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●●でないと務まらない商売なのかもしれない?『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/堀江貴文

私はそこそこテレビ番組出てる方だと思う。

ので、スタジオやロケの現場で顔色悪そうに、一生懸命働いている若い子達の存在を知っている。

彼らはAD=アシスタントディレクターと呼ばれる、まあ現場の何でも屋さんだ。

出演者の弁当の手配から入り時間の管理、スタジオで使う小物の調達などなど、やるべき仕事は多い。

オンエアや収録の期日は主に、一番の売れっ子タレントのスケジュールにあわせて決められているので、直前になるとデスマーチになる。その一番のしわ寄せを食らうのがADなのである。

主人公は、地上波テレビ局のADとして採用されているので、製作会社のADよりはまだましな生活を送っているはずだ。

局のADに比べて制作会社のADはさらに給料が安いし、いつ首にされるかわからない。

今流行りの言葉で言えば、やりがい搾取されている人たち。派手なテレビの世界になんとか食らいついてやろうと、テレビ局の採用に応募するも不採用になった人達だ。

ADから昇進してD(ディレクター)になっても安心はできない。限られた制作予算と限られたスケジュールで、相当のクオリティの作品を作らねばならないのだ。プレッシャーも相当だし疲弊しているはずだ。

そんなテレビ業界のダークサイドが、淡々と綴られているこの作品。テレビ業界になんとなくの憧れを持って就職しようとしていたりする人は、ぜひチェックすべきだろう。

今やAbemaTVやNetflixのようなネットの動画プラットフォームの方が、予算を持っていたりして、地上波テレビよりも良いコンテンツを作ったりしている。

そんな人達の羅針盤的な漫画と言えるのではないだろうか。ちなみに基本的に作風は自虐スタイルである(笑)

ADとは、ドMでないと務まらない商売なのかもしれない。