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ユーザーフレンドリー?なにそれおいしいの?女子高生が古き良き”理不尽”たちにツッコミ放題『レトロゲーとかマジウケる!』

【レビュアー/ 西川 裕貴

こんにちは! ゲーム制作会社「サイバーコネクトツー」の西川裕貴です。

皆さんは「レトロゲー」と聞いたら、どれだけ昔のゲームをイメージしますか?

私の感覚的には、子どもの頃に遊んだ『FC(ファミコン)』とか『SFC(スーパーファミコン)』時代のゲームのイメージが強いのですが、ゲームショップに行くと青春時代に遊んだ『PS(PlayStation)』とか『セガサターン』時代のゲームもレトロゲーのコーナーに並んでいるため、そういった光景を見るたびに自分が年を取ったことを痛感させられます(笑)

さて、今回ご紹介する作品は「もし今どきの女子高生(JK)がレトロゲーを遊んだらどんな反応をするのか?」をテーマにした4コマ漫画『レトロゲーとかマジウケる!』です。

JKレトロゲーあるあるへのツッコミが秀逸

本作の主人公は、売れない崖っぷち漫画家「小川よしお(35才)」。

漫画のネタが思い浮かばず頭を抱えていると、姪っ子の「美咲(16才)」がよしおの家に突如押しかけてきます。

美咲は帰りの電車の時間までの退屈しのぎに、押し入れから昔のTVゲームを引っ張り出してきて遊ぶのですが、

・なんの説明もなくフィールドに放り出されるRPG
・ちょっとした段差から落ちて死んでしまう主人公
・セリフが全て平仮名で同じことしか言わない街人
・スポーツゲームと思って遊んでみたら大乱闘ゲームだった
・クリアしたと思ったら唐突にまた1面から始まる

……など「レトロゲーあるある」の洗礼を受けることになります。

「基準がw わかんないw」
「意味フ~w」
「説明ないんですけどー!」
「その発想はなかった!」

数々の理不尽にツッコミながらも、それが逆に面白くなってきた美咲は、頻繁によしおの家に立ち寄ってはレトロゲーで遊ぶことに夢中になっていく…といったお話です。

本作は、よしおの視点に立って「そうそう、昔こういったゲームに夢中になったよな……」とノスタルジックに浸ったり、美咲の視点に立って「何これ、昔の子どもたちはこんな理不尽なゲームに夢中になっていたのw」と衝撃を受けたりと、読者のジェネレーションによって違う楽しみ方ができるのが特徴です。


名作ゲームはいつの時代でも色褪せない

今の子どもたちからすれば、昔のゲームは「理不尽」や「不便」の塊のように見えるかもしれません。

しかし昔の子どもたちは、そういった癖のあるゲームであればあるほど、クリアを目指して自分でアレコレ考えたり、友達と情報交換したりして、TV画面の枠を越えて「TVゲームという高価な娯楽」を思いっきり楽しもうとしていました。

そういった「古き良き思い出」が脳裏に刻まれているからこそ、大人になった今もゲームを好きでいてくれる人たちは、最新ハードのゲームを遊びながらも、昔のハードのゲームを定期的に遊びたくなる衝動に駆られるのかな、と思うのです。

本作『レトロゲーとかマジウケる!』は、ゲームが大好きな作者・大場玲耶先生の

「全ハード生涯現役」

の願いが込められており、レトロゲーへの敬意が感じられる内容になっています。

高品質でユーザーフレンドリーなゲームが当たり前になった今の時代だからこそ、子どもたちや若い人たちに本作を読んでいただいて、レトロゲーに興味を持ってもらえたら大変嬉しいです。




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