難波拓未|サッカーライター

2000年4月生まれ。 岡山県岡山市出身。 大学在学中の2022年から Jリーグ「ファ…

難波拓未|サッカーライター

2000年4月生まれ。 岡山県岡山市出身。 大学在学中の2022年から Jリーグ「ファジアーノ岡山」の取材・撮影を開始する。 ホーム戦ではJリーグ公式サイトの マッチレポート、監督・選手コメントを担当。

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サイドバック論~現代サッカーで進化し続ける唯一無二のポジション~

サイドバックというポジションとは サイドバックはサッカーにおけるポジションのひとつであり、サイドバックとは4バックまたは5バックの左右両サイドに位置するディフェンダーのことである。 根底にあるのは持久力 サイドバックになくてはならないものは持久力だ。試合が終わるまで上がったり下がったり、走る距離は尋常ではない。1試合を通して最も長い走行距離をサイドバックの選手が記録するというのは稀ではない。長い距離を走れる持久力に加えて、強度が高い状況で冷静な判断と正確なプレーを可能にす

    • 【レビュー】『“うまくいかない”がジャブのように…』~第34節ヴァンフォーレ甲府vsファジアーノ岡山~

      試合結果雨が上がり涼しい風が吹く中、甲府と岡山の戦いが幕を開けた。立ち上がりはホームチームが自陣からの丁寧なビルドアップと相手陣内での積極的な飛び出しで、主体的に時計の針を進めていく。岡山の3トップによるプレスに対して、左WB荒木翔が低い位置を取ることで4バック化し、数的優位の状態で横幅を目一杯使ってパスを回す。そしてダブルボランチの中山陸と佐藤和弘が段差をつくってボールをピックアップし、3トップが表と裏を使い分けてゴールに向かった。 アウェイチームはプレスの掛け方が定まら

      • 【レビュー】『チームの狙い×選手の情熱で今季最大の大一番を制す』~第33節ファジアーノ岡山vsV・ファーレン長崎~

        試合結果2024 J2 第33節 9/29 14:00K.O. @シティライトスタジアム 岡山(1-0)長崎 スタメンチームの狙い×選手の情熱で掴んだ大勝利3位・長崎をシティライトスタジアムに迎え撃つ4位・岡山が立ち上がりから狙い通りに相手陣内でのプレーを増やしていった。 アウェイチームが非保持に採用する[4-4-2]は、フアンマ・デルガドとマテウス・ジェズスが最前線を構成するる形で、[4‐4]の2ラインのブロックを組む。そのため、岡山は最終ラインからパスをつないで簡単

        • 【レビュー】『守護神がもたらした勝点1の捉え方』~第32節水戸ホーリーホックvsファジアーノ岡山~

          試合結果2024 J2 第32節 9/22 14:00K.O. @ケーズデンキスタジアム水戸 水戸(0-0)岡山 スタメン守護神の頼もしさと勝てなかった悔しさ水戸の地に乗り込んだ岡山は、勇敢に前に出た。攻守の切り替えが非常に鋭く、相手陣内でこぼれ球を回収して押し込む。9試合ぶりに先発したルカオが相手3バックの脇を突くランニングで起点をつくり、左サイドは岩渕弘人、末吉塁、鈴木喜丈が細かなパス&ムーブで内側と外側を使い分けて崩しにかかる。3バックの右の阿部海大も素早い出足でル

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        • ファジアーノ岡山J2優勝&J1昇格への道(2024シーズン)
          20本
        • サッカーの勝因
          44本
        • 日記
          30本
        • 読書感想文
          46本
        • ファジアーノ岡山J2優勝&J1昇格への道(2023シーズン)
          74本
        • 選手名鑑
          18本

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          【速報レビュー】『相手を飲み込んだ、強度と連続性と情熱』~第31節ファジアーノ岡山vs愛媛FC~

          試合結果スタメン勝点3だけを目指した、闘志むき出しの90分間キックオフの笛が、1週間で溜め込んだ闘志を全解放させた。 岡山は攻守両面で矢印を前に強く打ち出す。先発に返り咲いた田上が全体を押し上げ、味方同士の距離感を縮めた状態で高強度のプレスを繰り出してボールを奪い取る。そして、勢いよくゴールに向かった。パスも、動き出しも、ドリブルも、全てのプレー選択が前。サイドの奥を取りに行ってCKを立て続けに獲得する。7分には右サイドからゴール前への進入を許すも、3人が体を投げ出してシ

