見出し画像

【キャリア #1】就活の前提となる、今ビジネスの世界で起きていること

こんにちは。
自己紹介に続き、ついに初回記事です。よろしくお願いします!
今回は、本note 3本柱「①キャリアプラン」、「②戦コン対策」、「③戦コン仕事術」のうち、「①キャリアプラン」の第1回として、キャリアを考える前提となる、世の中で起きている変化と、その皆さんにとっての意味合い、について書こうと思います。​

世の中のビジネスは、不確実性の時代へ

改めて説明不要かもしれませんが、この30年、デジタルが急激に世の中に普及してきたことにあいまって、世の中は加速度的に変化しています。
①コンピューティングパワーが加速度的に増大することで、②ビジネスの在り方も加速度的に変化し、③結果として、ビジネスサイクルが短期化し、不確実性が圧倒的に高まっている、というのが、本章の趣旨です。

①コンピューティングパワーの増大:「ムーアの法則」に代表されるように、その成長速度は指数関数で増大しています(10年で100倍!)。


その結果として、できることが格段に増えてきた訳です。
 - 処理速度増加:EXCELやWordの時代から、機械学習が当たり前に
 - 保存容量増加:現実世界の事象の断片を人間が入力・保存していた時代から、現実世界で認識できないビッグデータが保存されるように
 - 通信容量増加:ローカルで処理・保存から、クラウド上で処理・保存へ

②それに伴うビジネスユースケースの変化:コンピューティングパワー増大に伴い、ビジネスにおいてのデジタル/テクノロジーの在り方(=ユースケース)も大きく変わっていきます。
これまでは、リアルでなされている付加価値の一部がデジタルに移管(例:実店舗での注文→オンラインで注文、手紙→FAX→メール/チャット など)されていたものが、今は、デジタルを前提に、リアルの役割を設計するように転換(主従逆転)されています。
直近ではテスラの時価総額がトヨタを超えたことが記憶に新しいですね。テスラの価値とは、単に内燃機関から電気にしただけでなく、テスラの車1台1台をスマートフォンのように常にネットに繋がっている前提で、車の在り方を変えた、と言えるのではないかと思います。ネットで繋がっているがゆえに、ある日、いきなり自動運転が可能になったり、機能が追加される。そして、実際に顧客の走行データをもとに、その機能・アルゴリズムが更新され、より精度の高い・優れた機能となっていく。
他の例でいえば、中国の平安保険グループは、デジタルとリアルを融合した世界観の中で、人間の役割を定義しています。まず、顧客へ付加価値ある提案をするために必要な情報を集めるサービスを作り、その行動情報をデータベースに蓄積し、各顧客へ実施すべきアクションをアルゴリズムが学習・提示。人間は最終的にヒトがやることで付加価値の高いサービスのみにフォーカスする、という具合です。

<平安保険のビジネス概要:リアル・デジタルの情報を集積し、人間は付加価値高い部分にフォーカス>

③結果としての、ビジネスサイクルの短期化・不確実性の増:これだけのスピードでテクノロジーが変化すれば、当然ビジネスサイクルも早くなり、最早予測すること自体が困難になっていきます。
下記の、過去20年の世界の時価総額ランキングも非常に面白いです。以前は年単位で見ても大して変わらないランキングが、最近になればなるほど、頻繁に上下し、見たこともないプレーヤーが突如上位にやってくる。そういう世界に私たちは生きているのです。
https://www.youtube.com/watch?v=fobx4wIS6W0
同時に、グローバリゼーション、リアルとデジタルの融合が進み複雑系となった世界においては、1つのきっかけが、世界中に大きな影響を及ぼします。ドットコムバブルに始まり、リーマンショック、直近では米中冷戦やCOVID-19などを見れば明らかなように、数年単位のそれぞれの境目で、世界のあり方は明らかに変化している訳です。

不確実な時代においては、旧来型の日本企業は生き残れない

次に、そのような時代背景と日本企業へのインパクトについて考えてみましょう。(シンプル化のために一括りにしますが、当然世界の先をいってチャレンジしている尊敬すべき日本企業もありますのであしからず)

先述のような不確実性の時代においては、長期的な会社のめざす方向性を示す「ビジョン」、めざす方向に向け新しいものを生み出す「イノベーション」、生まれた新しい世界・方向を切り拓く「スピード」、その中で変化に適切に対応する「柔軟性」、の4つが特に重要でないかと考えています。

では、その4点について、旧来型の日本企業はどうでしょうか。

前提として、多くの日本企業がどういったエコシステムで成立しているかというと、新卒一括採用・終身雇用・年功序列・ジョブローテーションの四位一体によるメンバーシップ型組織です。新卒で入った似たようなプロファイルの集団が、長期間雇用を保証することを前提に職種・勤務地等の選択を会社に委ね、その代わりに長期間勤務すれば役職・待遇は段々と上がっていく、というものですね。四位一体と書いた通り、これら4つの要素は相互に複雑に絡み合っており、いずれか1つを変えることは困難で、変えるなら全部変えないとうまくいかない、というなかなか根が深いものです。
(補足すると、このシステムは今とはゲームのルールの違った過去においては極めて有効に働き、戦後50年の人口ボーナスと相まった日本の高度成長を支えたシステムです)

