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理想は追いかけるのをやめたら手に入る?

自分のはたらく姿や、普段の生活に対して「100%、自分が望んでいる形です!」っていえる人はどのくらいいるのだろう?少なくともわたしは「100%ではない…かな…?」と自信なさげに答えてしまうだろうし、多くの人がそっち側なんじゃないかなと思っている。

「いまは100%の理想じゃなくても、いつかは…」
そう思っているわたし含めたすべての人に、ちょっと聞いてみたい。

あの、理想追いかけているうちっていつまで経っても理想にならなくないですか…?


わたしがこう考えたのは、服屋さんでの出会いがきっかけ。その時わたしは、ふらっと入ったTAKEO KIKUCHIで予算の3倍以上するネクタイに驚愕していた。「いやこれは流石に高すぎるよなあ…」と思っていたら、ヌッとお兄さんが近づいてきた。

「記念日か誕生日ですか?」

そう声をかけてきて「あーハイ。バレンタイン渡してなくて…」なんて話をしていたら、グレーとネイビーこスーツを持ってきて「ネクタイ合わせていきましょっか〜」とぬるっと営業トークがスタート。

「お姉さんがいいなって思う色は?」「彼はどんなネクタイをお持ちで?」「どんな職種なんですか?」などと、ネクタイ以外のことをたっくさん聞かれた気がする。

いつもは恋人のことなんか人に話さないので若干照れながら話していたら、ぬるっとした会話の中でいつの間にかネクタイが最後の2択まで絞られていた。かんっぜんに、やられた…全然買う気なかったのに…。

結局予算の3倍するネクタイを購入してしまい、お兄さんの営業トークに敗北したのだ。


あとから考えてみると、お兄さんはわたしが発した「あー緑とかよくないですか?」「赤と青のネクタイは持ってるみたいです」といった返答にすかさず答えていたわけでもなく、数拍置いて「はぁ〜そういったことでしたら〜…」と相槌すらままなっていなかった。わたしが考えていた営業トークとはかけ離れていたし、これでお客さんゲットできてるの?大丈夫?と心配になってしまうほどだった。

そして、たぶんそこがお兄さんの強さなんだと思う。

わたしや一般の人が思う営業トークの理想を追い求めていたわけではなく、お兄さんはお兄さんのゆるい雰囲気や親身になって話を聞いてくれるような「自分にしかできない唯一無二の営業トーク」をしていたのかな、と。
お兄さんがバリバリの営業トークを目指していたようにも感じられなかったし、かといってやる気のない接客をされたわけではない。お兄さんが理想としているおもてなしをしてくれた、それだけのことなんだと思う。

冒頭の話に戻ろう。
理想は追いかけているうちは、いつまで経っても理想にならないと思う。追いかけなくなって、自分オリジナルの自分だけの理想ができて、やっと唯一無二の自分になれるのかな、と思っている。

理想を追い続けるだけではポキッと折れてしまうし、柔軟性にも欠ける。「あの人みたいになりたい!」という気持ちが「いまの自分が自分にとっての唯一無二だ!」に変わったら、もうそれは理想の自分と呼んでいいんじゃないかな。

彅野アン(なぎのアン)

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