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本と映画がすき。 日々思うこと、心の動きの記録。日記も書きたい。

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最近の記事

映画『アフター・ヤン』が描く、日常のかけらが織りなすきらめき

AIと人間の関係を描いた作品はたくさんある。だが、『アフター・ヤン』ほど静かで美しい作品に出会ったことがあるだろうか。この映画は、AIのヤンと人間の家族との別れを通して、命の大切さと思い出のはかなさを鮮やかに描き出していた。 映画を見終わった後、まず心に残っていたのは、その素晴らしい音と映像の美しさ。ヤンが残した短い録画の数々は、まるで宝石箱をのぞき込むようだった。お茶の葉っぱがお湯の中でゆっくりと開いていく様子、木漏れ日に照らされた部屋の隅っこ、深い緑に包まれた森の風景。

    • 映画『バービー』に泣いた夜 - 私たちは何者でなくてもいい

      正直、最初は「え?バービー人形の映画?」って思ってた。でも、観終わった今、胸がいっぱいで、何から話せばいいのか分からないくらい。この映画、ただの煌びやかなおもちゃや女性の憧れてみたいな話じゃない。こんなに深くて、こんなに心に刺さるなんて。 まずグロリアのセリフ。あそこでもう、涙腺がだめだった。女性として生きることの苦しさ、社会から求められることの重圧。それを彼女があんなにも的確に言葉にした時、「そう、そうなんだよ」って心の中で叫んでた。自分の中にあった、でも上手く表現できな

      • 映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が紡ぐ希望の糸

        この映画を観終わった後、心がじんわりと温かくなった。それは、希望の光を見出したような不思議な感覚だった。 3シリーズで散々打ちのめされたスパイダーマンの運命。(未だにノー・ウェイ・ホームのラストを思い出しては涙が出そうになる)(アメイジング・スパイダーマンも辛い。でも違うMJを助けられたから少し救われた) その重圧を知りながらも、マイルスは真っ向からぶつかり、自分なりに前に進み続ける。その姿に、グッときてしまった。 彼の成長は、まるで私たち自身の姿を映し出しているかのよう

        • ドラマ『スタートアップ: 夢の扉』が教えてくれた仕事観と人生の楽しみ方

          韓国ドラマ『スタートアップ夢の扉』を観て、仕事観の視野がぐっと広がった気がする。最初は「恋愛ドラマなんでしょ?」と思っていたのに、とんでもない。仕事のこと、人生のこと、いろんなことを考えさせられる素敵な作品だったのだ。 予想外の展開に目からウロコ 正直、韓国ドラマって恋愛ばかりなイメージだった。でも、これは違う。もちろん恋愛要素もあるが、それ以上に「仕事」と「成長」がメイン。 特に印象的だったのが、チーム長のキャラクター。この人がすごい。ダルミのことだけじゃなく、サムサ

        映画『アフター・ヤン』が描く、日常のかけらが織りなすきらめき

        • 映画『バービー』に泣いた夜 - 私たちは何者でなくてもいい

        • 映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が紡ぐ希望の糸

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          小島秀夫の世界:創造と信頼が織りなす現場『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』

          ゲーム業界で有名な、小島秀夫監督。ゲームは「あつ森」くらいしかちゃんとプレイしたことのない私でも知っている方だ。しかし、その実像はどれほどの人が知っているだろうか。ドキュメンタリー映画『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』は、そのクリエイターとしての姿を鮮やかに描き出していた。 映画を観て最初に感じた驚きは、小島監督の仕事への姿勢だ。何から何まで関わる。そんな言葉では表現しきれないほどの対応範囲。普通なら、そんな忙しさに音を上げてしまいそう。でも、

          小島秀夫の世界:創造と信頼が織りなす現場『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』

          映画『メッセージ』が問いかける人生の選択と言葉の力

          この作品が描く世界は、まるで詩のように美しい。そして、その美しさは単なる視覚的なものではない。言葉という概念そのものが持つ力、その神秘性を見事に描き出しているからだと思う。 冒頭から、私たちは言語学者ルイーズの視点を通して、“謎の知的生命体”との遭遇という非日常的な出来事に巻き込まれていく。彼女の使命は、彼らの言語を解読して、地球へ来た目的を探ること。そして、その過程で明らかになっていくのは、言葉が単なるコミュニケーションツールではなく、時間や文化、そして存在そのものを紐解

          映画『メッセージ』が問いかける人生の選択と言葉の力

          映画『C'mon C'mon』が描く人生の不確実性と前進する勇気

          『C'mon C'mon』は、一見静かな映画だが、観る者の心に確実に響く深い魅力を持つと思う。私にとって、この作品は心にじわじわと浸透していく、言葉では表現しきれない良さがあった。 まず印象的だったのは、子供の自由奔放な姿と、それに翻弄される大人たちの描写。『アマンダと僕』や『フロリダ・プロジェクト』を思わせるような、リアルで温かみのある表現に、どこか安心感を覚えた。子供の無邪気さをありのままに描き、それに向き合う大人の姿。そこには、人間関係の機微が見事に表現されている。