          【速報レビュー】『相手を飲み込んだ、強度と連続性と情熱』~第31節ファジアーノ岡山vs愛媛FC~

          【レビュー】『ホームでは相手を制圧するほど熱く激しくでいいんじゃない?』~第30節ファジアーノ岡山vsブラウブリッツ秋田~

          試合結果スタメンCスタなのにアウェイ戦のような違和感慣れ親しんだホーム・シティライトスタジアムで戦っているはずなのに、アウェイゲームのような窮屈さを感じた。 キックオフを迎えると、3試合未勝利の秋田が練度と強度で岡山を上回った。前線にロングボールを蹴り込むと、小松と梶谷の2トップが競り合い、ボランチとボールサイドに圧縮したサイドハーフがセカンドボールを前向きに回収して力強く前進していく。 前節に6試合ぶりの勝利を飾った岡山は、秋田のロングボール対策として空中戦で無類の強

          【レビュー】『ホームでは相手を制圧するほど熱く激しくでいいんじゃない?』~第30節ファジアーノ岡山vsブラウブリッツ秋田~

          【レビュー】『連敗阻止するも…』~第9節愛媛FCvsファジアーノ岡山~

          試合結果スタメンマッチレポート粘り強さで二度追い付くも、見え隠れする拙さ 岡山は約1600人のサポーターと共にニンジニアスタジアムに乗り込むも、出鼻をくじかれた。12分、左CB田上の中央へのパスを谷本にカットされる。谷本がインターセプトをそのまま前方の松田へのワンタッチパスにしたことで、ビルドアップのために陣形を広げていた岡山の選手はリカバーできない。古巣対戦の藤田が松田にアタックするも妨害できず、コントロールショットが左スミに決まった。 ミスから先制点を許す苦しいスター

          【レビュー】『連敗阻止するも…』~第9節愛媛FCvsファジアーノ岡山~

          【レビュー】『たくましい忍耐力と浮き出た課題』~第7節大分トリニータVSファジアーノ岡山~

          試合結果スタメンマッチレポート5連勝ならずとも見せた、たくましい忍耐力 大分と岡山がレゾナックドーム大分で激突した一戦は、互いに勢いよくプレスを掛け、攻守の切り替えを鋭く行ったことで、激しい肉弾戦が繰り広げられた。 首位の岡山は、3バックの中央を務める田上がしっかりとディフェンスラインを押し上げることでコンパクトな陣形で攻守をアグレッシブに展開していく。セットプレーをたくさん獲得しながらゴールに迫る中、8分、左CKを仙波が蹴り込むと、阿部がニアサイドに飛び込んで合わせる

          【レビュー】『たくましい忍耐力と浮き出た課題』~第7節大分トリニータVSファジアーノ岡山~

          【レビュー】『逆境を跳ね返す力』~第6節ザスパ群馬VSファジアーノ岡山~

          試合結果スタメンマッチレポート90+4分の劇的弾。芯の太さを感じる逆転劇。 前半は首位の岡山が最下位の群馬のビルドアップに苦戦した。岡山が3トップでプレスを仕掛けると、群馬はボランチの風間と天笠がその間から顔を出して縦パスをレシーブ。3バックと2ボランチで前後左右にパスを出し入れしながら前進していく。ハマらない岡山は藤田と仙波が前に出て相手ボランチを捕まえに行くも、今度は群馬が右WBの田頭が内側に入ってきたことで3ボランチ気味になり、中盤で数的不利を強いられる。さらに藤田

          【レビュー】『逆境を跳ね返す力』~第6節ザスパ群馬VSファジアーノ岡山~

          【レビュー】『勝利を呼び込む好循環』~第5節ファジアーノ岡山VS水戸ホーリーホック~

          試合結果スタメンマッチレポート選手層の厚さを発揮した岡山。3連勝で首位堅持。 岡山が選手層の厚さを存分に発揮した。前節から中3日で迎えた今節は先発4選手を変更。柳育、本山が3バックに、河野が右WBに、田中がシャドーに入ると、持ち味を存分に発揮していく。前半は強い風と雨が降ったりやんだりする悪天候の中でスタート。高く上がったボールが大きく戻され、芝生もスリッピーな難しい環境だったが、冷静に適応した。3トップが激しくプレスを掛けてロングボールを蹴らせ、柳育が圧倒的な高さで跳ね

          【レビュー】『勝利を呼び込む好循環』~第5節ファジアーノ岡山VS水戸ホーリーホック~

          【レビュー】『着実に身に付ける勝負強さ』~第4節藤枝MYFC VS ファジアーノ岡山~

          試合結果スタメンマッチレポートソリッドVS流動性。 勝敗を分けたのは“守り切る”と“決め切る”の差。 岡山は前半に左サイドからチャンスを作った。左WBの末吉がキレのあるドリブルで相手を突破して深い位置に進入し、シャドーの岩渕が抜け出す動きとスルーパスを駆使して崩しにかかる。3分、岩渕のスルーパスに抜け出してニアゾーンを取った末吉のクロスに木村が合わせるも、右足アウトサイドで放ったシュートは詰まってしまいGKに止められた。22分には末吉のクロスはクリアされるも、こぼれ球に反

