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明智光秀=逆賊は嘘?400年以上続く定説に異を唱えた衝撃の歴史ロマン『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』

日本史上最大の謎のひとつ「本能寺の変」

2020年は大河ドラマ「麒麟がくる」の影響もあり、書店では明智光秀関連の書籍のコーナーが組まれていますね。やはり本能寺の変の謎について書かれた書籍は多く売れています。

明智光秀をはじめ織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など歴史に大きな影響を及ぼした、誰もが知る偉人達のターニングポイントと言ってもいいこの時代。しかし、実際にその時代を経験し見た人はもちろんすでにいないわけです。どこまでが事実で、どこからが作られた物語なのか。そんな探究心をくすぐられる謎への絶大な興味は尽きません。

そんな日本最大のミステリーの一つと言っても過言ではない「本能寺の変」に真正面から立ち向かった男がいます。明智光秀の子孫である明智憲三郎(あけち・けんざぶろう)さんです。

彼が自身で歴史捜査を行い、本能寺の変の真実を明らかにした!と言われたドキュメント作品である「本能寺の変 431年目の真実」という書籍。この作品は今まで誰もが知っていた明智光秀を、そして歴史の偉人たちのイメージを大きく覆し話題になりました。

そんな1冊を原案として描かれた漫画が、今回紹介をしたい『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』です。 

この作品は原案の著者、明智憲三郎さんがおもむろにこの物語の主人公でもある明智光秀の定説に対して疑問を投げかけるシーンから描かれています。

「光秀はその功労にもかかわらず信長の度重なるイジメやひどい仕打ちに堪え兼ね苦しみ怨み……。前日夜まで誰にも打ち明けず謀反という愚挙を起こした逆賊」

そう小説やドラマなどで語られて来ました。

はたして「この定説は真実なのでしょうか?」。 

明智憲三郎さんは信憑性が高い資料を10数年かけて調べた結果、今知られている定説は「ある人物が自身の野望のために歴史の事実を書き換えたものであり、このある人物にわれわれは400年以上も騙されている」というのです。 

そして舞台は「本能寺の変」の数日後に移ります。

大雨疾風の中、信長の仇討ちと光秀の元に急ぐ豊臣秀吉。

あまりに早い行動、そこから導かれる答え。

それは、「秀吉は事前に光秀の計画を知っていた」という事。

歴史が変わる「真実」から始まる物語

第1話ではこのように、この作品で描かれる謎について本能寺の変「後」のシーンで投げかけを行います。そこから時間が遡り、第2話の織田信長と明智光秀の出会いから、この歴史大河漫画の本編が始まります。

その中には、「何故、明智光秀が本能寺の変を起こすことになったのか」など核心に迫るものもあり、読者として気になる事が非常に多く、探求心が擽(くすぐ)られます。また、作画の藤堂裕先生の鬼気迫る表現、場面描写の迫力が漫画のさらなる熱量となり、読者のページをめくる手を止めさせません。

多くの歴史上の重要人物の思惑が絡み合った、日本史上最大のミステリー「本能寺の変」。

その裏側に迫る作品『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』は別冊ヤングチャンピオン 2020年8月号で完結を迎えました。

この作品を色々なところで紹介させていただいたのですが、最終回を読み改めて全巻通しで読むことに意味のある作品だと思い、今回レビューを書かずにはいられませんでした。

「麒麟がくる」と合わせてぜひこの『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』も、もう一つの明智光秀の物語として楽しんでもらえればと思います。

WRITTEN by 栗俣 力也
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