車デビュー物語
今日はとても気温が上がりましたね。
日差しが照って、暖かいっていうより「暑い」と感じるほどでした。
こんな日は絶好のドライブ日和でしょう。
そう、ドライブといえば、本日は車デビューを果たした。
詳しくいうと、それまで母の車で母を助手席に乗せ、アドバイスをもらいながら練習をしていたため、初めて一人で運転するということになる。
もちろん練習ではうまくいかず、母に強い口調で「もっと周りを見ないと!」「速度上げて!」と言われながら練習した。
母のアドバイスは非常にありがたいが、いざ身近な人に言われると
(そんなの分かってるよ!)
という気持ちになった。
しかし、母が助手席にいないと不安になって運転できない私。
唇を強くかみしめ、素直に「はい。」と返事をするしかなかった。
母から苦言を言われるたびに、(これも華やかなカーライフのためだ。)と何度も自分に言い聞かせた。
私は茨城に住んでいるため、車が必ず必要なのだ。
茨城で車を持たないことは、ロシアに一人で旅行に行くのにロシア語を全く知らないぐらい不便な状況になるといっても過言ではない。
私は、初めは中古の軽自動車を考えていたが、両親は来年社会人になるため新車の普通車を買ってくれると言ってくれた。
これまでいろいろなサポートをしてくれ、さらには新車を買ってくれる両親には、足を向けて寝られない。
購入手続きは済んでいたので、今日は不足していた印鑑証明書を出しに行くことになっていた。母の車(もちろん私の運転)で、トヨタに行った。
納車までの一連の説明を受け、もう帰ろうかと思った時、担当者の方から衝撃的なことを言われた。
「納車まで代車をご用意しましたので、どうぞお使いください。」
(え?????軽い気持ちで来たんですけどーーーー!)
と驚き、チームの中心選手が開始3分で怪我をして、監督から急にベンチから呼ばれた選手のような不安な気持になったが、車を持てる嬉しさも交じり、「あ、ありがとうございます。」と返事をした。
代車は白いアクアと聞き、その名の通りみずみずしい澄んだ白をイメージしていたが、代車は所々こすったような、それを治したような跡があった。
私はこれを見て安心した。
絶対にぶつけないという強い自信のない初心者の私にあったぶつけてはならないというプレッシャーから解放されたのだ。
しかし、ここで一つ気付いた。
(母の車で来たってことは、母は母の車で帰る。つまり母は助手席に乗んないから、一人で運転すんの????)
文字通り、ハハハと笑うしかなかった。
しかし、(来年立派な社会人にならねばなれない。ここで逃げたら男が廃る。)と勝手な義務感を感じた私は、母と別々に変えることを承諾した。
母のいないところで真っ先に「ナビありますか?」と担当の方に確認した話は、置いておこう。
そして、自宅にナビをセットし、まるでレーサーのような目つきで車をスタートさせた。
スタート地点から10キロほどは順調だった。
それまで10回ほど練習をしたし、何度か通ったことのある道だった。
しばらく道なりに進み、途中でナビは左へ曲がれの指示を出した。
信号と歩行者、車の位置に全集中をしていた私は、迷わず左にハンドルを切った。
しかし、そこは見慣れない風景が広がっていた。
ほっそーい道でくねくねしている。
ここでディズニーランドで迷子になった幼い記憶がよみがえってきたが、(私にはナビがあるんだ)とナビを味方につけ、その不安を払拭することに成功した。
と思われたが、なんとナビは早く帰れるバイパスを通る道を案内していた。
初心者の私は、バイパスは交通量が多く、合流や分岐が難しいから運転が慣れてきたら母と一緒に通ろうと心に決めていたが、その宿敵は突然目の目に現れた。
第一難関の合流は何とか気合で乗り切った。技術のない私には勢いで乗り越えるしかない壁だった。これはとても危ない考えだと重々承知していたが、バイパスという戦場では、初心者マークという武器は全く通用せず、入学したての一年生ばりのノリと勢いでアクセルを踏むしかなかった。
ミラーや車の右をそれぞれ5度見したので、許してほしい。
そして現在、友達を作らなければという使命で一年生の初めに話しかけた過去の自分の勇気に感心するかのように、合流に成功した今日の自分を褒め称えながら書いている。
次の難関は、数多くある分岐である。目の前のことで精いっぱいで、通ったことのないバイパスでは、分岐の標識が視力検査の2.0の人しか見えない小さな黒いマークのように見えた。
これは、運に頼るしかなかった。
(分岐を間違っても、ナビがあるから大丈夫っしょ)とここでもナビを味方につけ、うまく開き直って道を進んだ。
日頃から徳を積んでいたわけではないが、数ある分岐のギャンブルを的中させ、見事バイパスという宿敵を倒した。
その後、見慣れた道に出た時は、五十肩くらいガッチガチに固まった肩の緊張がほぐれ、思わずにやけてしまった。
しかし、ふと中学校のクラスの担任が修学旅行の時言っていた「家に帰るまでが修学旅行ですよ。」という言葉を思い出した。
再びハンドルを強く握りなおした。
そこからは初心者マークの権威を振りかざし、安全運転を心掛けた。
こうして、私は無事に家に帰ることができた。
強豪相手に2-2の引き分けみたいなデビュー戦だった。
車に、そして私のカーライフに傷がつかないよう、安全運転を心掛けたい。
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