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サムシング・オレンジ

『サムシング・オレンジ』

物語の主な舞台は、新潟県。連載をまとめた短編集であり、一編一編主人公は異なりますが、全員に共通するのは「アルビレックス新潟が関わっている」ということ。アルビサポの日常?人生?サポーター観?それを描いた小説です。

今まで読んだ「サッカーに関連する本」は、サッカーを学ぶために読んでいるとか、その選手のバックグラウンドを知りたいから読むとか、そんな本が多かった印象です。(自分が読んだことある本なのですごく限られた数です、ご容赦ください。)

だからこの『サムシング・オレンジ』は、私にとって「新感覚」な一冊でした。

きっとこの本は、サッカー好きではない「本を読むことが好きな人」、それからアルビレックス新潟のファン・サポーターではない「他クラブや他競技のファン・サポーター」が読んでも面白いと感じるのではないでしょうか。実際に、私だってアルビレックス新潟の熱烈なサポーターではないけれど、共感するポイント、感情移入してしまうシーンが多々ありました。

アルビ・サッカー・スポーツの枠を超えて、「なにかを応援するすべての人」へおすすめしたい本に、出会うことができました。

発売して間もないこともあり、ネタバレは怖いのであまり多くは書けませんが、タイトルの『サムシング・オレンジ』。これは、花嫁が身につけることで、幸福が永遠に続くとされる言い伝え・おまじないである「サムシング・フォー」のなかで特に人気のある「サムシング・ブルー」にならったものです。

アルビレックスサポーターにとって、ブルーに代わる色と言えばやっぱり【オレンジ色】、【青色】。夜空に輝くアルビレオにちなんだその2色が、いつでもラッキーカラーで、つい手に取ってしまう色で、見るだけで心が高揚するような、そんな色なのでしょう。

あなたにも、そんな色はありますか?
好きなチームの色、推しのアイドルのメンバーカラー・・・。1色でも心を躍らす色があるだけで、街を歩くのが楽しくなりそうですね!

この本を読んで私は「十人十色」という四字熟語を思い出しました。アルビレックス新潟のホームスタジアム『デンカビッグスワンスタジアム』は、4万人程のキャパシティを持ちます。来場者数を制限されているこの感染症流行下でも1万人以上の人が週末、スタジアムへ興奮と感動を求めやってきます。

応援の仕方、応援し続けるきっかけ、それはなんでも良いんだな、と。それぞれ思うところがあって、何か劇的に変わる瞬間があって(なくても、ふとしたきっかけで)、応援している。私も、何も考えられなくなったあの時、たった1人の選手の、あの背中を見て、救われて、たかがあの一瞬だけだったのかもしれないけれど、それが応援する動機になりました。その想いが転じて今では「私もサッカー界で」「サッカーを通して誰かを救いたい」と考えています。

サムシング=なにか、あるもの。なにかなんて、なんでも良い。私は私で勝手に応援してるから、どうかこれからも応援させてください。どうかこれからもすがらせてください。そんなことを考えながら一気に読み切りました。

いろんな応援の形、面白いな。他の人はどうなんだろう、いつもスタジアムで見るあの人は、どんなきっかけで応援し始めたんだろう。
そう思っているうちに、ふと思いました。
「そうか、これ実話じゃないのか」
あまりに現実味がありすぎて、本当にあった話だとばかり思っていました。モデルケースはあると思いますが、小説。物語。

本当のところはどうなんだろう。あの人に聞いてみたいな、この人にも聞いてみたいな。今応援していない人は、いつか出会うのかな。いや、私がそのきっかけを作りたいな。

たった一冊の本を読んだだけなのに、いろんな感情でいっぱいになりました。

まとまりのない文章になってしまいましたが、みなさんにも読んで欲しい一冊です!ぜひぜひ!!

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