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月の大気の秘密を解明、隕石衝突が生んだかすかな大気 マサチューセッツ工科大学(MIT)とシカゴ大学

月は息を吸うことのできない天体として知られていますが、実はかすかな大気を持っています。この微弱な大気は「エクソスフィア」と呼ばれ、1980年代から天文学者たちに観測されています。しかし、この大気がどのようにして形成されたのかは長らく謎のままでした。

マサチューセッツ工科大学(MIT)とシカゴ大学の研究者たちは、月の大気の起源を明らかにしました。彼らの研究によると、月の大気は主に隕石の衝突による「衝突蒸発」によって形成され、現在も維持されているのです。

NASAのアポロ計画で収集された月の土壌サンプルを分析した結果、月の表面は46億年の間に絶えず隕石による衝突を受けてきたことが分かりました。初期には巨大な隕石が、最近では微小隕石が表面を打ち続け、土壌の一部を蒸発させて大気を形成しました。一部の原子は宇宙空間に飛び出しますが、他の原子は月の周りに留まり、大気を維持しているのです。

MITの地球・大気・惑星科学部の助教授であるニコール・ニー氏は、「隕石衝突による蒸発が月の大気を形成する主要なプロセスであることを明確に示しました」と述べています。彼女のチームは、アポロ計画で採取された月の土壌サンプルからカリウムとルビジウムの同位体を分析し、これらの元素が衝突によって蒸発し、大気を形成することを確認しました。

この研究により、月の大気の70%以上が隕石衝突によって形成されていることが明らかになりました。残りの30%は、太陽風による「イオンスパッタリング」によるものです。この発見は、月だけでなく、他の月や小惑星でも同様のプロセスが発生し得ることを示唆しており、今後の探査ミッションにおいて重要な手がかりとなるでしょう。

研究を主導したニー氏は、「アポロ計画で収集されたサンプルがなければ、私たちはこれほど正確なデータを得ることはできなかったでしょう。月や他の惑星体からサンプルを持ち帰ることの重要性が再確認されました」と強調しています。

この研究はNASAと国立科学財団の支援を受けて行われました。

詳細内容は、MITが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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