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アメリカ留学日記 Vol.11 DCひとり旅 後編

こんにちは。たくまです。
前回の「アメリカ留学日記 Vol.10 DCひとり旅 前編」の続きを書いて行こうと思います。前編を読んでいない方は是非とも前編を読んでからこちらをよんでみてくださいね!前編がメインで、後編のこちらは補足的な位置づけです。

インターン落ちたところへ行ってみた

何から後編を始めようかな、と思った時に一番パンチの強いトピックと言えばこれだろう!と思ったので、この話題から始めます。DCにはスミソニアン博物館群の一つに「国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館」という博物館があります。
この博物館のサマーインターンシップに申し込んでいたのですが、ちょうどDCに旅行に来る数週間前に最終面接を受けて落ちていました(インターン受かっていたら3週間くらいDC住めてた!)。自分を落とした場所にお客さんとして来るというなんとも不思議な気持ちです。いざ建物の前に。スミソニアン及びナショナルモールにある博物館・美術館は入場料無料、予約不要なのですが、この博物館だけはオンラインで来館予約チケットというものを購入していないと入ることが出来ません。「チケット」と名前が付いていますが、無料のものなので予めオンラインで来館日時を指定する感覚だと捉えてもらえればいいです。

ここが俺を落とした博物館…!

やはりアフリカ系アメリカ人の博物館と言うことで職員さん、お客さん双方黒人の方が非常に多く、また、アフリカではフランス語などヨーロッパの言葉が喋られていることもあり、フランス語かな?と思う様な言語もチラホラ聞こえました。
中はなんと地下の特別展エリアも含めて5階建てになっていて(オフィスも含めると6階建てらしい)見応え抜群でした。決まった順序が定められているわけではないので、好きなように回ればいいのですが、何となく最上階から回っていきました。アフリカ系アメリカ人が作り上げた文化を中心に歴史を説明するような造りになっていたのですが、やはり抑圧や差別といったことを受けてそれに反抗するようなアートや文化醸成がされてきたのだな、と思いました。
一番心に残ったのは地上3階のフロアでした。アフリカ系アメリカ人によって生み出された文化がズラーっとならんでいて、音楽で言えばジャズなど様々なジャンルが彼ら彼女らによって生み出されたり、ファッションのトレンドなんかもインスパイアされているものがあるのか、ととても学びになりました。
映画を研究していて映画好きだからかもしれませんが、特に印象に残ったのは映画によるアフリカ系アメリカ人のエンパワーメントについて触れていたエリアです。ハリウッドの大作でそのようなある種当時の社会に対して中指を立てるようなことは難しかったことからインディーズ映画でそのようなメッセージを届けていたらしいのですが、その描き方も監督によって様々で思わず見入ってしまいました。

これはハリウッドに黒人が出れるようになってからの展示

もう一点印象に残った展示がありました。

このアートです。キャンバスに描かれた絵なのですが、キャンバスの上にプラスチック版が重ねてあり、写真のように絵を見ている人が反射で映り込んでしまいます。写真では暗くて分かりにくいのですが、キャンバスの真ん中に地面に倒された人が描かれており、その人を周りの人が殴る蹴るといった袋叩きにしている様子が描かれています。そして、地面に倒れている人の顔の部分が白く塗りつぶされています。
僕が少ししゃがんでプラスチック版に映り込めば被害者、写真を撮ったように正面に立ったり、少し左右にずれて立てば加害者、という社会の中でいとも簡単に加害者にもなりえるし被害者にもなりえると言うことを訴えているアートです。これはアフリカ系アメリカ人に対して行われた差別以外にもあらゆる種の差別、広くいえば対人コミュニケーションに言えることであり忘れてはいけない視点だと思いました。

他にも紹介したいアートや展示がたくさんあったのですが、撮影禁止エリアも多かったのでこの辺で。

美術館と言うより迷宮

アメリカの国立美術館にも訪れました。驚くべきはそのサイズ館で、日本語で言うところの別館枠で東館と南館がそれぞれ道路とナショナルモールを挟んだところに位置しています。本館扱いの西館だけでもかなりのサイズ館。端っこから端へ歩くだけで汗をかくようなサイズです。

東館

とりあえず、時間もあることだし、東館から見てみることに。
東館は近代美術を中心にまとめられていて、時代的に一番古いアートがピカソが活躍していた1900年代頭くらい、写真も展示されていました。写真はなかなかアートとして展示されている美術館はないような気がして少し新鮮でした。

