ピッケ

小さくて賢いともだち

最近読んだ本に出てくる登場人物のなかでぶっちぎりで友達になりたいのが今回読んだ『小さなバイキング ビッケ』(ルーネル・ヨンソン)に出てくる主人公のビッケだ。

【あらすじ】
スウェーデンやノルウェーの海岸に1,000年ほど前存在していた海賊。「バイキング」と呼ばれた彼らは力を使って、町をおそっては人々から恐れられていました。そんななか、力ではなく知恵を使って戦った小さなバイキングのお話。

海とはだいぶ無縁で生きてきたことや、たまに船に乗ったとしても船酔いでぐったりしてしまうわたしからすればバイキングの存在自体憧れの対象である。(罪のない人や町を襲うのはよくないけど)

海に生きるだなんて、文献にも残っているし、日本に海賊がいたことも確認はされているものの、わたしにとってはファンタジーのなかの世界。

とっても気になる存在なので、彼らがどんな生活をしているのかちょっぴりでも知ることができる「ビッケ」シリーズは読んでてわくわくしてしまった。

地方の族長である父を持つビッケは体も小さく、力もない代わりにとっても頭がよくオオカミや海賊との戦いを知恵を使って切り抜けるのだけど、それがいちいちかわいくて、次は何をしてくれるんだろうと期待してしまう。

例えば仲間がバイキングにつかまったときも、料理人の少年のふりをして潜入したり、ふらふら歩いても怪しまれないように大道芸人に扮装してみたり、牢屋のドアを開けるためにノコギリエイを使って切り抜けたりする。

暴力も嫌いなビッケは力で制するやりかたで生きるバイキングがすきじゃなく、襲われそうになるとガタガタ怯えたりとするけれど、大事なところでは勇気をもって飛び出していくところもすごくかっこいいのだ。

それでもって「すごい」と褒められてもむちゃくちゃに謙遜する。

「ぼくは、英雄なんかじゃない。こわくて、心臓がドキドキしていたんだもの。本当の英雄は、こうじゃない。勇気だって、少しもないんだ。英雄だなんていわれると、むかついてしまう」

くるくると知恵が回るビッケは町の発展にも力を貸すし、たぶん、ほんとうはバイキングじゃなくて陸地で穏やかに暮らしていたほうが幸せなんだろうなと思う。

だけどバイキング一家に生まれてしまったからこそ起きる事件の数々が面白くて、世界中で愛されているという理由がわかる。

全6巻のこの作品は日本でもアニメ化されるくらい人気の作品だ。わたしもちょっとずつでいいから読破しようとすっかりビッケのとりこになってしまった。


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