20230801 私小説【きらきらのうみへかえるのか】
■プロローグ
「父さん、これで僕も人間ランク最下位から2ランクくらい上がれたかな、ごめん」
既視感の中に祖父忠義の存在があった。ただし、僕が知ってるのは写真の中のパンチパーマに茶褐色の忠義で動く忠義については皆目見当もつかないがいかにも海の男。僕とは正反対の風貌だ。都会生まれの人間レベル最下位の僕。一年中、同じ色のネルシャツを着て、いかにも引き籠りだ。隣にいる忠義はいつも耳元で同じことをつぶやく。潮焼けか酒焼けなのかはわからないがしゃがれた声だった。「忠義、これでよかった