留学と英語力

「留学したら、英語力は伸びるのか?」

永遠の疑問だと思います。笑 私も、日本にいるときに、いろんな意見を聞きました。ちょうどアメリカでの大学院生活が一年経ったところで、自分なりの意見を書きたいと思います。

結論:英語は使えるようになった!

いきなりですが、これが私の結論です。もう少し自分のバックグラウンドも含めて、詳しく書いていきます。


<留学前~読めるけど書けない話せない、典型的純ジャパ>

留学前ですが、TOEFLでもリーディング・リスニングとも満点を取ることもある(満点をとれないことのほうが多く、特にリスニングは、満点取った後に21を取って川に身投げしたくなったこともありますし、絶対的な力があったわけではありません)一方で、スピーキングは10点台・ライティングもほぼ23と、アウトプット系はあまりできず。また、「どうせ渡米したら嫌でも英語をしゃべるのだから、今は日本でしかできないことをやろう」という言い訳のもと、駅前留学はおろかオンライン英会話すら使ったことがありませんでした。海外旅行で英語のツアーで同席した人と英語を話すことがあったのですが、もう単語をつなぎ合わせてボディーランゲージでごまかして…と、この段階でははっきり言って、「英語はカタコトで話せるかどうか」でした。今思えばよくこの状態で渡米したな…と思います。


<留学後~話す・書く力は伸びた>

一年経って、明らかに英語力は伸びたと思います。自己評価では、いわゆるテストで出るような「語彙・文法」はあまり伸びていませんが、自分の「語彙・文法」の知識を、今までは1~2割も会話や作文で使いこなせていなかったのが、今はもう少し使えているのではないか、という実感があります。つまり、持っている力を発揮できていなかったのが、ある程度発揮できるようになった、ということです。また、我々日本人は、「母国語と語順が違う」という致命的なハンデを負っているので、英語を話すことに慣れるということは非常に重要だと思いました。渡米前は「単語を並べているだけ」だった英語も、一応今では「主語・動詞・目的語等の語順を正しく並べて文章の形で、ある程度スムーズに話せる」ようになりました。これは、自分の脳内での英語の処理を、「英語を聞く→日本語に直す→日本語で文章を作る→英語に直す→英語を話す」という、やってはいけない5段階プロセスでやっていたのが、なんとか「英語を聞く→英語で考える(わかりづらい部分だけ日本語に直す)→英語で話す」という3段階に変えられたことが大きいです。これは、授業をうけたり、日常的に英語で会話することで、自然とできるようになりました。


<何が効いたのか?:自己評価>

自分の場合は、話す能力は「日常会話の場数を踏む」「プレゼンテーションを何度かこなす」ことで、伸びたと思っています。そりゃそうです。今までしゃべってなかった人間がしゃべってるんだから、伸びないわけがありません。伸びしろだらけだったんです。また、間接的ですが、「CNNをテレビで常につけっぱなしにしている」ことは、脳を強制的に英語に触れさせることで、多少の効果はあったのではないかと思います。勉強の合間にちょっと見るだけでも、英語の練習にもなるし米国情勢も知れるのでお勧めです。自分は時事問題に興味があるのでCNNでしたが、ほかのテレビでもよいと思います。

書く能力については、明らかに、大学院のアカデミックライティングの授業で方法論を学び、添削を受けたことが効いています。日本で「英語はこのように書け」と習って、自分の中で心掛けていた部分がかなり否定され、最初はショックを受けました。ただ、大きなパラグラフの書き方から、「受動態は使うな」「なくて意味が通る副詞やは削れ、誇張しすぎるような表現は慎め」といった自然な英語を書くテクニックまで、さまざまなことを学んで実践し、添削でフィードバックを受けることができました。どの大学にもこのような授業はある(特にプロフェッショナル向けのコースは)と思うので、おすすめです。また、ノンネイティブにありがちな「前置詞のミス」「わかりづらい表現」を避けるための無料/低額オンラインサービスの使い方(Grammary)も学ぶことができました。結果として、ほかの授業のTAにも「一学期間でかなり英語がうまく書けるようになった」という評価をいただけました。


<おわりに>

これはあくまで自分の自己評価ですし、自分の経験だけですが、「今まで英語を話す/書く練習をしてこなかった人間は、留学に来れば使う機会が多いので、やる気があれば英語が使えるようになるのではないか」と思います。ただ、これは、裏を返すと、「もともと英語を使えない人間が留学したら、多少はマシになった」というだけのことことかもしれません。先にも書きましたが、我々が負っている「語順が違う」というハンデは、思ったより大きいですし、ここを克服できたことは大きいと思います。

これからの課題は、「さらに使える語彙・文法を増やす」「発音・話す速度を注意する」というところです。発音は、アメリカ生活が長い日本人は、たとえジャパニーズ・イングリッシュでも、誤解なくちゃんと聞きとってもらえています。完璧な発音ではなくとも、「聞き間違いが少ない発音」や、「文意を取ってもらいやすい自然なイントネーション」を身に着けたいです。また、耳が遠いお年寄りが大声で話すのと同様に、英語を聞く力が弱い英語話者は英語が早く聞こえるので、特に困ったときに、必要以上に早口になる傾向があるように思えます。常に落ち着いて話せるように注意したいです。

一方で、最初からアウトプットがうまくて、自分の持っている英語をフルに使いこなせているような人は、「渡米しても英語がうまくならない」という結論に至るのかもしれません。実際、ネイティブスピーカーとルームシェアをして、自分よりも英語をよく話している友達は、「英語がうまくなった気がしない」と言っていました。↑のような話をしてみたところ、「もともと自分のフルパワーでしゃべれていたので、この一年で語彙も文法も伸びていないので、結果として英語力が伸びていないというのは納得できる」という感想でした。

結局はタイプ・人によるのかもしれませんし、自己評価が甘い/厳しいにもよるのかもしれませんが、私の感想は以上のとおりです。参考になれば幸いです。(あ、CNNで自民党総裁選のニュースが始まった…ちょうど総裁選の日です。)

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