ふたりのロッテ

ちょっぴりの変化/ふたりのロッテ

小学生のときにひとつ上の学年にふたごの男の子がいた。

ふたりとも背が高くて、足も速くて、少しかっこよくて、やんちゃな子と優しそうな子とどっちがタイプ?なんて、よく女の子たちで盛り上がっていた。

わたしは優しそうな子のほうがかっこいいと思う派だったのに、仲良くなってしまったのはやんちゃな子のほうだった。

わたしもやんちゃ側の人間(?)だったので一緒になって追いかけっこしたり、ぶつかりあったりして遊んでもらえたから楽しかったけど、優しい子とは仲良くなれずに終わってしまって「まあ人生ってそんなものよね」と幼いながらに思ったことを覚えている。

当時は何をおいてもまずが相性占いだったから誕生日だったり血液型だったりを、一緒に帰ったときにあれこれ聞いたら「ぜんぶ俺といっしょだよ」って笑いながら言われて、そうなんだ、ふたごってすごいな…とびっくりしてしまった。

誕生日も血液型もいっしょなのにこんなに違うんだ!だけど、やっぱり顔も雰囲気も似ていてなんだか不思議。

自分とすごく似ている、でも違う、そんな子がいたらどうなんだろう。楽しいのかな、鬱陶しいのかな、楽ちんなのかな、窮屈なのかな。

生まれたときからいっしょならもしかしたら慣れるのかもしれないけど、その存在を全く知らなかったのに、いきなり目の前に全く同じ顔が現れたらそりゃあ受け入れらなくて向こう脛もけっとばすよなあと、今回『ふたりのロッテ』を読んでつくづく理解してしまった。

【あらすじ】
遠く離れてお互いの存在も知らずに育ったロッテとルイーゼ。ばったり会ってしまったふたりは話していくうちに自分たちは幼いころに引き離されたふたごだったんだと知ります。いないと思っていた親に会ってみたい、片割れがどんな生活をしているか見てみたいと思ったふたりは交換することにしました。

ふたりが知っていなくてはおかしい、知らない生活を一生懸命こなしていく姿はすごくかわいいし、離婚した親を元に戻したいと奮闘するところもかわいくてふたりがずっと仲良くいられたらいいのに、と思う。ウィーンとミュンヘンは子どもだったらちょっと遠すぎる。

二人が入れ替わったことで大人たちに良い方向で変化が起きてゆくのもすごくいい。それは前が悪かったという意味ではまったくなくて、これでいいかと思ってしまっていることがちょっぴりの変化でうまく変わってゆけるきっかけになることがあるから。

そんなふたりのお誕生日、はっぴーな場面を覗き込むロッテとルイーゼがどうしようもなくかわいくて、読んでるわたしまでにこにこしてしまう結末。


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