          映画『C'mon C'mon』が描く人生の不確実性と前進する勇気

          生きることの意味を問いかける『ゴジラ-1.0』

          ゴジラ-1.0を観て、しばらく気持ちが落ち込み立ち直れなかった。こんなに心を揺さぶられるなんて。 まず、神木隆之介演じる敷島の演技に圧倒された。彼の心の揺れ動き、後悔、生きることへの葛藤...それがあまりにも生々しくて、思わず息を呑んでしまった。「生きて帰ってこい」と言ってくれた大切な人がもういないこと。生きていることで「恥知らず」と罵られること。それでも生きなくてはならないというプレッシャー。これって、現代を生きる私たちにも通じる何かがあるんじゃないかな。 それにしても

          生きることの意味を問いかける『ゴジラ-1.0』

          言葉の壁を越えて「わからない」から始まる人生の冒険『マダム・イン・ニューヨーク

          大人になると機会は少なくなるけれど、人生には「わからない」瞬間がある。新しい言語や未知の環境。そんな壁にぶつかる時、私たちは何を感じるだろう。 最近観た映画『マダム・イン・ニューヨーク』は、まさにその「わからない」感覚を鮮明に描き出していた、印象深くて勇気をもらった物語だった。 主人公シャシが直面した英語が話せない現実。それは単なる言語の問題ではなく、自信や自尊心、そして家族との関係性にまで影響を及ぼす深刻な問題だった。特に印象的だったのは、家族間の雰囲気の悪さ。英語が通

          言葉の壁を越えて「わからない」から始まる人生の冒険『マダム・イン・ニューヨーク

          気付きと笑いが詰まった『おっさんずラブ リターンズ』:新たな価値観、家族の形。

          最近のお昼休みの楽しみといえば『おっさんずラブ リターンズ』。このドラマ、やっぱりものすごく愉快で楽しいのにメッセージもよくて最高。名前がつく関係性とか性別とか、そんな枠を超えて、目の前の人をどう大切にするかを描ききっている印象があって、楽しみながらも感動しちゃった。 特に印象に残ったのは、「価値観に違いがあっても、喧嘩や擦り合わせの過程で二人だけの価値観が生まれる」という言葉。これ、本当に素敵だと思う。人間関係って、違いを乗り越えた先にこそ、本当の絆があるんだなと深く感じ

          気付きと笑いが詰まった『おっさんずラブ リターンズ』:新たな価値観、家族の形。

          映画『ウィッシュ』自分の気持ちを諦めなくていい

          ディズニーにプラスに追加されていたので早速見た『ウィッシュ』。あるsnsで見かけてしまった酷評(?)から身構えてたけど…私は勇気をもらった。 優しさやルールにしばられて飲み込んでいる気持ちってたくさんある。そんな日々の中での違和感を声に出してもいいんだと、間違っていないんだと勇気をくれる作品だと思った。 アーシャの素敵なところは誰かのために自分なりに考えて行動した点だと思う。あわせて、周りの友人たちも自分なりの考えを持っていて、伝える姿勢でいるのがよかった。もしアーシャが

          映画『ウィッシュ』自分の気持ちを諦めなくていい

          映画『ノートルダムの鐘』『87分の1の人生』良い人ってなんだろう

          最近観た映画『ノートルダムの鐘』『87分の1の人生』がすごく好みでしばらく余韻に浸っている。なぜこんなに?と考えたらどちらも共通して人間性の描き方が飾り気がないからだと気付いた。せっかくなので感じたことをまとめたらすごい文字数になってしまいました。 良ければ目次から気になるところを読んでもらえたら嬉しいです。 ※ネタバレを含みます 世の中の「どうしようもない」が描かれている映画がすき私が好きな、しばらく余韻に浸っていられる映画やドラマは、一般的には鬱映画と言われるような類が

          映画『ノートルダムの鐘』『87分の1の人生』良い人ってなんだろう

          映画『ビフォア・サンセット』奇跡は二人が再会出来たことではなくて

          鑑賞後、心が満たされるような幸福感と、身に覚えのある後悔する気持ちのリアルさに挟まれた。 映画『ビフォア・サンライズ』を観て会話を中心に話が進むスタイルと美しい風景に心を奪われた数日後だ。 『ビフォア・サンライズ』のラストシーンで、二人は半年後にまた会おうと約束する。 連絡先も交換せずに、必ず会えるという奇跡を信じて別れを告げる二人はあまりに力強くて驚いてしまった。 だって、もし何か理由があってその日に待ち合わせ場所に行けなかったら? 行けなかった方も、待ち続ける方もどちら

          映画『ビフォア・サンセット』奇跡は二人が再会出来たことではなくて