2021シーズンのファジアーノ岡山の右サイドバックを担っていくのは誰だ

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これはスポーツ分析に興味のある方々で作成する「スポーツアナリティクス アドベントカレンダー2020」の12日目の投稿です。

 今回、アドベントカレンダーにお誘いしてもらい記事を書くことになりました。記事を投稿されている他の人に比べてデータを扱う能力は乏しいですが、せっかく頂いた機会を「挑戦」の意味を込めて生かせればと思います。

 そこで、応援しているファジアーノ岡山の来シーズンの右サイドバック事情についてJリーグに掲載されている今シーズンのデータを基に考察し、自分の見解を書いていきます。

※本記事の内容は12月11日現在のデータを使用


 今回取り上げる選手は椋原健太下口稚葉松木駿之介の3選手。まずは簡単な総括とデータを見ていきます。


軸として奮闘した椋原健太

 類を見ない過密日程を戦うことになった今シーズン、右サイドバックとして最も長くピッチに立ったのは椋原健太。34試合(先発27試合・途中出場7試合・2292分)に出場した椋原は右サイドバックの軸としてプレーしてきた。J1でもプレー経験があるベテランは粘り強い守備対応でチームを安定させた。前の選手を追い越すような攻撃参加はあまりせずに、右サイドの均衡を保つことに専念していた印象だ。ただ、椋原は今シーズンで契約満了。来シーズンはいない。寂しさと不安があるというのが正直なところ。

21 椋原健太34試合出場(


成長が求められる下口稚葉

 椋原の次に右サイドバックとして長く出場した下口稚葉。AC長野パルセイロへの育成型期限付き移籍から復帰した今シーズンはミスが散見されたが、チャレンジする姿勢を見せた。前の試合の反省を次の試合に生かす姿勢は顕著に見られ、向上心を持った22歳がレギュラーを勝ち取るには実戦経験から得られる判断ミスをしないプレービジョンを身に付ける必要があるだろう。賛否両論を目にするが、筆者としては成長に向かって挑戦する若武者に期待したい。

下口稚葉


コンバートで新境地を切り拓いた松木駿之介

 サイドアタッカーを主戦場とする松木駿之介は右サイドバックに本格コンバートされているため、3選手の中で最も攻撃的な選手と言える。豊富な運動量で上下動を繰り返し、サイドハーフをサポートする意識を忘れない。クロスの精度や対人守備はまだまだ粗削りではあるが、サイドバックとして新たな可能性を示した。経験を積むことでサイドバックとしてのプレーモデルを確立して飛躍したい。

松木駿之介(



積極的な姿勢が結ばれるか~データ比較~

 前述したように3選手の中で最も攻撃的な選手はサイドアタッカーからコンバートされた松木駿之介であることに間違いない。しかし、サイドバックで多く見られる攻撃的なプレーの代表格であるクロスで椋原健太と共に高い数値を示しているのが下口稚葉だ。下口稚葉は3バックの一角や4バックのCBを務めたり、試合終盤にリードを守る守備要員として投入されることもあり「守備の人」という認識をされることは少なくない。しかし、クロス本数ではなく1試合平均クロス数ではトップに近い数値を記録している。これは、攻撃に対する意識、クロスを上げに行く積極性を持っているということだ。守備の選手から攻守両面で貢献できる選手へと成長していきたいという姿勢はもっと評価されるべき。
 0.2ポイントではあるがトップ数値を残している椋原健太はさすがと言ったところ。今シーズンは守備に重きを置いたプレーを見せていたという印象を見せながら、実は攻撃にもしっかり貢献している。データは印象と違う考え方を提供してくれるということを改めて感じるものだった。

 守備のデータを見ると1試合平均タックル数でも下口稚葉は最も高い数字を記録。相手のボールを奪いに行くタックルは積極的なプレーだ。その数値が高いというところからも下口稚葉の積極性は伺える。さらにタックル成功率でもトップの数値を残している。しかし、出場時間が多い椋原健太や攻撃的で貪欲にプレーする松木駿之介と比べて、失点に繋がるミスが目立ってしまっている下口稚葉への信頼はサポーターの意見を見る限り高くはなさそうだ。

 信頼を勝ち取るためにはピッチで示すしかない。積極的なプレーを続けていく中で、クロスでアシストする、マークする相手を完壁に抑える、絶体絶命のピンチを防ぐ、などわかりやすいプレーや結果が求められているのかもしれない。


来シーズンの展望

 前述したように右サイドバックの軸として最も長い時間プレーした椋原健太は今シーズン限りでの退団が決まっている。加地亮が背負った背番号21を継ぐものとして加入した椋原健太は果敢な攻撃参加と豊富な運動量、粘り強い守備を披露。純粋に良いサイドバックで、厳しい財政状況がなければ契約は更新されていたはず。まだまだやれる椋原健太の退団は寂しいが、前を向かないと行けない。

 来シーズンは下口稚葉と松木駿之介の激しいスタメン争いに期待したい。今シーズンFC琉球から完全移籍に移行した増谷幸祐が復帰すれば、間違いなく彼がファーストチョイスになるだろう。しかし、怪我の状況、治り具合はわからない。そのため、過密日程の中で経験を積めた下口稚葉と松木駿之介の飛躍に期待したい。同世代の2人が練習から切磋琢磨して刺激し合うことで必ず能力は向上する。下口稚葉には判断みすをしないプレービジョンの確立、松木駿之介にはサイドバックの在り方であるプレーモデルの確立を求めたい。自分の中で間違っていないという核を身に付けることで、迷いがなくなり、ひとつひとつの精度を高めてほしい。

 増谷幸祐が復帰するのか、新しい選手が入ってくるのか、現段階では未知数な部分だ。そんな未知数なものではなく、下口稚葉と松木駿之介が見せてくれた可能性に期待したい。



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