一部屋まるごとピカソ!
ミッキーのイラストも

正直、東館だけでも一個の美術館として十分に成立するレベルです。
東館もかなり広くて、館内の椅子で暫く休憩していたりもしました。気が付くと2時間ちょっと滞在していて、本館である西館が閉まってしまう!と思って急いで西館へ。

西館

西館という名前ですが実質本館。めちゃくちゃ大きいし、順路もイマイチ分からず、どちらかというと美術館というより迷宮のようなイメージです。本当に広くて、全ての部屋が同じような造りになっていて迷う!流石ナイトミュージアム2で物語が展開するメインのエリアとなっているわけだ…
全ての部屋の作りが同じすぎて地図が全く地図として機能しません。見たい展示が置かれている部屋に関しては国立美術館の公式サイトでアートを検索すれば表示されるのですが、その部屋がどこにあるのか分からない…

吸い込まれそうな廊下が延々と続いています
美術館だよね?

建物の中はずっとこんな感じです。広すぎるし景色かわらないし、困ったことに地下を含めて3階建て。エントランスは1階で、そこから上下に分かれているイメージです。
そんなこんなで迷っているとレオナルドダヴィンチの作品を発見。生まれて初めて見たかも。

ダヴィンチって感じ?

他にも有名な「考える人」も。考える人像の前にはベンチがあったので座って暫く僕も地獄とは何か考えて見ました。(考える人は確か地獄の門を見つめているっていう設定でしたよね)

今写真を見ると相当斜めっている…

そんな超絶巨大で有名アートもわんさかある美術館の中で個人的に一番印象に残っているアートはこれです。"The Voyage of Life"という4枚ある絵の中の一つで"Manhood"という作品名です。直訳で「大人らしさ」という意味ですが、4枚の絵がそれぞれ人生のライフステージを表していたので、それを考えてみると「青年期」でしょうか。今自分は22歳。世の中で言うまさに青年の時代です。確かに孤独を感じるシーンも多くありますし、この先に待ち構える就職など。もっと大きくとらえると社会という壁も待っています。その様を木で若干隠れていますがこの先は滝ないしは急流が待っているのだろうと想起させるような絵でした。この絵は1842年に描かれたものらしいですが、いつの時代も青年はお先真っ暗の不安な状態にあるのだなぁなんてことを思いました。

めっちゃ自分じゃん!ってなった。

そんな感じで大量のアートを摂取していると突然学芸員さんが叫びました。「あと30分で閉まるよー」って。どうやらこの日は本来の閉館時刻より1時間早く閉まる日だったらしく(本来の閉館時刻は17時)、16時で閉まるそう。そんな情報を事前に持っていなかった僕はもう一つの別館の南館はおろか、本館である西館のアート全てを観ることもできずに退散したのでした。いつか絶対リベンジで来るからな!

DCでエジプトを考える

もう一か所、ナショナルモールから少し離れた場所にあるのですが、ナショナルジオグラフィック博物館と言うところにも行ってきました。この博物館は名前の通りナショナルジオグラフィックが運営している博物館で常設展は設置されておらず特別展が入れ代わり立ち代わり開かれているという少し特殊な博物館です。僕が訪れた時にはツタンカーメン展が開かれていました。
何よりも新鮮だったのはその展示の仕方!実物や文字による展示はほとんどなく、映像とナレーション、プロジェクションマッピングによってまるで自分が物語の中に入り込んだかのような展示の仕方となっていました。
展示の文字による説明も最初はプロジェクションマッピングの砂によって隠されていて、しばらく待つと風によって砂がどけて文字が読めるようになったりと本当に楽しんで展示を楽しむことが出来ました。こうした展示の仕方を "Immersive Experience"と呼ぶらしく、日本でもこういった展示が増えるといいなと思いました(あるのかな?)。

見えている展示は全てスクリーン!
これも全てプロジェクションマッピング!

個人的にびっくりしたのは、高校生の時に世界史の授業で学んだことから少し内容が変わっていたことです。当時の世界史の先生も歴史と言うものは新しい発見一つで大きく変わる、と言っていましたが、当時先生がこのあたりの事については詳しく分かっていません、と解説していた部分が展示で解説されていたりするなど、高校の学びとリンクさせて楽しむこともできました。
それにしても "Immersive Experience"は博物館に行くというよりも一種のアトラクションに乗っているみたいで面白かったなぁ~

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