ゲームが楽しくて現実がつらい理由をオシッコで解説『マンガで分かる心療内科(19)ゲーミフィケーション編』
【レビュアー/ミヤザキユウ】
ゲームだけやって生きていたい
ゲームだけやって生きていきたい…仕事したくない…そんなことを誰もが思ったことがあるんじゃないでしょうか。
そうした願望は一昔前なら、何をふざけたことを…と一蹴されたかもしれませんが、現代ならあながち不可能ではありません。e-sportsが盛り上がりの兆しを見せており、職業としてプロゲーマーになって活躍している人も出てきています。
しかしながらそれはそれでゲームだけやっていればいいだけではなく、激しい練習、PR戦略の策定といった高度なタスクが発生してくる立派な仕事です。現実は甘くないってわけですな。
ですが、それでも諦めるのはまだ早いです。ゲームの良さをどうにか現実にも持ち込んじゃおう!という人が考えたゲーミフィケーションという手法があります。ゲームだけやって生きるわけにはいきませんが、ゲームのように生きるのは可能かもしれないのです。
本作『マンガで分かる心療内科 ゲーミフィケーション編』は、そんなゲーミフィケーションの入門書に最適な一冊です。
なぜゲームは楽しく、現実はつらいのか
本書によればゲーミフィケーションの肝にあるのは、「なぜゲームが楽しいのか」というカラクリです。
それは、目標・可視化・報酬の3つ。ゲームにはこの3つがあるからやる気をもって楽しめるといいます。
『マンガで分かる心療内科(19)ゲーミフィケーション編』(ゆうきゆう/ソウ/少年画報社)より引用
たとえばゲームでは魔王を倒す、など目標がはっきりしているから行動がしやすく、やる気が出ます。
ステータスが数字になって可視化されているので、アクションの方針も立てやすくてやる気が出ます。
そして、モンスターを倒したら経験値やお金がもらえたりするなど、分かりやすい報酬があってやる気が出ます。
ゲーミフィケーションとは、こうしたゲームにおける「やる気が出るカラクリ」を現実の仕事や生活に持ち込む手法なのです。
逆に考えると、これらがないと現実はつらい、とも言えますね…。
ルールをつくることと、それに身体を従わせること「オシッコのしかた」でわかりやすい
本書ではそんなゲーミフィケーションを実践するためのテクニックが数多く描かれていますが、なかでもユニークなのが「オシッコのしかた」です。
僕はけっこうこれを経験したですが、テレワークだとついついトイレ行っちゃいませんか?作業中になんだかむずむすして、トイレ行って、それで集中力が切れちゃう…という感じ。地味ですが、仕事の効率を損なっています。
でもこの作品によれば、トイレはよっぽどじゃない限りは我慢するのが良いそうです。正常な膀胱であれば、一回の排尿で300ml(缶ジュース一本分くらい)なんだとか。逆にいえば、それくらいまでは我慢しても問題ないのです。
『マンガで分かる心療内科(19)ゲーミフィケーション編』(ゆうきゆう/ソウ/少年画報社)より引用
ちなみに、なぜオシッコをフィーチャーしたのかというと、これこそがゲーミフィケーションの真髄に大きく関わると思ったからです。
つまり、ルールを決めて、それに身体を従わせるということ。最初はメカニズムを理解しなくてよくて、とりあえず実践して身体に染み込ませれば、それが新しいリズムになります。
とにかくダマされたとも思ってやってみて!案外いい感じだからぜひ!そんなゆるさでいいことを教えてくれるのが『マンガで分かる心療内科(19)ゲーミフィケーション編』なのです。