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映画『C'mon C'mon』が描く人生の不確実性と前進する勇気

『C'mon C'mon』は、一見静かな映画だが、観る者の心に確実に響く深い魅力を持つと思う。私にとって、この作品は心にじわじわと浸透していく、言葉では表現しきれない良さがあった。

まず印象的だったのは、子供の自由奔放な姿と、それに翻弄される大人たちの描写。『アマンダと僕』や『フロリダ・プロジェクト』を思わせるような、リアルで温かみのある表現に、どこか安心感を覚えた。子供の無邪気さをありのままに描き、それに向き合う大人の姿。そこには、人間関係の機微が見事に表現されている。

子供の無邪気さと大人の葛藤

正直なところ、私はそれほど子供好きではない。だからこそ、映画の前半でジェシーが見せる態度に、少なからず苛立ちを感じた。ところが、そんな自分の反応に気づいたとき、はっとさせられた。「そうか、私も昔はあんな風だったのか」と。

私たち大人は、成長の過程で失ってしまった何かを、子供たちの姿を通して思い出すのかもしれない。そして同時に、その無邪気さに戸惑い、時に苛立ちを覚える。この映画は、そんな大人と子供の微妙な関係性を、実に巧みに描き出していた。

未来への向き合い方

この映画の核心は、ジェシーが語った言葉にあると思う。「未来を考えたことある?」という問いに対する答え。

「起こると思うことは絶対起こらない。考えもしないようなことが起こる。だから先へ進むしかない。C'mon C'mon...」

予測不可能な人生を生きる勇気

私たち大人は常に未来を予測し、計画を立てようとする。でも、実際に起こることは、私たちの予想をはるかに超えていることが多い。良いことも悪いことも、想像もしなかったことが次々と起こる。そんな中で、私たちにできることは何だろうか。

そう、前に進み続けること。「C'mon C'mon...」と自分に言い聞かせながら。

この映画は、そんな人生の不確実性と、それでも前に進む勇気の大切さを、静かに、力強く語りかけてくた気がした。

エンドロールの余韻

エンドロールに流れるインタビューの答えも、とても印象的だった。子供たちの純粋な声が、映画のテーマをさらに深く掘り下げているようで、余韻が長く残った。

『C'mon C'mon』は、一見すると静かな映画かもしれない。でも、その中に秘められた人生の真理は、観る人の心に確実に響いてくる。未来は予測できないけれど、それでも前に進み続ける。そんな勇気をくれる、素晴らしい作品だった。​​​​​​​​​​​​​​​​

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