この組織構造は、前述の現代のビジネスのルールに整合しません。
 - ビジョン:現場ボトムアップの積み上げ型・漸進的な中期経営計画が中心で、自社の在り方をトップダウンで抜本的に見直せる企業はごく少数
 - イノベーション:日本人・男性偏重で、中途採用も少なく外からの知見が入ってこない極めて同質的な組織であり発生しにくい(イノベーションは新たな知と知の組み合わせ≒ダイバーダイバーシティによって発生するというのが経営学の知見です)
 - スピードボトムアップ・すり合わせ・和を以て貴しとなす仕事の進め方はビジネスのスピードを遅くさせますが、それはグローバルでもある程度は発生します。日本企業でそれ以上にクリティカルなのは、社内にデジタル人材がいないことです。グローバルでは異質なSIer(ITシステムの外注開発屋さん)というビジネスが成立しているように、日本企業では歴史的にIT・デジタル開発を徹底的に外注してきました(新卒一括採用・終身雇用システムに適合しないため)。結果として、いわゆる「A/Bテスト」「アジャイル」といった言葉に代表されるようなデジタル時代に当たり前のビジネス改善の仕組みが回せず、都度社外に発注することでスピード・コストとも肥大化している、というのが、日本企業が特にデジタル対応に遅れている真因だと思います(大企業の作ったアプリと、デジタルネイティブのメガベンチャーの作ったアプリを比べるとよく実感できると思います)
 - 柔軟性:前述の通り硬直化したメンバーシップ型の組織では、方針が変わってもそのための人材を採用・登用できず、今いる人も多くはクビになる不安もなく変わらないため、対応できません

日本企業が世界の時価総額ランキングで上位50社中32社(1989年)から1社(2018年)へ減少したことも、上記を証明しているように思えます。

就活生は「ジョブ型」で自分の専門性の旗を立てよう

だいぶ長くなりましたが、最後に、「で、結局就活生はどうすべき?」という点について書こうと思います。

ここまで書けば明らかですが、メンバーシップ型の旧来型日本企業に皆さんの人生をベットすべきではありません。
 - 働く期間>企業の寿命:新卒21歳~70歳まで働くとしても50年間です。一方、企業の平均寿命は、日本でも23年(出典:TSR)、アメリカでは15年(出展:btrax)と言われていますから、終身雇用を保証してくれるはずの企業自体が先になくなることが当たり前です
 - 縮小均衡:よしんば自社が生き残ったとしても、ビジネスのゲームのルールが変わっているにも関わらずそれに対応できなければ会社は段々と縮小(そしていずれ倒産)します。縮小するということは、そこで起きるのは、「人員削減」「待遇削減」です
 - 会社の専門性>自身の専門性:メンバーシップ型の組織で身に付くのは、「その会社の専門性」です。どの部署に●●さんがいる、今回偉くなった●●さんはXX年入社だ、この案件は●●さんが反対らしい… といった、会社内の事情ばかり詳しくなるものの(もちろん社内政治は一定重要です)、皆さん自身の、私はこれができる!という専門性(例えば営業・マーケなどの職務上の専門性)は会社の都合で勝手に決められ、そのうえ突然変更されます

ではどうするか?というと、自分が登るべき山(達成したいこと、価値観…)を定め、その山頂に近づく経路(職種、経験、スキル…)を見つけ、それができる入口を選ぶ、ということに尽きると思います。
「●●会社」という山はありませんので、山やそれに連なる道は、必然的に「ジョブ」ベースになります(例えば「営業」「マーケティング」「プロダクトマネージャー」「財務」とか…)。極力それを具体化して、その具体化した仕事に就ける蓋然性の高いポジション・会社を選び取ることが大事です。
当然、働きはじめてみたら違う山に登りたくなったり、山がなくなったり、道がなくなったりすることはあります。が、その時はまた新しい山・経路を見つければ良いのです。目隠しをして会社に全てを委ねて谷底に落ちるより、遥かに意味のある人生になると思います。

じゃあその山とか道どうやって見つけるの?という話は、次回以降の記事にて。

おわりに

初回記事、如何でしたでしょうか。書いてみると相当長くなったなと思う一方、説明を省いた箇所が10個以上あり、どこまで伝わったかな、と不安に思う次第です。
分かりづらい点、補足して欲しい、ご意見・ご感想などあれば是非コメントいただけると幸いです!

無料でお届けしていますが、本noteのコンテンツで人生が変わった!と思われたのであれば、投げ銭いただけると嬉しいです!