【読書感想文】『衝撃の前作をフリに使う?』~水車館の殺人~
予想の斜めの上をいく結末に裏切られた。まさか、衝撃を受けた前作の『十角館の殺人』をフリに使うとは。著者が描く作品を一つひとつの単位で捉えるのではなく、もっと俯瞰的に綾辻行人と向き合おうと心に決めた。
本作品は正真正銘のミステリー小説である。舞台は岡山県の山奥にある、水車館。偉大な絵描きの息子、藤沼紀一が保有する館では、1年に一度だけ彼の父が描いた絵を観覧しに知人が訪れる。しかし、1年前のその日に殺人事件が起き、1人の男が消失した。姿を消した男が犯人だということで事件は解決し