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このグローバルレベルで困難な時期にホテルが行うべきこと

宿泊業界はこの予期せぬ新型コロナウイルスの影響で非常に厳しい状況に陥っています。

2020年3月9日現在の状況

3月9日に発表されたMcKinseyからのこの新型コロナウイルスがビジネスに与えるインパクトをまとめたレポートには、この状況が早く収束したとしてもどのマーケットにおいてもGDP成長率が軒並み下がるという予測となっています。

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旅行・ホスピタリティ業界においては、国や地域によるものの回復までには10月から12月までの第4四半期までかかるであろうという予想がされています。

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この困難を乗り越えるために

このとても困難な時期を乗り越えるためにホテルとしてはどうすべきかという問いに対して、コーネル大学の教授Sheryl Kimes氏は、2009年のリーマンショック後の景気後退時の教訓から以下の6つを実践すべきと提言しています

1. Don't panic (パニックにならない)
2. Be wary of broad scale discounting (大きな料金のディスカウントには注意する)
3. Don't cut your marketing budget (マーケティングの予算を削らない)
4. Consider marketing approaches (マーケティング観点からのアプローチを考える)
5. Consider rate-obscuring practices (実際の料金を分かりづらくする)
6. Maintain service levels (サービスレベルを維持する) 

6つの提言

6つの提言のそれぞれを説明します。

1. Don't panic (パニックにならない)
良かった時期と現在の悪い時期を比較してパニックにならず、もっと長期的な観点に立った決断を行っていく。

2. Be wary of broad scale discounting (大きな料金のディスカウントには注意する)
一度料金を下げてしまうと、以前の料金へ戻すのに少なくとも3、4年はかかるという声があります。もし料金をディスカウントしなければいけない場合、クリエイティビティを駆使してパッケージを作成するなど、賢くディスカウントを行っていく。

3. Don't cut your marketing budget (マーケティングの予算を削らない)
マーケティング予算は現在の顧客のつなぎ留めや、新規顧客を含めた顧客に対して魅力的なパッケージやプロモーションを行うにあたって、マーケティングの予算がないと景気回復後の希望的な展開は期待できない。

4. Consider marketing approaches (マーケティング観点からのアプローチを考える)
宿泊業界は特定のビジネスや地域だけではなく、様々なビジネスや地域と相手に仕事をしている。それぞれのマーケットの状況に合わせて、レベニューを最大化できるようなマーケティングのアプローチをする。

5. Consider rate-obscuring practices (実際の料金を分かりづらくする)
コストをかけずに顧客へR&Bやスパなど価値を付与したパッケージ作成をしたり、何泊すれば1泊フリーなどホテル独自のプラン作成して、客室だけではないパッケージをオンライン上で顧客へアプローチする。

6. Maintain service levels (サービスレベルを維持する)
もし顧客満足やサービス品質を下げて悪影響が出た場合、需要が回復した時にこれまでの顧客が戻ってきてくれたり、新規顧客が来てくれる機会を逃す可能性が高くなる。

まとめ

これらのことは全ての宿泊業界の方々に適用できるものであるとは思っていません。
ただしこれらの6つを気に留めながら、回復するまでのプランニングや戦略の実践を行ってみることも今後を見据えた方策なのかもしれません。この提言を皆さまの参考にしていただければと思っています。

最後に2009年のリーマンショック後の景気後退時の教訓といえる、勝者と敗者を分けたポイントが、以下の論文にまとめられているので、こちらも参考にしてみてください。

尚、勝者と敗者の違いはマーケティング予算を適切に修正したか、それとも極端に減らし過ぎたかというところであると研究結果になっています。


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