僕はクリエイターになりたかった
所詮僕は消費者側なんだ。
何かを生み出せる人間じゃない。
夢の話だけじゃない、事実僕は何かを生み出すどころかまともにバイトすら出来ず、貯金を消費するだけの日々を過ごしている。
音楽家はずるい。
同じ言葉を綴ってもリズムと押韻があるとウケが格段に上がる。
より広く伝わって、印象に残りやすい。
だからミュージシャンになりたかった。シンガーソングライターに。
でも歌が下手だった。
だからボカロPになりたかった。
でも音楽で伝えるのはその分ハードルが上がる。技術がいる。
僕はギターをかじっていたけどすぐ挫折した。
だから音楽を作るのも無理だった。
いつか音楽を作れたら。
そんな気持ちで聴く音楽たちはどうにも苦い味がした。
頭痛がする、熱が出る、下唇を強く噛んで心臓がキュッと苦しくなる。
眉間にシワを寄せて顔が険しくなりながら聴く。
苦しい、苦しい、
同じようなことを言いたかった。
そんな言い回しがあったなんて。
僕の方が上手く伝えられるのに。
先を越された、いや違う、力量か。
僕が先に世に出しても誰にも見向きもされない、
そう悟るときはなんと辛い時間か。
何かを伝えたかった。自分の考えを。
密かに夢になってる程のそれが何かとは今となってはもうわからない。
今はただ、死にたいって言ってるだけ。
その伝える手段として、クリエイターになる必要があった。
発信者になろうとした。
動画、アニメーション、漫画、絵、
そのどれをやりきるにも僕は力不足で、ついに文字だけの岩山に追い詰められた。
でも今気付いたかも、
手段として創作を使おうって考える僕が傲慢だったのかな、
みんな、「好き」で創作してるんだ、
そりゃ僕はのけ者にされるか。
クリエイターさんたちが活動の幅を広げるっていって他の分野に手を出してるのを見て、死にたいぐらいに嫉妬してる。
もうそのまま留まっていてくれよ。
なんでも出来る貴方のせいで、僕はなにも出来なくなってしまう。
共感出来る歌を聴いたり、深い意味のありそうな絵を見たり、おもしろい漫画を読んだりする度に思うよ。
ああ、僕にはこうして表現することはできないのか、僕は消費者側なんだなと。
ひたすらに自分の時間を作品へのファン活動にあてがって消費する日々。
何かを作って稼ぐんじゃなく作られた何かに貢ぐ日々。
僕は、ずっといち視聴者、いちリスナー、いちファンの立ち位置なんだなと。
上手く言えないや、やっぱり僕には無理なのかな、
僕を見てくれ!!そんなの言えない、
僕は見られる側じゃなく見る側なんだ。
意識される側じゃなく意識する側で、
誰かの目に留まる側じゃなくて誰かを注目する側、
まったく嫌になるよ。
昔大嫌いだった有象無象に今なってる。
理由は明白。
努力してないんだ。
「足りない」じゃなくて「してない」
今後する気もないんだろ。
音楽も絵も、「才能がない」なんて言葉で誤魔化してる。
最大限努力した先での差異になる指標が才能なんだよ。
僕はその土俵に立ってない。
でも努力すら才能だと思うから、僕にはやっぱり才能がないのかもしれない。
努力すればなんとかなるなんておこがましいこと極まりない。
画面の向こう側には、
ステージの上には、
上がれないんだなぁ
なんてぼやきながら今日も枕を濡らして今日が昨日に変わる。
ひっかき傷でいいから
この世界に、爪痕を。
努力もできない、才能もない僕だけど、
僕が僕でなくなる前に、
せめて僕は、クリエイターになりたかった。
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