むくろ幽介の怖い話13【団地のベランダ】
『団地のベランダ』
2018年9月5日にした話
残穢ちゃんから聞いた話。
久しぶりにLINEきまして。本人がしゃべっていいと言うので書きます。
(以前勤めていた書籍編集の会社で、怖い話が得意で家系的によく“見る”後輩の女の子がいまして、愛称で映画『残穢』をもじって“残穢ちゃん”と呼んでいました。他の話にもちょくちょく出てきますのでよければ読んでみてください)
この話は、残穢ちゃんのお母さんが幼少期に体験したという話です。
ここでは便宜上、残穢ちゃんのお母さんをAさんとしておきます。
Aさんは幼稚園に入る前くらいまで、千葉県のとある団地に住んでいたことがあるそうです。
とある日、Aさんの妹さんは入院中、母(残穢ちゃんの祖母)はお葬式、父(祖父)は仕事に行っていて、Aさんは自宅で留守番してたらしいんです。
Aさん、こういうように1人で家にいることも多かったそうで、そういう時はよく、隣に住むおばさんが、彼女の面倒を見てくれていたそうです。
Aさんをすごく可愛がってくれていたそうで、よく「本当養子にしたいくらい可愛い」と漏らしていたそうです。
で、その留守番の日。
Aさんが部屋で1人過ごしていると、コンコンと部屋のベランダ側の窓が叩かれたそうです。
鳥とかそういうのじゃなく、人が窓叩く感じで。
で、「なんだろう」と思って、Aさん、窓のカーテン開けたんだそうです。
見ると、団地の仕切りあるじゃないですか、隣の部屋との。あれ、昔一部では布だったこともあるみたいで、あれめくって、隣のおばさんが住んでる部屋から、乗り出すように
Aさんのお母さんが覗いていたらしいんですよ。
で、Aさん「えっ!?」ってなって。
だってお母さんお葬式に行ってて居ないし。でも目の前にお母さんいて、スッスッと手招きして呼んでるそうなんですよ、Aさんを。
けれども、不思議なもので、Aさんは冷静に「お母さんお葬式だからあれはお母さんじゃない」って無視して、カーテン閉めて過ごしたんだそうです。
コンコン
コンコン
コンコンコン
でも、カーテンの向こうで黒い影が、ずっと窓を叩いていたそうです。
コンコン
コンコン
コンコンコン
そしたら、急に変な声で、
「連れてこうと思ったのにぃ〜」
って、窓の向こうから聞こえて、でも無視して。
しばらくしたら声しなくなって。
Aさん、どうにも確かめたくなってカーテンをシャッと開けたら、誰もいなくて。
で、「なんだ今の…」って急に恐怖が襲ってきて、1人震えていると、家族が帰ってきたそうです。
で、その日の晩なんですけど。
隣の部屋からおばさんの自殺遺体が見つかったそうです。
この話はここで終わりなんですけど、Aさん、その後越した現在の家でも幼少期に色々あったそうです。
ある日の夕方、留守番をしてるときに窓の外に人影が見かけたAさん、「誰かきた」と玄関の扉を開けると、妹と一緒に病院に行ったはずの母が、敷地の柵の所に立っていたことがあるそうです。
見てたAさんの方にグーーーーッと手が伸びてきて、慌てて玄関を閉めて難逃れたこともあるらしいです。
あと、これは関係あるのか不明ですが、残穢ちゃんの一族には、御盆とかで位牌並べるのを手伝う時に、一人、誰だかわからない位牌があるそうです。
残穢ちゃんのおじいさん曰く、「行方不明の子」らしいんですが。
彼女の先祖なのか、分家筋の子なのかも不明。
昔は分家の子も残穢家で暮らしてたみたいですが。
おわり
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