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詩創作

24
掴めない世界
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#言葉

木漏れ日を躱し裾は振れる

木漏れ日を躱し裾は振れる

何かにつけて言葉にしたがっていた。

思い出す。

「言わぬが花」といえども私は、
その花すらどんな花であったのかを言葉にしたがっていた。

花も、言の葉も同じ水を飲んで育ってるんだからいいと思う、と私はあなたに話した。

するとあなたは、

微笑みながら共感した様子で、
土を一度ほぐしてあげるといいわよ、
と教えてくれた。

それはまるで雨水のごとき私の言葉をぜんぶ吸ってくれるあなたが、
あな

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水面のBackSpaceキー

水面のBackSpaceキー

水に指をいれてみる。

指の周りに感じる水。

水の指輪。

皮膚がゆっくりと蚕食されていくように。

体温と同じあたたかさの水。
しばらくすると体に溶けていく。

だから目の前にあるその液体が、
だんだんと自分の裸のように思えてきたのだ。

嘘ひとつつけず震えているのが分かる。

映るのは鼓動で、

しばらくしたら落ち着いた。

柔らかく呼吸するように揺蕩う水面を見ていたら、
瞼が重くなってきた

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僕の声を教えてください。

僕の声を教えてください。

僕は歩く。
ずっと歩く。走ることもない。

足を止めることもない。
同じ歩幅で、同じリズムで。

曲がることも知らない。
一言も発することをせず、
ただ、何もない道に足跡がつく。

この足跡は雨が降ったらどうなる。
いままで僕が歩いてきた道は雨に染まる。

やっと自由だ。

やっとの想い、雨の中で叫ぶ。
雨が降ったら、歌う。歌う。歌う。

歌う目的はひとつだけでいい。
歌う。歌う。

さて、僕の声

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山荷葉に慰めてもらう六月

山荷葉に慰めてもらう六月

想像のままで終わらせた私はいい者か、悪者か。

ヒーローになりたくてマントをつけたのに、
結局泣いてしかいなかった私はいい者か、悪者か。

言葉にすべきことを言葉にできなかった私はいい者か、悪者か。

思想家。

私の想像も愛もすべては、
ほんとうのしあわせが知りたいからしていたことだったと思う。

でも、それはきっと“期待”を含んでいた。
期待には愛がない。無責任な偽物崇拝だ。

期待よりも、

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