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Wordの音声読み上げ機能で校正したらすごく良かった話

文章に誤字脱字はつきものだ。書いているのが短い記事であれば、丁寧に読み直せば大抵の間違いは排除できる。しかし、これが10万字を超えるような文章になってくると(少なくとも私にとっては)話が違ってくる。

分量が多いので、まず集中力がもたない。読み直している途中に精度高くチェックできている部分とそうでない部分が生じ、後者において誤字脱字や違和感のある表現が生き残る。そうするとまた何度も全体を読み直さなければいけなくなるのである。

自分で音読するのも一つの手だが、それでも問題を完全に解決したとは言えない。結局、集中力が落ちてくると、黙読して見逃すような誤字脱字は音読する時にも見逃すからだ。

私はこれまでに本を2冊上梓しているが、いずれも自分で校閲する際には大変な労力を要した。(そして残念ながら、いくつかの誤字脱字は出版時点でも残っていた。)

そこで今回試してみたのがWordの音声読み上げ機能を使う方法である。これは、校閲機能の一つとしてWordに標準搭載されているもので、再生速度なども自由に調節することができる。また、再生中はどこを読んでいるのかを画面上で追跡することが可能だ。

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この方法には幾つかの利点がある。第一に、これが一番重要なのだが、なんといっても誤字脱字が確実に検出できる。(漢字の変換間違いなどはさておき。)自動読み上げは当然書いてある通りに発音するし、音声として間違った文は人間の耳に強烈な違和感を生じるので、まず見逃さない(聞き逃さない)。


第二の点として、集中力が持続する。正確に言うと、高い集中力を維持しなくても良くなる。自分の目で校正をしていると一定の集中力を長時間維持しなくてはならない。普通、読む速度も精度もまちまちになる。しかし、この方法では勝手に一定の速度で文を読み続けてくれるので、そこまでの集中力を必要としないのである。PCにワイヤレスイヤホンを接続しておけば、気分転換に部屋の中をうろうろしていてもチェックができる。尚、誤字脱字のチェックだけなら、かなり楽にできるが、不自然な文とか、よりうまい表現ができるところを探しながら、となると、これでもそれなりに大変な作業にはなる。

さらに第三の利点として、自動読み上げをそれなりの速度に設定しておくと、説明が分かりにくい部分が自ずと明らかになることがある。「ちょっと今のところ頭に入ってこなかったな」という部分を見直してみると、説明がまずかったりするのである。

以上のような利点の結果として、校正作業が、正確に、かつ早く終わる。

利点ばかりを述べたが、注意点についても一応述べておく。読み上げ音声だけ聴いていると、同音異義語の間違いを検出できない。それと、表記ゆれや、句読点といったミスも音声の上では判別できない。したがって、読み上げの最中は画面を見て、一緒に目で文面を追う作業が必要になる。

この方法は、特に長い文章を書く際に有用だが、短い文章に使っても良いだろう。

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完全に余談だが、この読み上げ機能は結構良くできていて、例えば、

「括弧で囲われた部分は音声としてひとまとめにして読む」ということが出来る。

という文を読む際には、鍵括弧で囲われた部分をちゃんと区切って読んでくれるのだ(!)。

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