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3Dプリンタで植物細胞を使った色鮮やかなプログラム可能な生物材料の作製に成功 アメリカ化学会

従来のエンジニアードリビングマテリアル (ELM) は主に細菌や真菌の細胞を利用していましたが、植物細胞の特性に着目した研究が進んでいます。今回、科学者たちは植物細胞と遺伝子組み換え技術を組み合わせ、3Dプリンタで色や機能をプログラムできる生きた材料を作製することに成功しました。

これまで植物細胞を使ったELMは、構造が単純で機能も限られていました。しかし、今回の研究では、タバコの細胞と遺伝子組み換え技術を用いて、複雑な形状を持ち、色や機能を自由にカスタマイズできる画期的なELMの開発に成功したのです。

研究チームは、タバコの細胞とゼラチン、そして植物の遺伝子組み換えに用いられるアグロバクテリウムという細菌を含むハイドロゲルマイクロパーティクルを混ぜ合わせたインクを作製しました。このインクを3Dプリンタで印刷すると、格子状、雪の結晶状、葉っぱ状、らせん状など様々な形にすることができます。印刷後、青色光を照射して構造を硬化させます。その後48時間かけて、細菌がタバコの細胞に遺伝子を導入します。不要になった細菌は抗生物質で除去します。

数週間かけてタバコの細胞が増殖していくと、導入された遺伝子によって緑色蛍光タンパク質やベタレインと呼ばれる赤い色素や黄色い色素を作り出します。研究者たちは葉っぱの形をしたELMを2種類のインクで印刷し、葉脈は赤い色素、残りの部分は黄色い色素を生成させることに成功しました。

今回の研究は概念実証段階ですが、将来的には色素や医薬品などの生産工場としての利用や、持続可能な建築材料としての応用が期待されます。植物の持つ特性と人工物の安定性を兼ね備えた革新的な材料の誕生と言えるでしょう。

詳細内容は、アメリカ化学会が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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