セロトニン不足?お先真っ暗?そんな時には『みちくさ日記』
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/山中羽衣】
六月も終わりを迎えますが、東京の天気は相変わらず雨ですね。
最近は梅雨だしなんだか外出るのも面倒だなあなんてお休みの日は家の悶々としながら本読んだりしていることが多いです。
みなさんはお元気ですか?落ち込んだりふさぎこんではいやしませんか?梅雨の時期は日光照射の時間が少なく、セロトニンが不足するようです。
なんというか家の中にいると気分が落ち込みがちになってくることもありますが、もうダメだ!なんて自暴自棄になりそうな、そんな時に読んでいただきたいのは道草晴子さんの『みちくさ日記』。
こちらの漫画はリイド社によるWEBマガジン『トーチ』に掲載されていた作品。
とても可愛く勢いのある絵柄なので、ふと読み始めた時には日常を描いたギャグ漫画かな?などと思いながら読み進めたところ大いなる間違いでした。
『みちくさ日記』は13歳でちばてつや賞を受賞し漫画家としてデビューした作者である道草晴子さんの自伝的な漫画。
中学生でデビューなんて漫画家のスター街道まっしぐら!と思いきや、漫画への思いが強くなるにつれ学校生活へ違和感を感じ、つまらなくなり、次第に学校へと行かなくなったそう。
けれど、そうして将来への不安感を抱えながら過ごしていくうちに統合失調症と診断され精神病院の閉鎖病棟へと入院...!齢14歳。
その後20歳まで入退院を繰り返す様子が、ポップな絵柄で淡々と描かれていて、またリアリティーを感じるのです。
読んでみてもらうと分かるのですが実は泥棒だった"オッサン"と付き合う話や、病院内での出来事、定時制高校でボクシングをする話など、なかなか味わえないであろう色々なエピソードがちりばめられています。
そして日々の日常でいっぱいいっぱいだった道草さんが脱腸の手術を終えた後に”もしかしてもう失うものないんじゃないかな?”と吹っ切れ行動を起こして漫画を描くに至る様子が実に清々しい。
読んでるうちに、道草さんの人生を追体験しているような、心の底から意欲が湧いてくるような気がしてくる。
6月9日の第33話を持って、連載が終わってしまってかなり寂しい。
なお、トーチ本体での全掲載期間は終わったのでnoteで購入すると読めるそうです。
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▶トーチweb みちくさ日記 to-ti.in/product/
▶note note.mu/to_ti/m/m9c4ebe7c52f6
▶道草晴子ブログ michiharu.exblog.jp/
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