マガジンのカバー画像

名文引用箱

55
読んだ本の中から名文を引用し箱の中に放り込んでゆきます。
運営しているクリエイター

#引用

名文引用箱

《ある意味では、党の世界観の押し付けはそれを理解できない人々の場合にもっとも成功していると言えた。どれほど現実をないがしろにしようが、かれらにならそれを受け容れさせることができるのだ》(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

名文引用箱

《自由とは二足す二が四であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる》(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

名文引用箱

《未来へ、或いは過去へ、思考が自由な時代、人が個人個人異なりながら孤独ではない時代へ――真実が存在し、なされたことがなされなかったことに改変できない時代へ向けて》(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

名文引用箱

《この頸と脚首を二匹の青鬼赤鬼に預けることができたら! そしてタオルか洗濯物をしぼるように、このぼきっぼきっと鈍い音をたて続ける肉体を、力まかせにしぼって欲しい! もしそのような鬼があらわれたならば、その青鬼赤鬼の褌を一生洗い続けてもよいと男は風呂の中で空想したほどだ》(後藤明生『隣人』)

名文引用箱

《カフカの唐突さは読者だけでなくカフカ本人にも唐突だ》(保坂和志『読書実録』)

名文引用箱

《夢は一つ一つの人や物や行為や会話が何を意味するか以前に、全体を染める空気が不穏や不安だったりしみじみ幸福だったりする》(保坂和志『読書実録』)

名文引用箱

《カフカの無計画性やそれゆえの筋の記憶できなさ、最も取るに足りないと見えるものこそここでは重要なのだというようなカフカ独自の論法》(保坂和志『読書実録』)