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小島秀夫の世界:創造と信頼が織りなす現場『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』

ゲーム業界で有名な、小島秀夫監督。ゲームは「あつ森」くらいしかちゃんとプレイしたことのない私でも知っている方だ。しかし、その実像はどれほどの人が知っているだろうか。ドキュメンタリー映画『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』は、そのクリエイターとしての姿を鮮やかに描き出していた。

映画を観て最初に感じた驚きは、小島監督の仕事への姿勢だ。何から何まで関わる。そんな言葉では表現しきれないほどの対応範囲。普通なら、そんな忙しさに音を上げてしまいそう。でも、小島監督は違う。

楽しそうに。前のめりに。そんな言葉がぴったりくる。

仕事を楽しむ。簡単なようで、実は最も難しいことだと思う。それを当たり前のように実践する小島さんの姿はかっこよかった。「仕事が楽しくてしょうがない」その言葉に偽りはなさそうだし、むしろその言葉すら楽しさを表現しきれていないように感じた。ライフワークに組み込まれているようなワクワク感が伝わるんだもの。
ゲームをとおして届けたい価値観や変えたいことがあるという信念みたいなものもワクワク感になっている気がした。

魅力はそれだけではない。監督を取り巻く人たちとの関係性も興味深く、とても素敵だった。周りからの信頼。慕われる姿。それは単なる上下関係や開発者と指示者などではない。互いを高め合うクリエイター同士の深い絆だと思った。

製作現場でのキャストや開発者とのやり取りを見ていると、その空気感が画面を通して伝わってくる。「わ〜めっちゃいい現場…!」思わずそんな言葉が口をつく。良い作品は、良い環境から生まれる面があるけど、小島監督は、その環境づくりの天才なのかもしれない。

特に私の知りたいことだった、創造の源泉とも言える映画や本への愛着。楽しんでいる量の多さに私は驚きを隠せなかった。「仕事でみちみちなのに、一体いつ読んだり観たりしてるんだ…」と、そんな疑問が湧いた瞬間、小島さんの言葉。

「映画を見て光合成する」

なんて詩的な表現…!観る時間を捻出しないと、仕事とのバランスが、などと考えている私とは根本的に違った。でも小島監督にとってはそれが現実で、映画や本は単なる娯楽ではない。創造のための栄養素であり、日々のエネルギー源なんだろう。

『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』は、単なる成功者のドキュメンタリーではなく、作品に対する情熱、信頼で周りを巻き込むクリエイターとしての姿勢が描かれた作品だと感じた。

観終わった後、私の中に湧き上がったのは、自分も何かを創りたい、同じ目標に向かって誰かと走りたいという、わくわくした衝動だった。

この映画は、ゲーム業界に興味がある人はもちろん、クリエイティビティに関わるすべての人におすすめしたい。きっと、何かを感じ取れるはず。そして、私と同じように自分の中にある『何かつくりたい』の気持ちを燃え上がらせることができるだろう。​​​​​​​​​​​​​​​​

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