見出し画像

【連載再開熱望】 木多先生!「今現在最強の格闘技は決まっていない」この答えを一億人が待望しています!! 『喧嘩稼業』

【レビュアー/松山洋

「今現在最強の格闘技は決まっていない」

何度、この文字を見たことでしょうか。

『喧嘩稼業』は前作にあたる『喧嘩商売』の続編であり、その『喧嘩商売』の頃から何度もこの文字が表示されてきました。

新しい場面に展開したり、ひとつのエピソードが終わるたびにこの「今現在最強の格闘技は決まっていない」というフレーズが登場する。それが『喧嘩商売』『喧嘩稼業』という格闘技漫画です。

前作の『喧嘩商売』は2005年から2010年までヤングマガジンで連載され、単行本は全24巻です。

その続編となる『喧嘩稼業』は2013年から同じくヤングマガジンで連載中で、単行本は既刊13巻。そして本作は2020年2月の掲載を最後におよそ2年近く休載されています。

休載の理由は明らかになっていませんが、掲載されていないことだけは確かです。私は『喧嘩稼業』の連載再開を待ちわびながら毎週ヤングマガジンを定期購読しています。

はい、だから今回は『喧嘩稼業』のレビューを書くことにしました。

私は世にあるほとんどの格闘漫画を愛読していて、その中でも突出してこの『喧嘩稼業』という作品が大好きなのです。

こんなにも心待ちにしていても全く連載再開されるニュースが流れてこないので、応援する意味で記事を書いて少しでも作者である木多康昭先生や編集部の方の目に留まって、再開に繋がってくれるといいな、と、そんな願いを込めて書いています。

この『喧嘩稼業』という作品が数ある格闘技漫画の中でもズバ抜けた面白さを有している理由を大きく三つ紹介します。

①決して「強い=勝つ」ではない

格闘漫画における絶対定義として「勝ちたいから強くなる」というものがあります。しかし、そのシンプルな定義すら本作には当てはまりません。「強いから勝つ」のではなく「勝つから強い」という定義で出来ています。

要するに「勝てさえすれば何をやっても良い」という考え方で主人公は動くのです。

平たく言うと「卑怯」なのです。実力では叶わなくても趣向を凝らして様々な卑怯な手を使い、時には舌戦・だまし討ちを使いますし、なんなら毒だって盛るのです。

こういった勝利への執着から通常の格闘技漫画では起こりえないような展開が次々と巻き起こるのです。だから面白い!

②場外での闘いが面白い

試合中の展開も勿論面白いのですが、本作の特色とも言える場外戦が本当に面白いんです。①で述べたように勝つためにやれることは何でもやるので、試合が始まる前にこそありとあらゆる卑怯な手を使って対戦相手が全力で闘えないように色んな仕込みをするのです。

対戦相手の生き別れの母を連れてきて(当然金で雇ったニセモノ)動揺を誘ったり、目を潰すために他の対戦相手と共謀して罠にはめたり、ともう無茶苦茶に卑怯です。

だから普通じゃないんです。だから面白いんです。

③えくぼは恋の落とし穴、その名は佐藤十兵衛

その主人公こそが佐藤十兵衛です。実は高校生です。他の対戦相手に「こんな卑怯なヤツがいるのか」と言わしめるほど卑怯な高校生です。

この佐藤十兵衛というキャラクターこそが本作の魅力の中心であり、一番目が離せない悪魔的な主人公なのです。(「ロシアの工作員レベル」と言われたこともあります)

「初めから存在しない平等を求めてどうする 不平等ならばそれを利用しなくてどうする 俺なら黒を白に変えられる」

こんなことを平然と言ってのけるのが主人公なのです。

とにかく口が悪くて、息をするように嘘をついては相手の何手も先を読んで罠にはめて万全を尽くして闘うのです。

だから面白い。だから主人公なんです。

「そりゃ嘘つくよ。嘘つきなんだから」

こんなにも痛快で唯一無二の格闘漫画は他には存在しません。

そんなにも面白い漫画『喧嘩稼業』がずっと休載中なんですよ。単行本13巻までに収録されているのは91話です。ヤングマガジンで休載された最後の掲載が103話です。なんとまだ12話分がストックとして存在しているのでいつだって14巻は発売できるはずなんです。

なんとか! 単行本14巻の発売と連載再開をお願いします! 世界中で心待ちにしているファンが1億人以上います! だから! 木多康昭先生! ヤングマガジン編集部の偉い人! お願いします! 『喧嘩稼業』の続きを読ませてください!

もう何度も何度も『喧嘩商売』『喧嘩稼業』を繰り返し読み返していますが、もう1000回読みながら吉報をお待ちしております。


この記事が参加している募集

読書感想文