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むくろ幽介の不思議な話6【すきまのお面】

今夜はもう一本。これもTwitterのDMでいただいた話です。過激なお話ではないのですが、内容が内容なので載せていいものか悩みましたが、ご本人が「もう吹っ切れているので大丈夫です」というので載せます。

「すきまのお面」

投稿者の方、仮にKさんとしておきます。

Kさん、御兄妹が多かったそうで、上にはお兄さんとお姉さん、下には弟さんが2人いたそうです。

この御兄妹、関係が少々複雑でして、上のお兄さんとお姉さんは、お父さんの再婚相手の連れ子さん。下の1人目の弟さんは前のお母さんとの間の子、その下の弟さんは再婚相手のお母さんとお父さんの間に生まれた子なんだそう。

そんなKさんが今から10年以上前、小学3年生の時、1番下の弟さんが生まれる前に体験した出来事だそう。

父親の再婚相手のお母さんとその子どもたち含め、合計6人で、二階建ての家に当時住んでいたKさん。

ある日の夜、いつものようにご飯やお風呂を済まし、同じ部屋で寝ている姉と、二階の部屋に上がっていきました。

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二階へ上がる階段の突き当たりにはトイレがあるのですが、上がり際にお姉さんが「ちょっとトイレ行ってくる」とトイレに入ってしまったんだそう。

Kさん、1人部屋に入り、ドアを開け、2段ベッドの下に寝転んでランプを点ける。寝転びながら漫画を手にして、読んだ話だけどなんとなく読み返す。

ドアは開けっぱなしで、壁にくっつくほど開けていたそうです。

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「なんか閉めたらお姉ちゃんに言われそうで、何の気なしに開けていました」

いつトイレからお姉ちゃんが出てくるか妙に気になり、漫画もろくすっぽ頭に入らない。
開いたドアの先、トイレの方をボーッと眺めていたそうです。

「その時に、視界に何か動くものが見えたんです」

それは、トイレの方ではなく、開け放ったドアと壁の隙間にいたそうです。

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和服を着た子どもくらいの身長の人間、その裾の一部が見えたそうです。

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「……なんだあれ?」

Kさん固まってしまい、視線をドアから離せなかったそうです。

当時Kさんの家に居た子どもたちとは明らかに違う子が、何故か、自分たちの部屋のドアの隙間にいる。

というより、あの隙間にいて、ドアを開けるでもなく身体の一部が見えること自体が、どう考えても不可能なんだそう。

凝視している時に、その辺りだけが妙に暗くなっていることにも気がついたKさんは、もう目が離せなくなっていたそうです。

「着ている和服、黒でも茶色でもない、えんじ色? って言うんですか、そんな感じの色で、渋い感じでした」

数十秒か数分か、その子どもの方を凝視していると、不意にその子どもが動いたそうです。

見えていた裾の一部が上がっていき、ドアの隙間から小さな手が現れ、ドアの縁を掴む。

「うわ、動いたと思っていたら、その隙間からお面が出てきたんです。木の仮面を被った子どもの顔。変なんですが、ゲームの『クラッシュバンディクー』の“アクアク”みたいな感じでした。あそこまで派手じゃないけど…なんかそういう木のお面だったんです」

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で、その仮面の子、ずっとこっち眺めて来るんだそう。

Kさん、どうにも惹きつけられてしまい、ベッドから降りて、そのお面の方に近づいてみたそうです。

恐怖心は子どもだった故かあまりなく、急に動き出すのを警戒しながらそばまで来ても、それは消えるどころかハッキリとした実体としてそこにあったそうです。

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で、そこでジーっとお面見ていた時に、ふとお面がこちら向き、同時にトイレを流す音も聞こえてきた、その瞬間に急に恐怖が湧いてきたそうです。

バッと後退りしてよく見ると、その子ども手にゲームボーイアドバンスのような何かを持っており、こちらを見つめたまま、カチカチとボタンを押したそうです。

そうこうしていると、トイレのドアが開き、お姉ちゃんが部屋に入ろうと近づいて来るのに気がつきました。

「ドアの隙間に誰かいる!!」

Kさんが慌てて言うとお姉ちゃんは「は、なに?」と訝しがったあと、ドアをパッと開けてしまったそうです。

「あっ!!」

そう思ったKさんでしたが、そこにはなにもおらず、ただ、ドアと壁があるだけでした。

ーーー

その後、Kさんは母親と連れ子の兄と姉から受けた虐待が原因で、数年住んだその家をお父さん、そして弟さんと共に離れたそうです。

今は元気に暮らしているそうで、その後そのお面を見ることは2度となかったそうです。

おわり

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