【レビュー】『変化が導いた1‐1』~第29節ファジアーノ岡山VSジェフユナイテッド千葉~
スタメン
マッチレポート
変化VS変化はドロー決着
両指揮官がもたらした変化が状況を好転させるも、勝点3には手が届かなかった。
岡山はアウェイで新潟に勝利した前節と同じ11人が先発に名を連ねた。2連敗をして前節も中止となった千葉は川崎から加入した田邉が先発し、第20節の仙台戦ぶりに[3-4-2-1]のシステムを採用した。
前半は五分五分だった。千葉がレオンソのポストプレーからWBとシャドーの連係で両サイドからゴールに向かうと、最初の決定機を迎える。21分、福満のパスに抜け出した風間がキックフェイトで徳元をかわしてクロス。これに小林が飛び込むも、ヘディングシュートはポストに当たった。岡山はサイドの奥を突きながら、[5-4-1]のブロック敷く千葉に対して自陣からパスをつないでチャンスを作り出す。22分、本山が田中とのワンツーで中央から突破し、パスを受けたデュークがゴール前で右足を力強く振り抜くも、シュートは枠を越えた。
後半、木山監督が先手を打った。チアゴ・アウベスを投入して[3-5-2]のシステムに変更すると、今節もシステム変更で歯車がかみ合う。2トップのプレスに連動して後ろから前に押し出していく守備で圧力を与えると、55分に河野のクロスをアウベスが頭で合わせて先制した。
追いかける展開になったユン・ジョンファン監督は71分に3選手を同時に投入する。最前線に櫻川が入って両WBが米倉と末吉に代わると、推進力が増して反発した。77分、田邉が自陣ゴール前でパスカットすると敵陣ゴール前までグングン突き進み、櫻川の折り返しをレオンソが押し込んだ。
その後は千葉が末吉のドリブル突破をはじめ左サイドからゴールに迫り、岡山は89分に濱田を投入してセットプレーでゴールをこじ開けようとするも、最後まで決勝点は生まれなかった。
拮抗した試合を動かしたのは両指揮官の采配だった。木山監督はシステム変更を施してチームとして前に、ゴールに向かってプレーできるように意思統一を促した。ユン・ジョンファン監督は選手交代を行い、途中出場選手が発するエネルギーがチーム全体に伝播していった。しかし、相手を上回る力強さを発揮することはできずに痛恨のドローとなった。
コラム
チャンスがピンチに。デュークにはシュートを打ってほしかった
チャンスとピンチは表裏一体であることを思い知らせる失点だった。
77分、岡山は2点目を奪うチャンスを迎えていた、はずだった。左サイドで佐野が相手と体をぶつけながら粘ってパスを出し、ボールはPA手前にいたデュークに渡る。背番号15は前を向いてシュートを打つと思いきや、右斜め前の田中へのパスを選択する。しかし、これは田邉にカットされた。そして、川崎から加入したばかりの背番号30に猛然とボールを運ばれる。本山が止めようとアプローチするも、追いつけない。田邉のスピードと推進力が勝った。約45mの距離を独走され、最後は櫻川の折り返しをレオンソに押し込まれた。
デュークから田中へのパスが通れば、決定機を迎えていただろう。しかし、デュークにはシュートを打ってほしかった。彼がプレーするFWというポジションの最も重要な役割は得点を決めること。相手のゴールに近い位置でプレーするため、ゴールを決めてチームを勝利に導く活躍を期待したい。
22分にデュークは本山からのパスをゴール前で受ける決定機を迎えるも、右足で放ったシュートは枠を大きく越えてネットを揺らすことができなかった。だからこそ、77分のシーンでは何が何でも自分が決める強い意志で足を降り抜いてほしかった。
守備でも走ることをいとわない献身性はいつもチームを助けられている。しかし、ゴール前ではもっとエゴイストになってもいいのではないだろうか。たとえシュートが枠外に飛んだとしても、攻撃は完結するのだから
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