ
ほら スピカはそこに在る
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?