むくろ人形の怖い話6【留守番してた友だち】
『留守番してた友だち』
2017年6月26日にした話
当時、私は怪談漫画のシナリオを黙々と作っていて、例の残穢ちゃんにも原案で入ってもらってせっせと作っていました。ある日、彼女が書き上げた話が結構怖くて、色々褒めてたら「これ実は私、というか私の友だちの実体験が元ネタなんですよねー」とかいうので、詳しく聞いたら超怖かったので、書きます。漫画の方はかなりマイルドにしてくれていた。
残穢ちゃんが小学4年生くらいの時、クラスに時子ちゃん(仮)という子がいたそうです。
あんまり気心許していたわけじゃないけど、まあ、いつも話すグループの一人って感じの子だったのだそう。
残穢ちゃんは漫画描くのが好きで、その日も放課後に教室で漫画描いていたんだそう。
黙々と机に向かっていたら、ふっと机に影が落ちて、見上げたら時子ちゃんが立っていたんだそう。
「なに?」って聞くと「一緒に帰ろ?」って。
漫画描いてるから少しかかると伝えても「待つからさ」って言うのだそう。
「なんで急に私なんだろ…」って思いながら下校準備をして、校門を出る。
夕日の照る通学路を歩きながら話聞いていたら、時子ちゃんが「私の家族ね、多分、変なことになってるの」って言うのだとか。
「私がさ、3年生だった時、留守番したことがあるの。その時、お父さんとお母さんが出掛けるから、私家に残ったことがあったんだ」
作ってあったご飯食べて、お風呂入って、出たらテレビ。
何時も早く寝なさい早く寝なさいって口うるさい両親がいないから、時子ちゃん結構楽しんでいたんだそう。
「寂しくなかったの?」
「全然。私お父さんとお母さんうるさいから好きじゃなかったから」
時子ちゃんは目を合わせず、ぼーっと前を見ながら話を続けて。
「で、夜の10時になったんだ。それくらいまで起きてたんだ。そしたらね、電話が鳴ったの。ピリリリ ピリリリって何度も。嫌だけど出たら、楽しそうなお母さんの声がしてさ」
「ふーん」
「で、ソファに戻ってまたテレビ見てたら、またピリリリ ピリリリって電話鳴ったの。お母さんでさ『時子まだ起きてる、寝なさーい』って。適当に答えて、また切ってさ。もうイライラしてきちゃって。でも、またかかってくるの…。何度も何度も何度も…」
「ピリリリ ピリリリ『時子寝なさーい』って。でもね、なんか、電話鳴る度に変なの。お母さん。なんか、ぼーっとした感じなの。こっちに喋ってない感じ。ただ『時子寝なさーい』って言ってる感じ」
ここで残穢ちゃん「あ、そういうことで私に話しかけてきたのかな」って、なんとなく気がついたそう。そういうものが見えることは、学校でもある程度知られていたので。
「『ザーザー……時子……さーい……時子ー……寝……さーい』って。気持ち悪いでしょ?」
通学路は夕暮れで、「17時のチャイムが鳴ったのがすごく怖かったです」って残穢ちゃんは言ってました。
「足元になんかつまずいたんだ。ゴンッて。見たらさ、私のお母さんの頭なんだ」
「えっ?」思わず残穢ちゃん聞いたら、
「あ。あんたでもそんな感じ?」って。
「どういうこと?」
「なんかね。お母さんの頭がソファの下から転がってきて、髪の毛が私の足に絡みついてたんだ」
そこで、残穢ちゃんは立ち止まって時子ちゃんの顔を見て、時子ちゃん何も言わず残穢ちゃんの顔見て、しばらく時間が経ったそうです。
「…まあ、でも、帰って来たから大丈夫だよ、お父さんもお母さんも」
「え、でも、さっきお母さんの頭があったんでしょ…?」
「でも帰ってきたんだもん。でもね、多分もう違う人なの。私のお父さんとお母さんじゃないの」
時子ちゃんの様子どことなく変で、残穢ちゃん急に怖くなったそうです。
「すぐ怒るようになったの『言うこと聞かない悪い子だ』って『すぐ寝ない子は嫌いだ』って。で、ずっと2人でイチャイチャしてて、多分、もうすぐ私に兄弟ができると思う」
「え!?」
残穢ちゃんが驚いているのに時子ちゃん構わず「でもいいんだ。家族じゃないし」って。
その後すぐ、分かれ道で時子ちゃん一方的に別れ告げて帰っていっちゃったそうです。
5年生になると時子ちゃんに弟が産まれて、それを期に時子ちゃん一家は引っ越していったそうです。
今もたまにLINEで話すそう。前より仲良くなってるそうで、「家族と喋るより落ちつく」って言ってくれるのが、残穢ちゃんはなんとなく嬉しいんだそうです。
おわり
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