見出し画像

絶滅した古代人類デニソワ人がチベット高原で16万年生き延びた証拠を発見 レディング大学

新たな研究によると、絶滅した古代人類デニソワ人が約16万年間、標高3,280メートルのチベット高原で生活していたことが明らかになりました。この研究は、2024年7月3日に『Nature』に掲載されました。

デニソワ人は、ネアンデルタール人やホモ・サピエンスと同時期に存在していた古代人類で、これまでに発見された化石はごくわずかです。彼らがどのようにして絶滅したのかは依然として謎のままですが、ネアンデルタール人やホモ・サピエンスと交雑した証拠が残されています。

今回の発見は、蘭州大学(中国)、コペンハーゲン大学(デンマーク)、中国科学院チベット高原研究所、およびレディング大学(英国)の研究チームが共同で行った調査によるものです。彼らはチベット高原の白石崖洞窟で2,500点以上の骨を分析し、新たなデニソワ人の化石を発見しました。

骨の多くは青羊(バラール)や野生のヤク、ウマ科動物、絶滅したケサイ、斑点ハイエナのものでした。また、マーモットや鳥類などの小型哺乳類の骨片も含まれていました。これらの骨片は非常に細かく砕かれており、動物種の特定が難しいものでしたが、新しい科学的手法「Zooarchaeology by Mass Spectrometry(ZooMS)」を用いることで、骨コラーゲンの違いを利用して動物種を特定しました。

蘭州大学の黄夏(ファン・シャ)博士は「ZooMSは通常見過ごされがちな骨片から貴重な情報を引き出し、人類の活動についての深い洞察を提供します」と述べています。

研究チームは、骨片の中から1本の肋骨をデニソワ人のものと特定しました。この肋骨が発見された層は約4.8万年前から3.2万年前にさかのぼり、これは現生人類がユーラシア大陸を移動していた時期と重なります。結果は、デニソワ人が寒冷期と中間の温暖期の両方を生き延びていたことを示しています。

コペンハーゲン大学のフリド・ウェルカー博士は「化石と分子の証拠が示すように、白石崖洞窟がある干家盆地は、高地にもかかわらずデニソワ人にとって比較的安定した環境を提供していました」と述べています。

研究は、デニソワ人がこの地域でどのようにして長期間生存し、最終的に絶滅したのかについてのさらなる理解を深めるための一歩となりました。

詳細内容は、レディング大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?