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大切な時に緊張しなくなるためのトレーニング?

 実際の試合での緊張感。
 練習の時にテクノロジーで何か解决してして欲しい事があるかと問われて、ある選手が即答した。
 その選手はサッカー日本代表のゴールキーパー、権田修一氏だ。

 本番での適度な緊張は集中度を高めて良いパフォーマンスに繋がるが、過度な緊張はプレーを萎縮させる。練習では問題ないペナルティキックを外すのも、本番では練習とは違った緊張によって実力が発揮出来ないからでもある。
 だからテクノロジーを使って、練習の時も本番と同じ緊張感が得られるようになれば本番でのパフォーマンスが向上するはずだ、というのが権田選手のアイディアだ。
 世界で戦うプレーヤーにとってのメンタルの重要性を改めて垣間見た気がした。

 大舞台で過度に緊張しないためには試合をたくさん経験して慣れるしかない。一般的にはこう思われている。
 しかし経験豊富な権田選手レベルのパフォーマンスに影響が出るような緊張を経験によって補うのは難しい。トップクラスの選手同士が命を懸けて戦うというワールドカップ本戦は頻繁には経験出来ないからだ。

 本番での緊張状態を事前に体験しようとした場合に思いつく方法はイメージトレーニングやVRの活用だろう。
 しかし想像に容易たやすいが、これらの方法で実践レベルの緊張感を体験するのは不可能だ。
 事前に類似体験をしておくことで予想可能な幅が広がり、緊張を和らげる効果が無くはないだろうが実効性は高くなさそうだ。避難訓練に身が入らないのと同じだ。心理状態までリアルな訓練を行うのは難しい。

 心の痛みを感じた時の脳での反応は、体の痛みを感じた時と同じだという。もし、心が緊張するときの脳の反応と同じ反応をするような身体的な刺激方法が分かったとしたら、その身体への刺激を繰り返すことで緊張と同じ精神状態を作れないものか。 
 そうなれば、身体的な訓練によって心理的な耐性を上げることが出来そうだ。ちょっとした虐待まがいの手法になりそうなので倫理的に問題があるかもしれない。

 しかしもしそんな手法が開発されたら、ビジネスパーソン向けに緊張しなくなるためのトレーニングジムが流行ったりするだろう。緊張しなければあのプレゼンはもう少し上手く出来たのに、といったことは誰にも経験があることだ。ジムで身体に取り付けた器具を通じて心の緊張状態を生み出すトレーニングをすることで、人生の大舞台でも緊張して失敗することがなくなるとしたら、そんなジムは繁盛するのではないか。
 でも、緊張することを忘れてしまって、好きな人への告白にもドキドキしなくなったとしたら、人生の楽しみの半分くらいは失う気がする。私はそんなジム通いは遠慮しておこうと思う。

おわり

 


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