うち流カメラのたのしみ方
わたしはカメラが好きで、恋人はカメラに興味がない。
わたしとしてはカメラの魅力を恋人に伝えたいところなんだけど、熱弁したところで興味を持つほど恋人も単純じゃない。
たぶんB型の気まぐれ&自由人気質だから、ほんとうに気が向いた時しか「わたしの趣味を一緒に楽しもう!」と気乗りしないだろう。
そこで考えついたのが、恋人の「すき」をうまく利用してやろうって作戦だ。
好きなものにはとことん!タイプの恋人だから、恋人が好きな「旅行」と恋人にとっての恋人、つまり「わたし」を掛け合わせてみた。
恋人に伝えたのは、こんな言葉。
「これから2泊3日の旅行がはじまります。この27枚撮りのフィルムカメラをお渡しするので、この旅の中で“すき!”と思った瞬間を撮ってください。ルールは、旅が終わるまでにフィルムを使い切ること!」
ゲームみたいなノリで言ったのが良かったのか、写真を撮る習慣がない恋人もどんどんフィルムを使ってくれた。
また、それまでわたしは恋人に写真を進んで撮ってもらったことが少なかったので、これを機会に写真が増えたのも良い思い出だ。
今では出かける時や、家の中でも積極的に写真を撮ってくれて「フィルムカメラの一件がなかったらこの瞬間は写真に収められていなかっただろうな」としみじみ思うこともある。
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この出来事があった半年後、わたしたちは無事に同棲をスタートさせた。
最初はリビングにわたしが趣味で集めたポストカードや写真を飾っていたのだが、今日は別に額縁を購入してお互いの写真を飾ってみることにした。
リビングの雰囲気に合うようにモノクロで、フィルムで取り合いっこした旅行の日の写真も入れて。
これからもこうやって、お互いの写真がどんどん増えていくといいな。
彅野アン(なぎのあん)
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