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むくろ人形の怖い話4【線路の人:続報】

『線路の人:続報』

2017年3月13日にした話

(以前勤めていた書籍編集の会社で、怖い話が得意で家系的によく“見る”後輩の女の子がいまして、愛称で映画『残穢』をもじって“残穢ちゃん”と呼んでいました。)

なんか残穢ちゃんが、昨夜見た夢で私が出てきて、私の背後に夜空とか川みたいな青色の煙が漂っていたらしく、今「昨夜どこか川の青とか赤とかに関係した場所行きました?」とか言われた。

あとさっき親父に「昨日の夜すげぇ気味悪い夢見たわ…」と怖い話されたので、休日出勤しながら話します。

夢の中で父は、もう数十年前に辞めた会社の同僚と、薄暗い原っぱみたいなところを、汗かきながら必死で走っていたらしい。

「逃げててさ、なんか逃げてんの。で、めちゃくちゃ怯えててさ。途中で気づいたんだけど、なんかに追われてるらしいんだわ俺ら。そういう焦燥感で、慌てて走ってた」

「同僚がポンコツでさ『そんなん大丈夫ですって』とか『一回止まりましょうよ』とか不気味なくらい言ってくるんだけど、俺が怒鳴って『いいから走れバカ!!』って急かして走り続けたんだよ」

「そしたら、原っぱの道の傾斜が上がってきてさ、息切らしながら駆け上がると、その先にもう無いんだよ原っぱ。海でさ」

「焦って立ち往生してたら、同僚の中の1人に当時の上司が居てさ、そいつが『ちょっと何が追っかけてきてるのか見てみる。君らはここにいなさい』とか言い出して、丘を駆け下りていくのよ。なかなか戻って来なくて『結構リーチとってたんだな……』とか思っていたら、上司が駆け戻ってきて」

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「『いやーー凄いよあれは君たち。いやー凄い、見た方がいいよ。ほら、ほら』って、なんか変なんだよ。俺たちの手つかんで『見に行こう、見に行こう』って引っ張るのよ」

「すごく怖かったし、無理やり引っ張る上司に腹が立ったんだけど、この先進めないし、何より何から逃げてんのか知りたかったから、俺も行ったんだわ」

「丘降りると、ずっと続く原っぱの向こうが暗くて、ぼんやり月明かりに照らされるくらいで、あとは風で草が鳴るくらい。あとは何もない」

「で、俺が『何もないじゃないですか』って言うと、上司が『いや、ほらほらほら。来た! 来た来た!』って指差すんだ。
同僚は『もう戻りましょうよー』ってずっと騒いでいたんだけど、確かに何か来る気配あったから『静かにしてろ!』って言って上司が指差す方向見てたのよ」

「そしたらさ、なんか群れが来るんだよ。原っぱの向こうから」

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群れってなに? 人の?

「いや、人ってか、黒い靄みたいな、まあ、手足はあった。あと、例の下半身だけの人もいて、なんか探すみたいにウロウロしてるんだよ」

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「でさ、その黒い靄の中にいる下半身だけの人がさ、こっちパッと向いてさ、走ってくるんだよ。で慌てて振り返ったところで、目が覚めたんだ」

「やっぱ変なところ行くもんじゃないな」

同感。

(そしてこの話を聞いた日の夕方に、『線路の人』の最後に書いたガレージと家を隔てるドアのドアノブが不可解に鳴る事件が起きました)

おわり

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