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映画『バービー』に泣いた夜 - 私たちは何者でなくてもいい

正直、最初は「え?バービー人形の映画?」って思ってた。でも、観終わった今、胸がいっぱいで、何から話せばいいのか分からないくらい。この映画、ただの煌びやかなおもちゃや女性の憧れてみたいな話じゃない。こんなに深くて、こんなに心に刺さるなんて。

まずグロリアのセリフ。あそこでもう、涙腺がだめだった。女性として生きることの苦しさ、社会から求められることの重圧。それを彼女があんなにも的確に言葉にした時、「そう、そうなんだよ」って心の中で叫んでた。自分の中にあった、でも上手く表現できなかった思いが作中で吐き出されていくみたいで代弁してくれたのが嬉しくて、的確で、思ったより色んなことを感じていた自分にも気付けた。

意外だったのがケンの描き方。最初は「ただの一生懸命で少しチャラくみえちゃうキャラ」くらいにしか思ってなかったけど、彼が人間社会で感じた戸惑いや実際に“男性社会”を導入してみて苦しみを語るシーン。それを聞いて、「あ、男性も大変なんだな」って思える描き方がよかった。社会の中で「男らしく」生きることの難しさが、こんなにも分かりやすく描かれる映画だとは思わなかった。

バービーランドと人間社会の対比も面白かった。女の子が活躍する世界と、まだまだ男性社会の現実世界。その落差に、自分の日常を重ねちゃって、「社会の在り方って難しいけど実際そうだよね」なんて思いながら観てた。その対比の中で、強きもの(優先されている立場)は、他方のことを蔑ろにしがちなことも描かれるのがいいなぁと思った。バービーランドでも同様に、男性キャラの存在を軽く扱っていた。態度で描いたあとに後半でバービーの言葉として謝っていたのも良かったなぁ。

この映画で一番グッときたのは、最後の「何者でもなくていい」っていうメッセージ。なんだかホッとしました。今まで「こうあらねば」って思い込んでた自分が、ふわっと軽くなった気がして。バービーの最後の選択も、なんだかすごく勇気をもらえたな〜

この映画を観ながら、ふと思ったこと。私たちが今、当たり前に享受している自由や権利って、実は先人の、性別とか関係なく勇気ある人たちたちが必死で勝ち取ってくれたものなんだって。その大切さを、この映画は静かに、でもしっかりと教えてくれた気がする。

笑って、泣いて、考えさせられて。こんなに心揺さぶられる映画だとは思ってなかったけど、押し付けられずに背中を押してもらえるような映画だった。明日からの日常が、ちょっとだけ違って見えそうだし、もしかしたら自分自身のことも今までとは違う目で見られるかもしれない。

この映画が教えてくれたのは、完璧じゃなくていい。何者でもなくていい。ただ、自分らしく生きていけばいいんだってこと。そんな気持ちで、明日も頑張れそうな気がする。

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