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水面のBackSpaceキー
水に指をいれてみる。
指の周りに感じる水。
水の指輪。
皮膚がゆっくりと蚕食されていくように。
体温と同じあたたかさの水。
しばらくすると体に溶けていく。
だから目の前にあるその液体が、
だんだんと自分の裸のように思えてきたのだ。
嘘ひとつつけず震えているのが分かる。
映るのは鼓動で、
しばらくしたら落ち着いた。
柔らかく呼吸するように揺蕩う水面を見ていたら、
瞼が重くなってきた。
眠ったままで重力にさからえず、
指が沈み、首は垂れ。
やがて、
今まで“恥ずかしさ”としていたものの中に気づいたら全身が浸かっていた。
水に落ちてしまっていた。
そうやってひとつになって、
言葉を体に溶かしてしまった。
いや、
もしかすると言葉に体を溶かしてしまったのか。
それすらも分からないまま。泡になった__
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余談。
このnote記事をフリック入力で書いていて、
気づいたら眠ってしまっていた。
ちょうどそのとき気づかずBackSpaceに落ちた指が、ページの言葉を順番に消していったようで、
目が覚めたら途中まで書いていたものが丸ごと消えてしまっていた。
でも、綴った言葉を体が覚えていた。
思い出して再び打ってできた文章がこれだった。
画面は、触れたものによってうつろう水面であり、
また画面の文字は、僕の裸の姿だった。
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