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2023-006タイトル【かっこつけすぎの言い訳】 ラジオドラマ脚本 0429

一本木 誠(イッポンギマコト)旦那 60歳  
一本木 恵(イッポンギメグミ)奥さん 60歳 

誠(M)次の電車かな?天気予報だとこれから雪のはず、完璧だ。紅白祝い。

恵「どうして?待ってたの?」
誠「雪降るみたいだし、恵がさあ心配」
恵「スエットパンツ、なに入れてるの?」
誠「別に、なんだよ」

誠(M)あれ?ばれたかな?

誠「駅でたら、雪避けるとこないじゃん」
恵「変な言い訳」
誠「雪降ったらさあ、危ないじゃん」
恵「なに、見上げてるの?」
誠「目に入った」
恵「ホワイトクリスマス、なんて大嫌いって知ってるよね!」
誠「照れる歳じゃないだろう?」
恵「知ってるでしょ」
誠「好きとか嫌いとかじゃないんだよ、雪の夜だぞ、ワクワクしないか?」
恵「絶対さあ、かっこつけるじゃん」
誠「いいだろう?」
恵「スェットパンツの膨らみ?」
誠「えっ」
恵「最初に、言い訳した方が良くない?」
誠「なんだ、言い訳って」
恵「あなたがいい雰囲気を作る時に限って」
誠「きた〜!雪か?」
恵「大学卒業してすぐ結婚してかれこれ」
誠「お互い今年で還暦だよ」
恵「赤パンツ、絶対に履いても見せないし」
誠「ほら」
恵「えっ?」
誠「赤といえばこれしか思いつかなかった」
恵「あっ、ルビー」
誠「僕らの世代なら…」
恵「歌詞の女の人、死んでるよ」
誠「ごめん、老後も一緒にいてくれ!」
恵「忘れないでね、旦那様」  【完了】

M 寺尾聰「ルビーの指輪」

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