          【レビュー】『着実に身に付ける勝負強さ』~第4節藤枝MYFC VS ファジアーノ岡山~

          【レビュー】『拮抗打破、難敵撃破』~第3節ファジアーノ岡山VSレノファ山口~

          試合結果スタメンマッチレポート良い守備から良い攻撃へ。 狙いを寸断した岡山に軍配。 両者ともに攻撃ではチームとしての狙いを体現し、守備では粘り強く対応する。拮抗した好ゲームを制したのは、焦れることなく戦い続けた岡山だった。 前半は山口が深さを作りにいくところからスタート。サイドに流れる梅木を基準点に全体の陣形をコンパクトにし、後方からロングボールを蹴り込んでいく。梅木の競り合いから生じるこぼれ球をボランチが回収し、新保の推進力を生かして左サイドからの前進を図った。対する

          【レビュー】『拮抗打破、難敵撃破』~第3節ファジアーノ岡山VSレノファ山口~

          【プレビュー】『勝ち切って前節の払拭を』~第3節ファジアーノ岡山VSレノファ山口~

          マッチプレビュー目指すのは勝利のみ。 勝ち切って、前節の払拭を。 岡山にとって、今節は昨季から変わったことを結果で示さなければならない一戦だ。 前節・いわき戦は、ラストプレーで勝点3がこぼれ落ちた。前半終了間際にCKから先制し、後半は64分に退場者が出たこと、向かい風の影響を受けてクリアボールが短くなったことで防戦一方に。それでも、守備陣を中心に各々がタスクを全うし、相手に決定的なチャンスを作らせないまま最終局面に突入する。しかし、最後にセットプレーから同点弾を許してしま

          【プレビュー】『勝ち切って前節の払拭を』~第3節ファジアーノ岡山VSレノファ山口~

          【レビュー】『土壇場で逃した勝点3』~第2節いわきFCvsファジアーノ岡山~

          試合結果スタメンマッチレポートアウェイで先制した岡山。 だが、退場と風が響き勝ち切れず。 古巣戦に燃える岡山の岩渕が、勢いよくゴールに向かった。4分、藤田が相手陣内でボールを奪うと、グレイソンのスルーパスに抜け出した岩渕がシュート。これはGK立川の左足に防がれる。8分には鈴木のロングフィードをグレイソンが頭でフリックし、またも岩渕が抜け出す。しかし、全速力で戻ってきた生駒のカバーに遭い、足を振り抜くことができない。背番号19は立ち上がりに迎えた2つの決定機を仕留めることが

          【レビュー】『土壇場で逃した勝点3』~第2節いわきFCvsファジアーノ岡山~

          【プレビュー】『持続したい開幕戦の勢い』~第2節いわきFCvsファジアーノ岡山~

          マッチプレビュー開幕戦の勢いを持続できるか。 問われる3バックの迎撃能力 岡山は木山体制3年目も最高のスタートを切った。Cスタに栃木を迎えた前節は、“攻守の切り替え”と“前への意識”を存分に発揮。プレシーズンに準備してきたことを全員が体現し、3-0と快勝を収めた。 昨年も一昨年も開幕戦に勝って勢いよくシーズンをスタートさせている。しかし、第2節以降は思うような結果を得られず、序盤戦は足踏みが続いた。2024シーズンは監督や選手だけでなく、クラブからも「今年こそはJ1昇格

          【プレビュー】『持続したい開幕戦の勢い』~第2節いわきFCvsファジアーノ岡山~

          【分析レポート】『開幕戦で見えたアクティブの正体』~第1節ファジアーノ岡山VS栃木SC~

          試合結果スタメン最優先は前。 浸透感じる攻撃時の共通意識岡山が攻撃時に狙ったスペースは、栃木の3バックの脇だった。 マイボール時、2シャドーの木村と岩渕の第一選択肢は、藤谷と福島の背後に抜け出していくこと。阿部と鈴木はボールを持つと、躊躇することなく2シャドーが走り込むスペースにパスを流し込んだ。受け手と出し手の関係性が非常にスムーズで、狙う場所とそこへの進入方法を共有できていたことを感じる。だからこそ、栃木が守備体形を整える前に3バックの脇を強襲し、先手を取った。受け手

          【分析レポート】『開幕戦で見えたアクティブの正体』~第1節ファジアーノ岡山VS栃木SC~